気づきの書評(40) 0から1を生み出す! イノベーションで成功するための『本質』のつかみ方
過去の決まりや、これまでの成功法則の枠組みを越えたアイデアで、次々と新しく画期的なサービスが生まれる時代になりました。今や、起業に必要であった「人、もの、金」がすべて、クラウドで安価かつ簡単に手に入る時代になったのです。言い換えると過去の成功体験や、真面目にコツコツ、だけではなかなか成功出来ない時代になったとも言えます。
今や、誰にでも、新たな機会を見つけ、「0から1」を生み出す意欲、イノベーションが求められているのです。
0から1を生み出す
経営コンサルタントの大前研一氏によると、イノベーションを生み出すためには、日本人の得意な「コツコツ改善」ではなく、前提を根本から疑って全く別のものにしてしまうくらいのアクションが必要だそう。
「一回でいいのだ。たった一勝でいい。激変する社会に生きる私たちは、大きな勝負をするべきなのである」「日常のビジネスの場で繰り返しトレーニングしているうちに必ずあなたの血肉となり、意識しなくても頭が働くようになるはずだ」
(引用: 0から1の発想術 大前研一著 小学館 )
とはいえ、1から10にするのに比べても、0を1にするというもは圧倒的に大変な作業です。しかしこれができないことには、イノベーションとは言えません。「0から1」の発想を生み出せる人は、何が違うのか。「0から1」の発想で考えるための仕組みを見てみましょう。
本質的な価値を探せ
消費者のニーズを正しくとらえるためには、単なる技術ではない“本質的な価値”を探さなければなりません。本質的な価値とはつまり、消費者が本当に求めているもの。企業はつい、「業界でまだ誰も成功していないから」とか、「他の企業より少しでも高性能で」など、業界間の競争に走ってしまいがち。しかしそれでは、消費者のニーズは置いてけぼりです。
業界の競争や慣例などくだらない。消費者が本当に求めているものを実現すべきだ、ということに気付いて大きな成長を遂げた企業もたくさんあります。たとえば、物流・供給システムを中抜きしたユニクロ。「髪だけ切ってくれれば良い」というニーズにこたえて洗髪・顔剃りを省いたQBカット。
さらには、消費者の健康志向にいち早く気付き、コンビニでも高品質なニーズを提供したセブンプレミアムなどがいい例ですね。
有効活用
多くの接客業は「混んでいる時間帯」と「すいている時間帯」があります。基本的にはそのどちらも、光熱費や賃料などの固定費は変わりません。それであれば、すいている時間帯の稼働率をあげることで固定費を有効活用できれば、新たな設備投資なく利益を増やすことができますよね。
特定顧客向けのクーポン、時間差割引、街の温泉宿手形などはこの応用ですね、また人、時間、空いている場所などを有効活用するシェアリングエコノミー、Uber(車)やAirbnb(宿)もこの発想から生まれました。日本には“空いているもの”が相当多いらしいですよ。チャンスですね。
☆はやり言葉「シェアリングエコノミー」
予測する
そして新しい何かを生み出すときに大切なのは、「5年後の生活を予測して、どうなっていれば良いか」を考えるちから。5年後に必要とされ、流行っているもの。それは、たとえ小さいながらもその兆しは現在すでに存在しているはずなのです。
ソフトバンクは、ヤフーやアリババなどのデジタルトレンドを時間差で先読みして、そこに投資して大きくなりました。楽天もそうですね。しかしこれらの企業でさえ、先を読まずに足踏みをしていたら5年後はどうなっているか分かりません。インターネットやスマホがすべての技術やサービスを吸収していく今、次は何が次世代プラットフォームになるのか予測してみましょう。その周りに機会が集まりますよ。
見方を変える
あなたのものの見方は、気付かぬうちに「今の常識」や「偏見」にとらわれてはいないでしょうか。今までと同じことを同じように繰り返していては、発展は望めない時代です。だからこそ、まるで違う視点が必要となります。
業界の固定的な考えを捨てて、海外からの旅行客を取り込んだスキー場など、常識にとらわれない発想が成功を招いた企業はたくさんあります。自分が社長になったつもりで、全体を見渡して発想のレベルを1段あげましょう。他人に見えないものを絵に描いて構想する力がなければ、フロリダのディズニーランドやグーグルも生まれませんでした。
もはや「苦しいけど頑張れ」とか、「コツコツと真面目にやってさえいれば報われる」という時代ではありません。「私は違うと思います」と疑問を持ち、証拠を集めて自分の意見を形成する能力を磨きましょう。
「疑問」を持つちから
発想法以外にも、自分はその商品、サービスにどこまで強い感情移入ができるかも重要です。ナイキやアップルは、「自分たちが興奮できるものをつくる」という姿勢に決して妥協せず、「もっと改善できないか」と疑問を抱き続け、その繰り返しがヒット商品を生み出しました。
またマーケティングを行う際も徹底したきめこまかいユーザー分析、時間軸をずらしてコストを調整する方法、他の業界の成長例からを応用する、などヒントはたくさん転がっています。
「まず重要なのは疑問を持つこと。そして疑問を抱いたことに対して自分で調べる姿勢です」「これからの個人にとって重要なことはいかに自分の人生を設計し、デザインするかです。」
(引用: ニュースで学べない日本経済 大前研一 KADOKAWA )
「疑問を持つことが大切」ということはつまり、今までの日本企業で重んじられてきた「上司の言うことを素直にきいて実直にこなすイエスマン」では生き残れないということ。まずは疑問を持つことから始めましょう。
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いかがでしたか。
元パナソニックで戦略ディレクターの濱口さんによると、発想のフレームワークさえしっかり訓練すれば、比較的偏見が少ない文化である日本人は世界でもイノベーション力が特に優れているそうですよ。常に「自分ならどうするか」を考えなければ、猛烈なスピードで変化する現代社会を生きていけません。あなたにとっての「1勝」に向けて、「0から1」の発想法により、思考を飛躍させましょう!
参考文献
0から1の発想術 大前研一 小学館
ニュースで学べない日本経済 大前研一 KADOKAWA
東洋経済オンライン|大前研一「国内メディアだけ見る人は危ない」
小学館 「0から1の発想術」大前研一
logmi|日本人のイノベーション力は最強–USBメモリの生みの親が教える「0から1の創り方」