気づきの書評(22) 「グロースハック 予算ゼロでビジネスを急成長させるエンジン 」梅木 雄平
グロースハッカーという仕事は、データサイエンティストと並んで、シリコンバレーで最も人気のある仕事の一つと言われています。グロースハック(成長請負)とは、最近のWEB系の製品やサービスの開発用語です。改善のモニタリング速度と頻度を究極まであげることで、潜在顧客の開発やサイトを訪れるユーザーの増加、そしてダウンロードするトラフィックの最大化などを図ります。たとえば、アプリやページのデザイン、ユーザーの声、ことばの表現、ボタンの大きさ、レイアウト、などを毎秒単位で改善することで、最終的に100万人、1千万人、1億人へと、ユーザー獲得目標を最短で目指します。通常の製品は、完成品を作ってから、綿密なマーケティング計画を立てて、それを売るためのプロモーションをしていくのが普通なのですが、変化の激しいIT業界では、製品開発とマーケティングが同時におこなわれるようになってきています。その結果、広告費やマーケティング予算にあまりお金をかけずに、毎日のデザイン変更の工夫でユーザーを劇的に増やすことができます。
では、そのグロースハックのプロセスを学習・受験勉強にあてはめるとどうなるでしょう?
1.まず自分の成長率や、成長のゴール目標を決める。 例 偏差値や、科目別得点、志望校目標などを決定する。
2.次に測定基盤・KPI ( key performance indicator、重要評価指標))を作り、仮説検証する。
例 合格可能性の判定率を測定し、ギャップを調べ、科目選択のポートフォリオで最高点をとる対策を策定する。
3.あとはイテレーション(反復テストを何回もやりつづける) と A/Bテスト(どちらがよいかまよった時は、両方試してよい方を採用する。) 例 参考書・講座・いろんな人からのアドバイスを試してよい方を続ける。
4. 最後にシュリンク(縮小・成長の反対)ハックで、なにがうまく機能していないのかを解析して改善する。 例 まちがった問題の原因とボトルネックを分析し、同様の問題ができたときにできるようにする。
みたいな感じでしょうか。グロースハックで行う施策の9割は、最初は効果がでないそうです。すぐに結果がでなくても決してめげず、新たな施策を編み出し、PDCAサイクルをどんどん回していくことで、毎日少しの成長を積み重ねます。またグロースハックとはあきらめない気持ちであり、1日1%の成長が一年で、約40倍の成長に匹敵すると言われています。グロースハッカーが有名になったのは、前回のアメリカの大統領選です。ヒスパニック系などの裕福でない有権者がPCを持たず、スマホしかもっていない層であることを利用して、モバイルにターゲットしたグロースハックを行い、多額の献金と集客を成功させたそうです。
どうですか? グロースハックでは、成長スピードが増すようにトライアルし、改善できるように結果と行動を見直します。柔軟に、チェックリストでなにが失敗かを分析して、自分のスキルを成長させる機会を貪欲にさがしつづけることで、成長の加速度が増すのです。
あなたも人生のグロースハッカー(成長請負人)をめざしましょう!