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気づきのキャリア(78)書斎を抜け出し “野生” に戻れ! 現代人の脳が蘇る 『GO WILD戦略 』


気づきのキャリア(78)書斎を抜け出し “野生” に戻れ! 現代人の脳が蘇る 『GO WILD戦略 』

Study Hacker に寄稿しました。

みなさん、脳を鍛えるためには、勉強や読書で、ひたすら脳を回転させ続けないといけないと思っていませんか? 会社や書斎で椅子に座りっぱなし、通勤や買い物は車を利用してばかりで、「運動」から遠ざかっていませんか?

実は、脳の効率をあげるためには、「机上で脳を使わないこと」にも気をつけないといけません。机上で脳を使わない、とは、脳を机の上での学習や暗記から休ませ、脳に外界からの様々な刺激を受けさせるということ。例えば、食事、睡眠、運動、瞑想などにより身体のコンディションを調えること、そして、家や書斎を出て「野生に戻る」、つまり自然のサイン・信号を感じることです。

生きることが過酷だった大昔、寒さ、飢え、外敵、病気などの危機にさらされた人類は、危険な環境を克服し、現在に至るまで進化してきました。技術と文明の進歩により、外的環境の変化をコントロールできるようになったわけですが、そのせいで肉体は外界から遮断され、今度はかえって、現代人特有の不都合を感じるようになってしまったのです。

「本来わたしたちは野性的に暮らすように設計されていて、飼いならされたような生活は、病気や不幸をもたらす」

(引用元:ジョンJ.レイティ著,リチャード・マニング著,野中香方子訳(2014),『GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』,NHK出版.)

野生環境下で進化した人類の環境を知り実践すれば、多くの現代病を克服できるだけでなく、脳までも鍛えられます。ではどうすれば野生に戻れるのでしょう。脳を鍛えるための手段とは、脳を余計に酷使することではありません。

「ニューロンの数を増やすために最も効果が期待できるのは、運動です。」

(引用元:ジョン J.レイティ著,エリック ヘイガーマン著,野中香方子訳(2009),『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方―』,日本放送出版協会. )

その具体的な方法を紹介しましょう。

大自然のなかでの運動

普通の街中の道路ではなく、山道や野外の自然の中でランニングすることをトレイルランといいます。このトレイルランが、脳を鍛えるのに効果的。というのも、自然のままの複雑な地形で運動を行うと、変化に富む動きが脳に最高の刺激を与えてくれ、身体も脳も活性化し、注意力と集中力が鍛えられるからです。

トレイルランは荷が重いというあなたも、時には山野に出かけて裸足で歩いてみてはどうでしょう。脳の働きを高めるのには、自然の中で運動をすることが効果的ですよ。

自然のサイクルに合わせた睡眠

生活リズムに野生を取り戻すという観点からは、一日のリズムを自然のサイクルに合わせるのが一番。そのためには、夜は早く寝て、朝は早く起きることを心がけましょう。

合わせて、十分な睡眠も重要です。うつ病、学業や仕事の能率低下、肥満、免疫力不足などの大きな原因は「睡眠の不足」。十分な睡眠は、身体の抵抗力を高め、脳の働きも向上させてくれます。

洞窟のなかで火をかこみながら、ほかの人々(犬・猫でも良いそう)と肩を寄せて眠るのは無理ですが、私たちが意義ある明日のために今日できることは、早く寝ることです。体内時計にストレスをかけないために、寝る直前までパソコンやテレビを見続けないように!

食生活にも気を配る

脳を鍛えるためには、食生活もできるだけ野生に近づけることが重要。脳も体の機能の一部ですから、食生活によって身体のコンディションを整えることは、脳にとっても大切なことなのです。

魚や動物、ナッツ、果実、野菜などからだけ栄養を得ていた原始人は、低炭水化物で生きるしかありませんでした。人類が誕生したのは600万年前。農業がはじまったのは1万年前で、人が穀物から栄養を得るようになったのはその頃からです。

肥満や糖尿病、ガンなどの病気の原因の一つには穀物(炭水化物)の摂取があると言われていますが、現代人の糖の年間摂取量はますます増しており、文明病の大きな要因になっています。

シリコンバレーでも、食生活に気につけることが生産性にプラスの影響を与えるとのブームから、オーガニック料理が大変流行しています。上記のような生活習慣病や、花粉症などの自己免疫疾患を防ぐには、ブドウ糖の過剰摂取を避ける必要があるのだそう。炭水化物だけではなく、ソフトドリンク、ジュース、 加工食品などにも気をつけて、集中力を高めましょう。

瞑想(マインドフルネス)の実践

瞑想は、狩猟民の心の状態、野生の心によく似ているそうです。

狩猟民にとって、瞑想がもたらすのはリラクゼーションではなく、むしろ気づき(アウェアネス)でした。彼らは、新しい場所を歩きまわったあとには気づいた内容を語っていたといいます。瞑想によって気づきを得て、心が落ち着き、リラックスするというわけですね。

「瞑想とは、『今、ここ』に注意や意識を向けることであり、それはまさに野生の人々が、自然環境で生き延びるために必要なことだ」

(引用元:ジョンJ.レイティ著,リチャード・マニング著,野中香方子訳(2014),『GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』,NHK出版.)

野生の精神にならい、日常生活の中に瞑想を取り入れましょう。今の自分に意識を向けることで、集中力を高めるのです。

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ユーカリだけを食べる単調な食生活や、動かない生活により、コアラは脳が退化し、頭骨のなかでコロコロころがるような状態らしいです。食も生活も、バラエティのある多様性を経験した方が、脳にとって良い刺激となるのだということが分かります。

さあ、脳を鍛えるために、デスクから離れ、野生の体と刺激をとりもどしましょう!

お腹いっぱい食べてごろごろしていてはいけませんよ。

(参考)

ジョンJ.レイティ著,リチャード・マニング著,野中香方子訳(2014),『GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』,NHK出版.

ジョン J.レイティ著,エリック ヘイガーマン著,野中香方子訳(2009),『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方―』,日本放送出版協会.

ノバク・ジョコビッチ著,タカ大丸訳(2015),『ジョコビッチの生まれ変わる食事』,三五館.

デイヴ・アスプリー著,栗原百代訳(2015),『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』,ダイヤモンド社.

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