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コーチングのバリューに関するブログ記事をまとめました。

 

コーチングのバリュー(1) 「習慣にできますか?」

エグゼクティブコーチングにしろ、パーソナルコーチングにしろ、1対1でコーチングするバリューは、習慣化できることです。セミナー、ワークショップ、講演などで、気づいても、読書やダイエットのようにどうしても忘れたり、リバウンドしてしまうのです。怒って話すや、人の意見を聞かないなどの悪い習慣を改めたり、承認や、感謝の気持ちを表すなどの、よい行動を習慣化するには、第3者であるコーチと最低6カ月ほどセッションを続けるのが一番効果的です。習慣化してしまえば、そのあとは、3カ月に1回ぐらい、自分を振り返るだけで習慣をつづけられます。高価なように見えますが、リーダーを育成する

ROIの観点からは、一番効果的です。

 

コーチングのバリュー(2) 「地雷がわかりますか?」

リーダーは偉くなればなるほど、誰も、どのように見えているかをいわなくなります。そうすると、本当に全知全能感がでてきて、なにをやっても大丈夫だと錯覚してしまうのです。しかし、ビジョンをかたらなければ、モチベーションは落ちますし、意見を聞かなしでおこってばかりだと、現場は悪いニュースを隠します。第3者であるコーチを通して、社員の不安や、願望をまとめることで、地雷がどこにあるかわかります。都知事や、政治家、二代目など、地雷の場所と、探知機を、経験と知見から教えてもらうことは保険よりも安い、危機回避なのです。

 

コーチングのバリュー(3) 「経験値と質問力がありますか?」

エグゼクティブコーチには、マネジメントの経験値と質問力の両方があります。クライアントの課題に対して、私自身やまわりの人が、どうやって決断したとか、どういうオプションがあるのかという経験値が必要なため、コーチには事業の失敗経験や、チームマネジメント経験、ビジョン・ミッション策定経験などがいろんな着眼点を与えます。クライアントに気づきを与える、質問力と相乗効果をとることで、根本的な問題や、次の1手などについて、納得できる対話ができるのです。質問力のレパートリーだけある、若いコーチや、経験だけあるシニアのコーチには、クライアントを気づかせて、かつ改心させる、意図をもっての質問が難しいのです。

 

コーチングのバリュー(4) なぜ気づきハックなのか

ハッカーはソフトウエアのコーディングの隙間をつくまで、あきらめずうまくいく方法をみつけようとします。スタートアップの養成所であるYコンビネーターは、スタートアップの応募者に、「チーム全員がハッカーか?」と聞きます。それぐらいの、エネルギーレべルの高さと、執着心、あきらめない心がないと起業は成功しにことを知っているからです。気づきに対してもおなじことが言えます。クライアントの気づいていない思考の枠のカベを超えて、気づきを与えて沈黙させてしまうような質問のタイミングを考え続けること。それが、クライアントが自分で本当に納得して、行動できるモチベーションになって、習慣になるまでつづけらるのです。

 

コーチングのバリュー(5) コーチングのROIとは

企業でのコーチングに対するROI については、いろいろなデータがあります。たとえば、コンサルタント会社のBooz Allen Hamiltonやインテルでは、エグゼクティブコーチングに$1投資する毎に、約6-8倍の効果を実感しているとか。半年で、約200-300万円なので、非常に高価ですが、対象者の給与が高いので、リーダーの行動変革で、組織が高回転すると、売上や利益に如実に反応されます。私も、自費で、コーチングスクールに通うのに60万円つかいましたが、まだクビになっていない効果をかんがえると、10倍以上の効果があった気がします。私が、担当しているスタートアップも、売上的には約2-3倍になっていす。

 

コーチングのバリュー(6) セミナー・研修でなにか変りましたか?

管理職研修やセミナーに参加されたことがある方はたくさんおられると思います。では、そのあとななにか変りましたか。それで感動されて、習慣を変えられた方はすばらしいですが、非常に少ないです。セミナーや研修は読書と一緒で、その人をそのあとも行動を変えて習慣にするのはすごくむずかしいのです。だから、エグゼクティブは、エグゼクティブコーチを雇い、定期的に自分にきびしいいことを言ってくれる人、励ましてくれる人をお金を払って雇っているのです。それも非常に高価ですが、地位が上がるほど、自分の姿がみえなくなるので、実は一番有効なのです。

 

コーチングのバリュー(7) 大塚家具の例

親(会長)が娘(社長)を訴えた大塚家具の例ですが、2代目の急進的なやり方に異議を唱えたケースです。同じような例で、一度は職を解かれた、星野リゾートの星野さん、日本通信の川鍋さんののケースでは、まず目に見える小さな実績を積んでからや、既存のやり方では無理があることが名実化してから、変革を実行しています。正論に見えても、心に訴える方式をふまないと、納得して変化に対応できないのです。親子でさえ納得できない事業継承場合、ガバナンスの観点から、冷静に自分の成功体験をふりかえさせ、固執させないエグゼクティブコーチングがもとめられる。それゆえ、フォーチュン500のほとんどのグローバル大企業は、コーチをつけることを経営層の条件にしています。

 

コーチングのバリュー(8) Change Management

最近M&Aや、合併、イグジットなどで、日本の中でも米国のようにちがう文化や慣習の会社がまざる例が増えてきました。特に、買収や合併される側の従業員は、これまでものミッションや仕組みがかわるので、自分たちがこれまでつちかった経験やいかされるか不安になったり、新しい方針が理解できなくて具体的にどうしたらよいかわからなくなってしまうのです。JALの例の稲盛さんのように、カリスマが新しい方針を、膝つき合わせて小集団で、腹落ちするまで話し合えるのが理想ですが、それだけの腹のすわった人材がいないところが緊急にやろうとすると、退職者や問題が増加します。みんなの課題や希望を見えるかして、個人の目標と会う形で風土改革を進める。このフォローアップにには、コーチングが有効なのです。

 

コーチングのバリュー(9)気づきハックとは

グロースハックは最近WEB系の製品開発で、マーケティングが一体になって、製品を押し出しやすいように、デザイン、ことば、窓・ツールを毎秒改善することで、ヒット率、トラフィックをあげていきます。ライフハック、キャリアハック、などは仕事術、便利術、ハウツーですが、人間成長していく中で、気づかないと直せない。気づかせられないと改善できないもっとも大事な行動のカギを色々試しながら探すこと、それが気づきハックです。つねに気づきの量が増えるようにアドバイスや着眼点をもらうことと。それを改善できるように行動を見直すこと。非常に次になにを適用させるかが、変わる環境の中で、360度評価やチェックリストでなにが失敗かを分析して自分のスキルを成長させるものをさがしつづけるスピードがあがってきています。

 

コーチングのバリュー(10)部下からの360度評価を上げるコーチング

私が、コーチングを始めたきっかけの一つが、会社での部下からの360度評価の結果です。私に対する部下からの評価が、かなり思わしくありませんでした。80点以上が合格インテル10万人の社員の中の、シニアリーダー約、2千人の中で、最低の5%にはいるほどのスコアでした。いったい何が問題なのか、本を読んだり学んだりと、色々試みましたが、効果はいまひとつで一進一退だったんです。自分ではこんな気を使って、BBQパーティや賞などやっているつもりなのに、部下からはサポートされていない、ビジョンが明確ではないという評価でした。非常にショックで、夜眠れないほど腹がたったときもあったのですが、解決できませんでした。

 

また、もうひとつのきっかけとしては、米国本社の最年少VPで頭の良さで定評のあるエグゼクティブが、エグゼクティブコーチングを受けたことでガラリと変容したことでした。高い生産性が求められると、どうしても結果志向が強く、指示の厳しいリーダーになりがちですが、そのVPは、エグゼクティブコーチングをきっかけにしてまるで別人のように変わったのです。もちろん、良い方向に。大勢の前で、答えが気にいらないと罵倒したり、会議の準備や客が否定的だと、激怒したり、なにしろ気が短く厳しかったんです。その彼が、コーチングを受けた後、非常に我慢強くなり、帰りの車の中で、新入社員の質問に辛抱強く、1時間以上答えていたのです。そのあまりに劇的な変化に、本社の部下たち約2千人が、彼が部門を変わる際スタンディングオベーションを送りました。私も実際、彼の来日の際に目の当たりにしたのですが、部下や新入社員の話を最後まで真摯に傾聴する態度は、それまでの彼からはまったく想像もできませんでしたので、かなりの驚きと感銘を受けたのを覚えています。何があったらこれほど変われるのかと。

 

そこで、まずエグゼクティブコーチングとは何か、という興味が湧きました。自身にコーチをつけるという選択肢もあったのですが、いっそ自分が自分のコーチになるのもいいかなと思ったのです。そして『ビジネスコーチ体験会』に参加しました。そこで実施された【フィードフォワード】というワークが非常に面白く、たくさんの気づきを得ることができました。それがひとつの決め手でした。ビジネス上の課題について質問をすると明快に、かつ簡潔に答えてくれる。それが、自分の腹に落ちるのです 。多くの気づきがありました。特にタイプ別のに、コミュニケーションや承認の仕方に違いがあるのが1番の気づきでした。今ではそうしたスタイルが、自分のものになっています。さらに社内では、コーチングのワークショップを100 名ほどに実施したのですが、評判もポジティブでした。【行動傾向】、【フィードフォワード】など、コンテンツをいくつか実施しましたが、皆さんかなり気づきがあったようです。

 

その結果、部下からの多面評価の結果に変化は徐々に改善されて、1年でスコアは約100%アップしました。100点満点で40点が80点になった感じです。前がどれほど悪かったのかという感じですが(笑)。自己分析すると過去のスパルタ上司と、これまでの成功体験による驕りがあったのですね。昔ほど怒らなくなった。自分が優秀でないと感じる人にも我慢強く、よいところを見付けてタイプ別に対処するようにしました。「こんなに笑う人だったんですね」と言われるようのもなりましたし、部門を異動する際に大変感謝されました。

 

コーチングのバリュー(11)立場がちがうと思いが違う

「どうも言っていることがつたわらないんだよね。なんか、フンフンといっているんだけど。」それは、立場がちがうからです。リーダーのビジョンが浸透しない、現場から能動的に意見がでてこないなどの不満を抱えているリーダーの話をよく聞きます。わかりやすい話で、何回も話すなどのやり方がよく本にでていますが、どこまで理解できているのか確かめながら話さないとつたわりません。「これは、あなたにとってどういう意味なの。どうすればあなたが貢献できると思う?」など、誤解しようのないレベルまで掘り下げてはなしてみないと、100万回、顧客が大事とつたえてもつたわらないでしょう。特に、リーダーが信頼されていない場合には。リーダーは全体をみています。部下は、共有されていない情報と自分の立場の関係が不安です。このギャップは想像以上におおきいのです。リーダー自身から部下に歩み寄っていかないとなにも変わらない。そのポイントを気づかせてくれるのがコーチなのです。

 

コーチングのバリュー(12) 「リーダーシップはスキルですか、資質ですか?」

日本では、リーダーはもってうまれた資質や素質であると考えられる場合が多いため、リーダーになった人が、もっと上のリーダーになるために、リーダーシップのスキルを学ぼうとなかなか考えません。そのため、最初のマネージャーや部長になった人が、それまでの自分の成功体験や、きびしい上司のもとできたえられたため成長したのだという、やり方に固執しすぎて、チームがモチベーションをあげられずにダメになる例が3分の1ほどあります。グローバル企業では、リーダーシップはスキルとかんがえられているため、傾聴して聞く時間をとるとか、部下のよいところを見つけて承認するとか、ワクワクするビジョンをつくるなどのスキルを練習させられます。人事部も評価などで忙しいことが多いので、コーチがマンツーマンで、リーダーとしての振る舞いや、すべきでない行動などをおしえるのです。

 

コーチングのバリュー(13) 部下からの360度評価をあげるコーチング

360度評価を部下からとると、その内容をみて、ほとんどのリーダーのかたは愕然とします。おれは、こんなに気をつかっているのに、何回も説明しているのになんでわからないんだと。そこで、本人がおこなっている行動とまわりが認識しているギャップを見せます。たとえば、あたらしく昇進した場合や、違う部署に異動した場合に、部下からやあたらしい文化での期待と、自分が考えることを性格に、中立的な目でみることが必要です。意識は改革してもまわりからみえません。しかし、行動は改革するると、なにが一番問題で、どういう行動をとればよいのか、本質を見抜いて、行動レベルまでおとしこまないといけません。ある本部長は、いつも自分が話す時間が9割だったのをきづいていませんでした。常に60%は相手のいうことを聞くや、怒っているときには話さない。などの行動をしないと公言して、そういう行動をみつけたら注意してほしいと部長会議で話しました。自分では怒っていないつもりで、語気が荒いだけだと思っていたので。

 

ーチングのバリュー(14) 「バカヤロー、でも俺はお前のことを考えてるんだよ」ではつたわらない 

もうすこし、ギャップの部分を中立的にみることの重要性について話します。スケートでは、自分では3回転をしてるつもりで、じつは2回転でしたよとデータや画像でみせてあげる必要があります。メンバーとの人間関係のなかで、この発言が刺激したのかな、とか、まえの会議で正論を話して攻撃してから、なんとなく気まずいと思っていても、実は別の理由であるかもしれません。チームとの関係を高めるには、個人のリーダーシップでやれることで(例えば傾聴や感謝)、まず個人を高めなければいけません。あの人を応援したいと思ってもらわないと、リーダーがいくらビジョンを語ってもうごかないのです。

 

コーチングのバリュー(15)日本でのコーチング事例の増加

最近は、日本でもコーチングの事例が増えてきました。たとえば、ヤフーさんや、日立化成さんはコーチングにより、現場でおこっていることを質問力を使って聞きださないと、ダイナミックに情報を共有できなくなっています。ヤフーが役員に「コーチ」をつけた狙い対話通じて仕事の課題を整理です。 ヤフー副社長兼最高執行責任者(COO)を務める川邊健太郎さんは「コーチングという形式は自分の悩みや課題について対話を通じて明確にする。自問自答するよりも、経験豊かなコーチが多角的に質問してくれることで、自分の弱点克服や考えの整理につながる」言っています。日立化成は2015年度までに、対話を重ねて相手に自主的に改善点などを探るように促す「コーチング」の技術を持った社員を1200人にする。現在、約50のグループ会社に日立化成が認定したコーチ役が700人いる。

 

コーチングのバリュー(16)人事部長Aさんの場合

飲料会社の女性の人事部長で、最初に、部下からの評価により、戦略企画力が弱いので、強化してほしいとの依頼がありました。女性のダイバーシティのモデルとしても、会社から期待されているようで、いつも前向きに家庭ともバランスをとられているようでした。話を聞いているうちに、自分の戦略企画力を伸ばしながらも、部下で得意なひとの意見を聞いてまかせていくこと。部下の失敗を奨励し、自分も新しいことにチャレンジして模範を示すこと。そこで生まれた時間を、部外のネットワークや、メンバーのビジョンでとつなぎ合わせるための自分の行動時間に、定期的に使ってもらうことなどが有効であること行動してもらいました。プライベートでも、本を読む、ゴルフ、社外ネットワーク作りを楽しみたいと話され、小さな進歩で自信がついたそうです。話を構造化してみせながら説明したり、高い視点でいろいろと違う着眼点を気づかせてくれたことを感謝されました

 

コーチングのバリュー(17)大学医学部の先生Bさんの場合

私のコーチングセミナーに参加してから、ぜひコーチングをうけたいということでこられました。災害支援という特俊分野でコーチングの傾聴・質問力が応用できるのではないか。また自分の仕事が多いので、整理したいことと、自分がやりたいことをうまく説明したいとの要望でした。まずプレゼンの中で、自分の話し方、目線、メッセージ、フォイルのまとめ方などを、ビデオで録音してみてもらい、自分でどういう風になおせばよいか気づいてもらいました。その後、タイプ別の付き合い方・モチベーションの上げ方や、ロールプレー、大学生を交えてのセミナーなどにも参加してもらい。コーチングを通して背中を押してもらい、考えていることの整理ができたので、をコーチに話すことで、現実になる第一歩になったとリーダーシップを意識するようになりました。状況は、自分のアプローチの仕方次第でどうにでも変えることができる意識が芽生えたのもすばらしいです。指示がはっきりしていて、わかりやすいこと。実体験に基づいたアドバイスが、とにかく考えさせる。ファシリテートの仕方がうまい やる気にさせるなどの評価をもらいました。

 

コーチングのバリュー(18)若い起業家Cさんの場合

彼は起業家の中では、最初のクライアントです。当初はベンチャーのNO.2でしたが、コーチングをを受けて自分が本来やりたかったこと。過去の経験などをふりかえりました。そのあと、自分でベンチャーを起こし、多方面に活躍しはじめています。非常にやさしい性格なので、理想像は常にありつつも、日々の業務、日々の環境、自分の文化ではないどこか他人の文化に合わせる傾向があり、本来の自分を見失っていたそうです。「そうだよね、俺ってそうだった」と頭ではわかっていましたが、第三者にヒアリングをしてもらうことで、改めて次なる行動へ繋がりました。また他のエグゼクティブクラスの事例を交えることで、がんばろうと思っている自分にとって、腑に落ちる内容が多かったらしいです。決断スピードが上がったことと、気づきから決断、行動まで迷いが減りました。私も、彼が忙しかったので、起業家とは、朝にコーチングするように切り替えました。それ以来、朝にカフェでやるパターンができました。

 

コーチングのバリュー(19)若い起業家Dさんの場合

非常に頑張り屋で、チームを引っ張っていくタイプです。社員も私がコーチングしたときは、ウナギの長屋の場所に5人でしたが、今では20人ちかくの所帯になり、売り上げも1億円を超えたそうです。起業家のグループにセミナーをしたときに、コーチングでどう部下を育成すればよいのか。支店を出すのに何が必要かなどの決断をまよっていました。タイプ別の対処の仕方や、自分が本来やりたかったことなどを考えてもらって、当初自信をなくしていた新人女子社員がNO.1営業になりました。リーダーには多くの種類があり、決して0から1を作り、まわりを引っ張っていくタイプではないが、メンバーの声に耳を傾け各人がなにに悩みを持ち、何を達成することでモチベートされるかを理解して接することができる、協調型リーダーシップが自分の得意とするタイプだと再認識されました。一方でメンバーから、「会社が私が将来どうなるかみえない」、「具体的な指示を出してほしい」という意見もいただいたため、事業戦略を明確につたえること・メンバーの1年後の状態を伝えること・それに対してアクションプランを伝えることの3つを終盤でおこないました。コーチングを通して、1自分の強み・弱み・改善点を再認識することができる。2協調型マネジメントを学ぶことができる。3社内の状況が可視化できる。など多くのことを学んだそうです。コーチングの最初の段階では、多くのことを学ぼうと思っていた背景があったので、何も教えてくれないなと驚いていた事がありました。セッションを複数回経験するうちに、自分で納得するから行動できるというコーチングのバリューを感じることができたそうです。現在もチームで、毎年海外旅行に行ってチームビルディングしています。

 

コーチングのバリュー(20)コンサルタントEさんの場合

Eさんは、コンサルタントとして独立されて、自分の考えをまとめていく必要がありました。その際、コーチに自分の思いを伝え、言語してもらったり、自分の気づいていないポイントを、質問してほしかったそうです。月に1回ほど、コーチと話すことで、自分が考えていたことを明文化されたことがで、その部分に関する不安やもやもや感がはっきりしたそうです。優秀な人ほど、行動変革よりも、自分の考えを見える化してもらうためにコーチを利用することがあります。

 

コーチングのバリュー(21)小学生Fくんの場合

こちらは、知り合いのコーチの話ですが、お母さんがあまりかまえなかったので、人と話す習慣をつけて欲しいと言われ、スカイプでコーチしたそうです。最初はとまどったのですが、Fくんの興味のある恐竜の話をずっと聞いてあげると、自信をもってどんどんはなすようになり、お母さんにも、すごくいろいろはなしかけるようになったそうです。非常に特殊な例ですが、傾聴してくれる人に話すことで、自信をもって人にかたれるようになります。不思議ですが。

 

コーチングのバリュー(22)専務Gさんの場合

商社系の大きな、システムインテグレータの専務ですが、自分の経営者としての、レベルを1ランクあげたいと思い、まず自分でコーチングを受けたいといわれました。そのときの一番のプラスは、自分の時間をもちなさいといわれたことだそうです。処理と会議、客との会食だけで、時間がおわってしまうので、いつかんがえるんですかといわれたそうです。それから、自分で、わざとなにもいれない空き時間を定期的に、毎週作り、中長期的な戦略や、ビジョンなどをかんがえることができたそうです。

 

コーチングのバリュー(23)才能やスキルよりも自信が大事

特に若い時代は、才能やスキルよりも、「できそうだ。やってみよう。今までできたから。」と自分を鼓舞する自信のほうが何十倍も大事です。仕事もそれほど複雑なものはないので、どんどんいろいろためしながら工夫するしかありません。この場面も、コーチは貢献できます。今までできたこと、成功したこと、そのときの気持ちなどを、整理してもらうことで、見える化して、自信をもてる理由を理解してもらいます。あとは、定期的に、元気になるようなメッセージと承認を与えつづけることで、背中を押して、決断のスピードを上げられます。これは1度かぎりの、研修やセミナーではむずかしいのです。

 

コーチングのバリュー(24)若い起業家Hさんの場合  

地元のつくばで、学生の就活や、ネットでの広告・サービスをまとめる会社を起業しました。現状や将来のイメージを具体的に考えてもらうことで、方向性における違いや悩みを断ち、つくばでの情報と機会を、筑波大も含めて、突き詰めてさがしていく仕事をする、と決意され、順調に成長しています。目の前の、実際の仕事が多かったので、コーチングの機会が、唯一、自分の人生、今後の方向性をゆっくり考えられる時間だと感想を述べていました。成果を追求するあまり、周りにもおなじように激しく要求する情熱を、もう一段上の経営者視点でおさえられるように、がんばられています。

 

コーチングのバリュー(25)ミラーリング

自分の言葉、思っていたことを第3者を通じて他者の声として聞ける。そのことによって、自分の決断に自信をもてるのが、ミラーリング効果です。オートクラインとも言います。シンプルに聞こえますが、非常に効果があります。優秀なエグゼクティブであるほど、自分で判断をすでにして、決断をしている人が多いので、まず話をじっくり聞いて、鋭い指摘や質問をして、ともに考えながら、クライアントが感じている思いを適切な言葉に言い変える。クライアントがわからない時や、モヤモヤしているときは、必要なとらえ方や着眼点を教える。その結果、頭のなかと心がすっきりと整理されて、自分がやるべきことに気づき、納得して理解でき、実践する自信ができてきます。判断にまだ迷っている人や、まだ予備軍の人には、判断の材料になるいろいろなオプションを出しながら考えてもらう方が先決です。

 

コーチングのバリュー(26)若い起業家Iさんの場合  

前述のつくばでの起業家のパートナーの方ですが、過去にあった失敗の経験や、途中であきらめたり、夢が叶わなかったことがトラウマとなって、自分で自分に自信をもてないときがありました。過去のできていることや、ちいさな目標を達成できたことを理解してもらって、今日できるちいさなことから実行してもらうことにしました。その結果、6か月の間に、自信を持てるようになったことや、 仕事に対しての心構え、学生への接し方などが 大きく変わったと実感されました。また、学生の指導やアドバイスにも、「コーチング」を学びたい、出来るようになりたい、「自信が持てない」学生を 一人でも多く救っていきたい、変えていきたいという強い決意ものべられています。 

 

コーチングのバリュー(27)営業本部長Jさんの場合

こちらは、私の実際のコーチングのケースではありません。知り合いの本部長ですが、非常に新規開拓営業や、ゴルフ、顧客との関係構築に献身して、実績をあげられて昇進してきた人です。しかし、自分の部の人だけを特にかわいがったり、他の部門の人を「バカ」よばわりするのが、やめられなかったので、関連会社に出されて、そこでもダメになりました。自分に成功の経験を捨てられなかったのです、こういった人に、まわりに演技して自分をおさえることで、もっと上のレベルの責任と、まわりからの信頼を得られる機会が得られるといことをわかってほしいために、コーチングを浸透させたいと思っているのが私の動機です。日本ではこのケースが非常に多いです。

 

コーチングのバリュー(28)若い起業家Kさんの場合 

一流会社を退社して、ウェブ系のソフトウェアハウスを立ち上ました。彼は、立ち上げ当初、頭がよいためスタッフに対する仕事のやり方のなかで、自分の意見を押し付けたり、相手が自分のペースで進まないとにつめてしまって、イライラするなどの傾向があり、チームの雰囲気をよくしようと思って、自分からコーチングを受けたいと相談されました。相手のタイプに応じて接し方を変えること、社員と家庭の幸福を第一に考えるミッションを作ること、自分が目をかけていても、チームの雰囲気をわるくする者は解雇していく必要があると決断されました。現在も非常に売りあげは延びています。

 

ーチングのバリュー(29)システムインテグレーター本部長 Lさんの場合  

非常に真面目で、部下とも対話されていますが、なんでも最後は自分でドライブしてしまうのと、現場から自分を納得させるアイデアがでてこないのが、不満足でした。自分の部以外のことを考える時間をもつこと。好きな歴史から、経営者視点をあげるストーリーをつくること。前の日飲み過ぎて、朝弱いときがあるので、朝はつねに上機嫌であることなどを行動目標としてつづけてもらいました。他の部門との連携など、部のスタッフが期待しているが、難しいことなども取り組まれていただいています。

 

コーチングのバリュー(30)若手新入社員Kさんの場合  

彼女は非常にやさしかったので、グローバル企業での競争や成果主義による解雇に胸をいためていました。自分のために成果をあげるよりも、まわりの人の成果をあげるのに貢献したいと思っていました。悩んだ結果、サポート中心で仕事をできる会社に移って行きました。自分が本当にやりたくて、心の幸福をたもてる環境を選んで、そこに移るための決断のあとおしができました。

 

コーチングのバリュー(31)副社長 Kさんの場合   

グローバルIT会社の副社長Kさんは、非常に面倒見がよく優しいのですが、自分が思っていることを話し始めるとアドレナリンが出すぎて、自分ばかり話はじめてしまう傾向がありました。1対1の部下との面談などでは、いつも80%以上の時間を自分が話していました。伝説としては、中途社員の面接で、相手に一言も質問しないで、本部のミッションやビジョンを話したということです。採用された人は、あとで、不思議ですよねと笑っていました。Kさんは、コーチングを受けたあとで、これからは、常に60%は相手に話してもらうことにすると、本部のみんなの前で、その決意を宣言されました。みんなからも驚きととともに、非常に好意的にうけとめられました。

 

コーチングのバリュー(32)リバウンド

最近、糖質をとらない食事制限やトレーニングによる高価なダイエットが流行っていますが、無理して痩せてからリバウンドして戻ってしまう人が多いです。コーチングで2週間に1度行動変革リストをチャックすることで、6ヶ月するとほとんどの人は、習慣になります。一度習慣になると、糖質制限や、きついウエイトトレーニングほどリバウンドする可能性はありません。コーチング自体は、ダイエットと同じほど高価ではありますが。

 

コーチングのバリュー(33)「知っている。」「できる。」「やっている。」

人材が育たないというのが、現在すべての企業にとっての1番の課題です。これはフェーズごとに、相手ごとに考えないと、効果があがりません。やり方を知らないなら、まずそのプロセスを教える。できるかどうかわからないなら、一緒に一通りのプロセスをやって、できるかどうか試してみる。それでも、なかなかやっていないなら、それをやるモチベーションがあがらない。もっといい方法でやりたい。それ以外のことに忙殺されているなど、本当の理由をきいてみないといけません。言ってもらえるようになるにも、まず信頼関係がいりますが。

 

コーチングのバリュー(34)自分がかわることで、相手が変わる。

コーチングをした相手が、常にスマイルでいるとか、日に1回褒めるなど、自分の行動変革表みながら毎日続けていくと、ある日、周りの自分への対おいが変わってきていることに気づきます。それが非常に新鮮に感じられます。相手の行動を変化させるのではなく、自分の対応を変えることで、相手の行動が変わるのをみて初めて、みなさんコーチングのバリューを実感されています。

 

コーチングのバリュー(35)東芝のケース。

「なんとかしろ」、「チャレンジしろ」、「利益をあげろ」。実行の仕方については問わず、結果だけを出させると、うまくいかなかったときに最後は表面化します。利益操作、コンプライアンス、クレーム対応、違法行為、みんな失敗を報告できない風土と習慣に原因があります。本当ののリスクを話させ、それを理解する度量をもつこと。今ほど、リーダーシップにガバナンスとコーチングが必要な時期はないかもしれません。

 

コーチングのバリュー(36)ミラーリング

「なんとかしろ」、「チャレンジしろ」、「利益をあげろ」。実行の仕方については問わず、結果だけを出させると、うまくいかなかったときに最後は表面化します。利益操作、コンプライアンス、クレーム対応、違法行為、みんな失敗を報告できない風土と習慣に原因があります。本当ののリスクを話させ、それを理解する度量をもつこと。今ほど、リーダーシップにガバナンスとコーチングが必要な時期はないかもしれません。

 

コーチングのバリュー(37)いま、シリコンバレーで『経営者コーチング』が見直されているワケ

シリコンバレーでは、経営者向けのコーチングが見直されているそうです。日本ではまだまだ知名度が低いですが、なぜそれほど盛り上がっているのでしょう?特に成果を求める激しい起業家に。Facebook、LinkedIn、Googleなどの成長企業はいずれも、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっています。また、マネジャークラスに対してはコーチングのスキル研修を義務付けているところがほとんどです。FacebookとGoogleの人事担当者も、もともと経験豊かなエグゼクティブコーチだったそうです。

コーチングで何を得るのか?

コーチングを受けていたエンジニアは当初、猜疑心でいっぱいでした。しかし、 コーチとの対話を通じて、気づきを得たり、自信を取り戻したり、ストレスを軽減できることなどが実感できて、逆にひどく驚いたということです。相手を自分の思うように変えようとするのではなく、自分の側の行動と、人との接し方を変えること。そのことによって得られる、周りの変化に気づくそうです。それがすべての行動を自発的に振り返ることにもなり、仕事以外でも奥さんや子供との接し方もより丁寧で関係がよくなったそうです。

問題が複雑に、変化が速く、競争が激しくなればなるほど、仕事への全人的なコミットメントが求められます。また同時に、個人の価値観が仕事のそれと合致していることも求められるのです。

なぜリーダーにコーチングが必要なの?

リーダーが現場の本音を引き出し、ビジョンを腹落ちさせるためには、命令よりも、質問によって、信頼関係を構築することが必要です。最近では、日本でもコーチングの事例が増えてきました。たとえば、ヤフーや日立化成はコーチングにより、現場で起こっていることを質問力を使って聞きだし、ダイナミックに情報を共有しているそうです。ヤフーが役員に「コーチ」をつけた狙いは、対話を通じて仕事の課題を整理することだそうです。ヤフー副社長兼最高執行責任者(COO)を務める川邊健太郎さんは「コーチングという形式は自分の悩みや課題について対話を通じて明確にする。自問自答するよりも、経験豊かなコーチが多角的に質問してくれることで、自分の弱点克服や考えの整理につながる」と語っています。成果を上げる人は、人よりも負けず嫌いで、その根性によって成功しているので、上のポジションに立った時点で、下の言うことをを聞かなくなってしまいます。だから、上に立った時点で、エグゼクティブコーチをつけて、リーダーらしくない振る舞いや、行動をなおさせるんですね。ジャックウェルチやラリーペイジ、ザッカーバーグ、最近ではジェフベゾスなども、コーチを付けて、人の言うことを聞かなかったり、破壊的なコメントをするなどのクセを直しました。そうしないと、現場の課題を、みんなが隠してしまうからです。

ジャックウェルチも、「エグゼクティブコーチング」に意味があるかどうかは、コーチの質に左右され、組織のトップにいる人には誰も言ってくれないようなこと――「あなたは人の話をあまり聞きませんね」「一匹狼になりすぎています」「取締役会にはへつらっているのに部下にはよくいばり散らしていますね」「あまり優秀ではない一人の社員の進言に頼りすぎています」などと面と向かって言ってくれることだと話しています。

肝心なのはリーダーが耳を傾けること

つまるところ、きちんとしたコーチングの最終的な価値というものは、参加した管理職の受け取り能力がどれだけあるかによって、大きくもなれば小さくもなるのです。

 

コーチングのバリュー(38)社員のタイプがわかっていますか?

当初5人ぐらいの優秀な人が始めたWEB系のベンチャーですが、社員やインターンが増えて、指示や役割を丁寧に教えなければならなくなってきました。最初のメンバーは理論派が多く、批判的で理由を求める傾向があったのですが、社員が増えるに連れて、社交派や協調派など、テンポが違う仲間が増えてきたので、共通の理解を含めるために、研修資料や、仕様書のテンプレートを作る必要に気づきました。お互いにケアして生産性を上げる最初の気づ

 

コーチングのバリュー(39)コーチングは「おせっかい」でDNAにスイッチをいれること。

TEDで、株式会社チェンジウェーブ代表の佐々木裕子氏は変化を後押しするものは「他人のおせっかい」だと話しています。私の知り合いで、コーチング学校の同期生も、50歳を越えてから、人生のビジョンを強く意識して、常に後輩達にも折に触れ、人生のビジョンを持つ事の大切さを説くようにしているそうです。吉田松陰も強烈なおせっかいでした。それで高杉晋作のスイッチが入った。コーチングは究極のおせっかいかもしれません。いやがられても、無視されてもスイッチがはいるまでやるんだと考えれば楽ですね。死ぬまで「おせっかり」ましょう! 「未来を変えるための本気のスイッチを押すためのおせっかい」というのは、コーチングの意義としていいかもしれません。

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以下ログミーより抜粋です。

だからこそ本当にお前そんなことやりたいのとか、ちょっと小さくまとまってるんじゃないかとか、本当にやりたいことは何なんだ、人生のビジョンは何なんだっていうふうに問うたり、ダメ出しをしてくれたりしているわけです。

この愛に溢れるおせっかいな人々っていうのは本当に大きいなって、私、気が付いたんですね。なぜかっていうと、人生のビジョンとか志っていうものには、実は締め切りがないわけです。このクオリティのアウトプットで出してねっていうこともない。普通にしているとそれを考えるっていうことの優先順位はどんどん下がっていくし、低きに流れていく。

だけど、そういうおせっかいな人たちが本気で自分のことを思ってくれていて、そこに愛情があって期待があって変わって欲しいって思いがある。それに気がつくと物凄い健全なプレッシャーがその人たちにかかっていくんですね。

実は私もそうだったわけです。5年前に本当に転機に出会うんですね。それは、とある人に「あなたの人生のビジョンはなんなの?」って聞かれたんです。生まれて初めて。私はまったく答えられなくて凄いショックだったんです。

答えられないこと自体もショックだったんですけど、やっぱりその人が真剣に「多分あなたにはそういうものがあるはずだ。ちゃんとあるはずだ」と思っていて聞いてくれていたから、それがわかったので余計ショックだったんですね。

私は変わらなくちゃいけない。そう思った瞬間でした。そこから自分に向き合うっていうのを凄くやるんです。結構辛くて簡単に自分のやりたいことなんか見つからないですよね。くじけそうになって本当に泣きそうになって、もうこの辺でいいかって手打ちしそうになる時が何度もあったんです。

でも、その度にやっぱりおせっかいな人が私の周りにはいて、「お前、全然本気で考えてないだろ」と、「そんなんじゃ全然ダメだ」っていうふうに怒ってくれるんですね。

物凄く多様で物凄く創造性豊かで素晴らしい未来のために、自分たちができること

やっぱり、人がたった1人で自分を大きく変えていくことってなかなか難しいんだと思うんですよね。だけど素晴らしいなと思うのは、誰かのことを信じることはできるし、誰かの変化のスイッチを押すことは多分できるんです。

もしそうだとすると、次のその変化の波の震源地っていうのは、ひょっとするとですね、自分が、誰か自分の周りの人の変化のスイッチを押してあげるおせっかいな人になってあげる。そして自分の周りにいるおせっかいな人たちを本当に大切にして自分自身も変わろうと頑張る。

何かそういうお互いの本気のスイッチを押しあうってことが、未来を変えていくんじゃないだろうか。そんなことを思います。この間ですね、計算をしてみて凄い衝撃を受けたんですが、例えば残りの人生が60年だったとすると1週間は後3,000回しか来ないんです。

 

コーチングのバリュー(40)スープストック遠山社長の場合  

これはチャンクアップの具体例ですね。大きく考えてそもそもなんで起業したのかにさかのぼってもらう。サイボウズさんの記事です。

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今からちょうど10年前くらいは最悪の状態でした。スマイルズは当時三菱商事の社員だった私が社内ベンチャーとして立ち上げた会社なのですが、個人の遠山商店が企業としてのスマイルズへと変革していくときは、特に辛かったですね。評価や売上はあがっているんだけど、長らく利益が安定しなかったんです。

利益が出ていなければ当然、株主からの要望もあって、いわゆる「ビジネス」にどんどん寄せられていきます。PDCAをもっとうまく回そう、もっと利益を上げよう、と。会社にもピリピリした空気が流れていました。

そのころ、コーチングを受けてみたんです。そのなかで事業を通じてやりたかったことを話して現実と比べてみたら、全然違うところにいた。それで、いまも掲げている事業計画「スマイルズのある一日」を描いたんです。事業計画なのに、具体的な数字もない一枚の「絵」なんですね。

1冊目の本を出した2005年はどん底だったと振り返る遠山さん。編集者の提案で、本のなかにこの事業計画を盛り込んだ「生活価値の拡充」という自分たちがやりたいことを思い出して、そこからMBOをして、“やりたいことをビジネスにする”という私たちの今があります。

辛い時期ってどうしても、なんでこんなことをやっているんだろう?という気持ちが湧いてくる。そのときにやる意味、やりたいという思いがないビジネスはただしんどくなってしまう。儲かるはずだという理由だけだと、儲からなければそこで終わってしまうから、いざというときに踏ん張れなくなってしまうんです。

もちろん儲けることも大事だけど、ただそれだけじゃ面白くない。Soup Stock Tokyoも当初、長い間苦境にあったので「なんで僕たちは赤字を出してまでこんなことをやっているんだ?」という気持ちが出てくることもあって、そのときに「最初に描いた絵をみんなで見たい」という強い思いがあったからこそ辛い時期を乗り越えられました。

ビジネスはとにかく大変なんです。でもだからこそ、自分たちが本当に“やりたいこと”を“やるべき”ことにしていくことに私たちは慣れていき、チャレンジできる体質でありたいな、と思っているんです

 

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今からちょうど10年前くらいは最悪の状態でした。スマイルズは当時三菱商事の社員だった私が社内ベンチャーとして立ち上げた会社なのですが、個人の遠山商店が企業としてのスマイルズへと変革していくときは、特に辛かったですね。評価や売上はあがっているんだけど、長らく利益が安定しなかったんです。

利益が出ていなければ当然、株主からの要望もあって、いわゆる「ビジネス」にどんどん寄せられていきます。PDCAをもっとうまく回そう、もっと利益を上げよう、と。会社にもピリピリした空気が流れていました。

そのころ、コーチングを受けてみたんです。そのなかで事業を通じてやりたかったことを話して現実と比べてみたら、全然違うところにいた。それで、いまも掲げている事業計画「スマイルズのある一日」を描いたんです。事業計画なのに、具体的な数字もない一枚の「絵」なんですね。

1冊目の本を出した2005年はどん底だったと振り返る遠山さん。編集者の提案で、本のなかにこの事業計画を盛り込んだ「生活価値の拡充」という自分たちがやりたいことを思い出して、そこからMBOをして、“やりたいことをビジネスにする”という私たちの今があります。

辛い時期ってどうしても、なんでこんなことをやっているんだろう?という気持ちが湧いてくる。そのときにやる意味、やりたいという思いがないビジネスはただしんどくなってしまう。儲かるはずだという理由だけだと、儲からなければそこで終わってしまうから、いざというときに踏ん張れなくなってしまうんです。

もちろん儲けることも大事だけど、ただそれだけじゃ面白くない。Soup Stock Tokyoも当初、長い間苦境にあったので「なんで僕たちは赤字を出してまでこんなことをやっているんだ?」という気持ちが出てくることもあって、そのときに「最初に描いた絵をみんなで見たい」という強い思いがあったからこそ辛い時期を乗り越えられました。

ビジネスはとにかく大変なんです。でもだからこそ、自分たちが本当に“やりたいこと”を“やるべき”ことにしていくことに私たちは慣れていき、チャレンジできる体質でありたいな、と思っているんです

 

コーチングのバリュー(41)あえて物事を反対に、前向きに見させる。

物事の見方は、なかなか自分では変えられません。自分の経験や、偏見、新しい挑戦へのリスクなどが、違う方向からの見方」を遮るのです。ワザとそういう着眼点を与えることで、やるやらない、信じる信じないにしろ、そういう観点が存在することを理解してもらうことが重要です。

 

コーチングのバリュー(42)Yahooのケース

非常にいいコーチングのケースが、Yahooさんのケースでありましたので引用します。

http://www.businesscoach.co.jp/case/yahoo.html

これは非常に役にたつ。そのまま使えますね。

エグゼクティブコーチングの導入目的

Q:まずエグゼクティブコーチングについてお聞きします。ヤフーがこれを導入した目的は何ですか。A:大きくは「上級管理職のロールマッチングの早期化」が目的です。部長が、本部長になる、さらに執行役員、副社長へと昇進する。そうして職位が上がったとき、彼/彼女は、それまでと考え方を変え、行動を変え、フォロワー(部下)から新しい上長として認められる必要があります。そうして自分の新しい職位に慣れること、自分がその職位にいることに周囲と自分の両方がしっくりきていること、それが「ロールマッチングができている状態」です。ロールマッチングは新任の場合、最初はたいてい失敗しますが、それでも2年もかければ誰でも何とかなります。しかしそこで問題となるのは、今のビジネススピードを考えた場合、会社として「2年も待てない」ということです。ここで「ロールマッチの期間を短縮したい」という企業ニーズが生じます。この課題を解決するにはおそらくエグゼクティブコーチングが有効だろう、とそう考えたわけです。

外部コーチを起用することの価値

Q:「外部のコーチを使わずとも、社内で上長が直接指導すればよい」という考え方もありえます。

A:確かにそのとおりですが、内部で直接指導しようとすると、いくつかの障壁にぶつかります。まずロールマッチングが上手く行かない人は、たいてい「仕事ができる、優秀な人」です。そういう人は、以前の職位でプレイヤーあるいはプレイングマネージャーとして十分な業績を上げた結果、一段上のポジションに昇格するわけですが、しかし、そうした「プレイヤーとして優秀な人」は往々にして「指示型のマネージャー」になりがちです。

指示がきついマネージャーの元では、部下が自立的にものを考えなくなります。そうして全員が指示待ちになると、チーム全体のパフォーマンスがマネージャーの能力を超えられなくなります。そのままでは、仮にその場ではマネージャーの能力で当面の目標を達成していたとしても、「チームとしてのブレークスルー」が生じません。

しかしそのことを内部の人間、たとえば同僚がアドバイスすれば、「じゃあ、おまえはできているのか?」となるし、上長(評価者)が指摘したのでは、指示なのかアドバイスなのか不明であり、当人の納得感は低くなるでしょう。そのマネージャは「部下が育つのを待っていたら、いつまでたっても成果は上がらない、目の前の目標を達成できない」と反論するかもしれません。これはこれで正論なので追及や説得は困難です。

しかしそこで一皮むけて、新しい職位にふさわしい物の言い方、やり方を覚えると、やはりチームの業績は伸びるのです。このことを何とか新しいマネージャーに伝えなければいけません。

こういうときは、やはり外部のプロフェッショナル・コーチに頼るのが得策です。そのコーチは、単なるカウンセラーではなく、実際のビジネス現場で本部長や経営者など上位の役職を経験したことがある人が望ましい。そこに高度なコーチング技術と熱い情熱が加われば、停滞しているマネージャーの固いカラを打ち破れることが期待できます。

コーチングが有効な理由

Q:コーチングはなぜ人に変化をもたらしうるのか、本間様の考えを教えてください。

A:話を簡単にするためにティーチング(教化)との対比で考えることにします(※注釈1)。

ティーチングとは「教師役の人から有効な考え方、物の見方、ノウハウを教わること」、「他人の言葉、考え方を受け入れて自己を成長させること」ですが、この場合、教わる側に、相手(教師)の言葉を受容する準備があること、つまり「聞く耳があること」が前提になります。

先に挙げたマネージャーの場合は、「過去の成功体験ゆえに他者の言葉に耳を傾けられない状態」に陥っているわけで、このときストレートにティーチングをしても上手く行きません。やはり人間は感情の生き物であり、「こうするのが正しいので、こうしなさい」と理詰めで説くだけでは納得しないのです。

一方コーチングとは、それを受ける側が、「コーチが投げかける質問に対し、自ら考え、自ら答えを見つけること、その上で自分に対しさらに問いを投げかけること」といえます。そのプロセスの中で、自分の思考と行動の基準を、言語化、外化(externalize)していき、まず自分で自分の考えを理解し、そして周囲(他者)にも自分の考えを自分の言葉で説明できる力を身につけていくこと、それがコーチング受講者の成長です。

私自身、経営者だった頃に、10回指示しても動かなかった社員が、一つ質問しただけで劇的に変化したという例を何度か見てきました。やはり人を変えるには、外部からの教化よりも、内発的な気づきの方が有効であり、それを促進するのがコーチングなのです。

またティーチングが「知らなかったことを教える、それによりできない人をできるようにする」という行為であるのに対し、コーチングの場合、それよりは「本人がもともと持っているポテンシャルを早期に開花させる」ことが主な目的になります。なのでロールマッチングの「早期化」にはコーチングが向いているのです。

このような考えのもと、2013年にビジネスコーチに対し、社内の数名に対するエグゼクティブコーチングを依頼しました。その数名のプライバシーを尊重してこのインタビューでは委細を省略しますが、いずれのコーチングでも十分な効果が得られました。今回のエグゼクティブコーチングでは、人事部としての所期の目的を達成できたと考えています。

※注釈1:「便宜的にコーチング vs ティーチングという図式で話していますが、実際にはティーチングの中にもコーチングの要素がありますし、逆もまた真なりです。」

社内コーチ育成研修の導入目的

Q:次に「社内コーチ育成のための集合研修」についてお聞きします。これを実施した目的を教えてください。

A:ヤフーでは上司と部下が1対1で定期的に会い、大切なことを真剣に話し合うという、1on1(ワンオンワン)ミーティングを行っています。社内コーチ育成研修はこの1on1を行う上司に、対話(コーチング)の基礎技術を習得させるために実施しました。

1on1は2012年に開始し、「ヤフーの社員は原則として行うべき(=義務に近い推奨)」というミーティングとして位置づけられています。しかしこうした「業務時間を割いてまで行う活動」は、注意深く推進しないと、現場に嫌気され、取り組みが形骸化するおそれがあります。

また1on1は、参加者、特に上司の側が「対話の技術」を会得していないと、真剣な話し合いではなく、愚痴のはけ口、一方的な説教、あるいは単なる雑談の場に終わる可能性があります。

それを防ぐべく、社内で選抜した30名の管理職にコーチングの基礎技法、対話のコア技術を事前に教授しました。それを受講した上司が、正しいコーチング技術を使って部下とよく対話すれば、「1on1は良い」という定評が確立し、取り組みが社内に浸透すると期待したわけです。

現在1on1は開始から3年を経た現在、「8割の社員が週一の頻度で」実施しており、アンケート結果も良好です。またヤフー本社からグループ会社に転籍した社員が、自主的に1on1を(その義務はないにも関わらず)継続しているという事例もあります。

事前にコーチングの基礎技術を教えていなかったら、1on1はここまで定着しなかったと思います。

上司ではなく部下の満足度が有効

Q:今のお話は「コーチング研修を受けた上司のみなさんが、1on1に手応えとやりがいを感じ、それが弾みとなって1on1が活発化、定着した」ということですね。

A:いえ、逆です。コーチする上司の側ではなく、コーチされる部下の方が、1on1に手応えや有効感を感じたからこそ、「1on1は良い」という評判が社内に広がったのです。

研修受講者の上司ではなく、その先にいる部下を満足させなければならない、これは研修講師であるビジネスコーチにとって難しい課題だったと思いますが、コーチのみなさんはよくやってくださったと思います。

ビジネスコーチ(株)への評価

Q:実際に業務を依頼してみて分かったビジネスコーチ(株)への評価を教えてください。

A:まずビジネスコーチ(株)のサービス内容は「企業の人事部にとってバランスがいい」と感じています。

一口にコーチングといっても各社ごとに流儀が異なっており、中には「個人の自己実現」を重視するタイプもあります。しかしその手法で社員をコーチすると、場合によっては「あなたの自己実現のためには、このまま企業にいるよりNPOに行った方がよい」という結論に帰着することもあり、そうしたコーチングは、その品質の良し悪しとは別に、「人事部として発注する」のは少々困難です。一方、ビジネスコーチ(株)は、社名のとおり「ビジネスパーソンの組織内での成長を支援する」ことに主眼を置いており、その点はバランスが良いと感じました。

また実際にコーチングや研修を依頼してみて「柔軟性が高い」という印象を持ちました。柔軟性が高いというのは、その時その時のこちら側のニーズ、状況、事情の変化に応じて、コーチングの流れや力点を適切に変化させられるということです。自社の流儀に固執することなく、状況に応じた最適解を模索してくれる姿勢には、こちらとしては助かりました。

先輩ユーザーからのアドバイス

Q:現在、コーチングの導入を考えている企業に向けて「先輩ユーザーとしてのアドバイス」などあればお聞かせください。

A:個人的意見ですが、コーチングの場合は、通常のサービスを購入するときのようにまず企画書、見積もりを求め、比較表で相互を検討するような方法、つまり「こちらは分からないので、そちらが説明せよ」という姿勢では、上手く導入できない可能性が高いと思います。ある程度は、導入する人事部側が積極的に予習した方が良いと覆います。

というのも仮に各社の営業マンが懇切丁寧に説明してくれたとしても、どの会社のどの営業も、言うことはたいして変わらないからです。正直、私自身も、事前説明を聞くだけではコーチング各社の良し悪しは見分けられません。

しかしそれでも、大学院から今までコーチングに接する機会が多かったので、各社の「営業説明の背後にあるもの」、「各社のコーチング思想の源流、バックボーン」は何となく透けて見えます。ビジネスコーチ(株)の場合であれば「マーシャル・ゴールドスミス(※注釈2)の流れに属しているのだな」と分かり、それはある程度、判断の助けになりました。

コーチングは究極のところ「やってみないと分からない」部分がありますが、どうせ試すのであれば同じ流儀のコーチングをダブって試すのではなく、違った思想のコーチングを導入する方が、試行として有効です。そのためにも各社の流儀の違いはある程度、事前に分かっておいた方がよいといえます。

コーチングの予習については、本を読む、セミナーに参加する、コーチングを実際に受けてみる、あるいはそれが無理ならコーチングをすでに導入している他社の人事部と接する機会を得て、「実際どうなのか」「どうやって選んだのか」「どのように運用しているのか」など情報収集することをおすすめいたします。

※注釈2 アメリカのエグゼクティブコーチ。フォード、グラクソスミスクライン、ファイザーなどグローバル企業のCEOのコーチを務め、「コーチングの神様」と呼ばれる。

今後の期待

Q: ビジネスコーチ(株)への今後の期待をお聞かせください。

A:ヤフー人事部ではひきつづき「社員の才能と情熱を解き放つ」ための施策に継続的に取り組んでいきます。ビジネスコーチにはその取り組みを、優れたコーチング技術を通じて後方支援していただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

 

コーチングのバリュー(43)インフラ作りがあとまわしになると、成長期のボトルネックになる。

成長期のベンチャーでは、商品開発や技術力のみが注力されて、組織力、社内のインフラ作りが後回しになることが多いです。インフラ作りがあとまわしになると、成長期のボトルネックになります。組織の歪み、好き嫌い、情報共有の不足、信頼関係などが、商品開発のスピードに影響してくるのです。こういったところに、第三者であるコーチが入り、社員の不満・希望などを吸い上げ、共感しながらCEOに課題をまとめて、対策を立てさせます。人事部にそれほど力をかけられないば場合には、半年ほど続けると非常に効果があります。

 

コーチングのバリュー(44)優秀な人ほど、キャリアの要所・要所(ターニングポイント)で、専門のコーチを雇う。

USでは、優秀な人ほど、昇進、降格、配置転換、転職、などのキャリアの要所・要所(ターニングポイント)で、専門のコーチを雇い、自分自身を振り返ります。常に振り返る習慣を取ることで、自分の進路を調整し、モチベートし、働き方をリニューアルするのです。今後ますます、環境への適応性が必要になってくるので、この振り返りの習慣は大事です。

 

コーチングのバリュー(45)これからのリーダーに一番必要な、振り返り力

Business Nomad Journalに寄稿しました。

前回、インテルでも上級エグゼクティブにはコーチがつくことについて触れました。インテルでは、より上のポジションにつく前に、徹底的に「振り返り力」を鍛えられ、リーダーとしてふさわしくない行動を修正されます。今回は、その理由と効果についてお話しします。

 

グローバル企業における、成果主義の勝者にありがちなもの

グローバル企業では、成果を出さない人はもちろん退職させられますし、昇格による給料や権限も非常に差が出ます。プレーヤーとして 優秀な人ほど勝利への執着心や負けず嫌いの努力で、スピード昇進していくため、成果を出していく人たちの基本となるコミュニケーション能力や事務処理・分析能力は異様に高いです。しかし、それゆえに自分のやり方に対する自信とプライドが高くなりすぎて、自分の悪い行動を素直に認めて修正することが難しくなります。

成功した人は、自分の強みを過大評価する一方で、弱みを過小評価し、得意分野の領域でのみ他人と比較して、相手の方が劣っていると思い込みます。例えば自分の思う通りに部下が動かなかったり、見当違いの意見を言われたりすると、「違う。違う」、「なんでわからないんだ?」、「前に言っただろ」と、イライラして納得できないのです。

 

他人の評価を受けいれる力。振り返り力とは

しかし、プレーヤーとして成果を出してきた人が、さらに次のステージ、つまり「次のリーダーを育てる」などの段階にレベルアップするためには、それまでとは異なる行動が必要になります。自分が頑張るということに加えて、知らず知らずに行っている「リーダーとしてふさわしくない行動」に気づかなければなりません。

米国では、ガバナンスの観点から、違う意見に耳をかたむけ、否定されたからといって激怒して批判をしないスキルを身に着けないとCEOなどのポジションになるのが難しくなっています。そこで取締役会などが、候補者にエグゼクティブコーチをつけて、リーダーらしくない振る舞いや、行動を直させるんですね。人の言うことを聞かなかったり、破壊的なコメントをするなどのクセを直さないと、社員が現場の課題を意図的に隠してしまうこともあるからです。

リーダーは、他人から見えている自分の姿にも、多少なりとも正しい部分があると感じることが必要です。そうして、部下や周りの評価を受けいれ、素早く行動修正できれば、大きな間違いをする(地雷を踏む)リスクが減り、組織のモチベーションも上がります。傾聴や感謝で、まず信頼関係を築き、あの人を応援したいと思ってもらわないと、リーダーがいくらビジョンを語っても動かないのです。

 

部下・周りから評価されるということ

インテルでも取り入れている360度評価、上司や部下・同僚や一緒に仕事をした経験のある他部署の人などの複数の評価者による評価方法です。この360度評価を部下からもらうと、その内容に、最初は愕然とします。「おれは、こんなに気をつかっているのに」、「何回も説明しているのになんでわからないんだ」と。

こうした機会に初めて気づくのですが、リーダー本人の行動とまわりが認識しているギャップは非常に大きいことが多い。このギャップを正確に、中立的な目でみることが必要になります。いわば、フィギュアスケートで自分では3回転回っているつもりでも、画像でみせてあげると実は2回転であったことがわかるように、中立かつ客観的にギャップを認識しなくてはいけません。

組織では上に行けば行くほど周囲から良い情報ばかり入るようになり、周囲も真実を伝えにくくなります。周囲がイエスマンばかりになると組織としては危険です。だからこそ批判的な意見を伝えてくれる人、否定的な情報も大切にすべきなのです。

ある本部長は、ワン・オン・ワンという1対1のミーティングで、いつも自分が話す時間が9割だったのを、周りの声を実際に聞くまで気づいていませんでした。それから「常に60%の時間は相手のいうことを聞く」や、「怒っているときには話さない。」などを約束すると宣言して、そういう行動をみつけたら注意してほしいと部長会議で伝えました。また、自分では怒っていない、語気が荒い程度のつもりでも、周囲としては彼が怒っているように感じていることもあります。

 

「頷いてるけどわかってない」状態。立場が違うと思いが違う。

また、リーダーになると、「どうも言っていることが伝わらないなあ。みんな頷いているんだけど」と感じる機会も増えます。それは、立場がちがうということを理解できていないからです。

「ビジョンが浸透しない」、「現場から能動的に意見がでてこない」などの不満を抱えているリーダーの話をよく聞きます。しかし、どこまで理解できているのか確かめながら話さないと伝わりません。「これは、あなたにとってどういう意味なの。どうすればあなたは貢献できると思う?」など、誤解しようのないレベルまで掘り下げて、向こうの意見や感じたことを確認してみないと、100万回伝えてもうまく伝わりません。

特に、リーダーが信頼されていない場合には、このように伝えたいメッセージを相手の理解できる言葉にする必要が有ります。なぜ、このような理解力のギャップがうまれるかというと、情報量と思いが立場によって異なるからです。リーダーは全体をみており、部下が持っていない情報も持っていますが、部下は、共有されていない情報があり、自分の立場しか見ていません。このギャップは想像以上に大きいのです。リーダー自身から心を開いて部下に歩み寄っていかないと、部下も心を開きません。

 

リーダー失格の烙印。失敗は成功のあと、万能感が出てきたときに起きる

私も、20年あまりのインテル人生の中で、2度ほどリーダー失格と評価されたことがあります。一度目は、米国勤務から帰国し、インテルの部署で実績を積み上げ肩書をもらえて頭でっかちになっていた時です。チームが仲良く仕事をできるようなケアを一切せず、成果主義だけに走った私は、優秀な社員をやめさせてしまい、チームを壊してしまいました。 失敗は昇進や成功のあと、傲慢さや自分の万能感が出てきたときに起きるのですが、その時は気づきませんでした。 「なりたくてなる天狗はいない」といいますが、その通りですね。

当時の私はというと、状況を打開するために、部下たちに積極的に声をかけるようになりました。チームの輪を第一に、無理強いはしないようにしていったことが実を結び、その後はなんとか信頼度が上がっていきました。そうして1度目の失敗を乗り越えていきました。

しかし、また10年後に、昇進や社長賞などをもらって天狗になると、2度目の同じ失敗が待ちかまえていました。インテルの部下からの360度評価は、80点以上が合格となります。私はシニアリーダーとなったある年の360度評価で、インテル10万人の社員の中のシニアリーダー約3千人の中で、最低の5%にはいるほどの低いスコアになりました。このレベルの得点はリーダー失格の烙印に近く、即退職勧告でも不思議ではありません。

いったい何が問題なのか、本を読んだりセミナーに出たりと、色々試みましたが、効果はいまひとつでした。自分ではこんなに気を使って、BBQパーティや部内表彰、ビジョンの説明などをやっているのに、部下からは「サポートされていない」、「ビジョンが明確ではない」、「キャリア支援されていない」という評価でした。非常にショックで、夜眠れないほど腹がたちましたが、良い解決策が見つかりませんでした。

そうして悩んでいると、そのときの上司が、「俺もそうだったんだよ。簡単にはいかないけど、じっくり2年ぐらいかけるつもりで直していけばいいよ。」と、言ってくれました。この言葉に助けられました。落ち着いて、自分で直せるものならば直してみようと考えました。その時に、前回のエグゼクティブの思い出から、コーチングを受けてみようと考えたのですが、むしろ自分がコーチになった方が早いと思いコーチングの資格を取ることにしました。これがターニングポイントでした。

 

成功体験からの驕りに要注意。振り返りにより気づいたこと

360度評価の低い結果を受けて、部下のタイプ別に指導の仕方を変え、マイクロマネジメントをやめるようにしました。実は、私もそれまではかなり細かいマイクロマネジメントをしていました。

また秘書の人にも相談してみました。「ビジョンも話してるんだけどなあ」、「バーベキューとか、歓迎会もしてるんだけどなあ」、私がブツブツ言っていると、「月に1回、月次報告会をして、会社や部の状況をちゃんと話しましょう。」「部員の誕生会を毎月しましょう。」など、具体的なアイデアが出てきました。そしてそれを少しずつ続けていくと、部下の評価も、チームの雰囲気も良くなってきました。自分で考えていても、見えていない部分があるのです。

その結果、部下からの多面評価は徐々に改善されて、1年でスコアは約100%アップしました。100点満点で40点が80点になった感じです。自己分析すると 自分自身が過去のスパルタ上司から受けた経験と、これまでの成功体験による驕りがあったのですね。自分がそれまで評価していなかった人にも我慢強く、よいところを見付けてタイプ別に対処するようにしました。

最終的には「こんなに笑う人だったんですね」と言われるようにもなりましたし、部門を異動する際に大変感謝されるまでになりました。

 

容易ではないプレーヤーからマネジメントへのステップ

今回は筆者のインテルでの経験を基に、それまで成果主義で評価を受けてきたプレーヤーからマネジメント、組織のリーダーへと自己変革していった経緯についてお話ししました。当然ですが、プレーヤーからマネジメントには大きなギャップがあり、プレーヤーとして成功した人がマネジメントとしてそのまま成功するとはいえず、むしろその成功体験が足かせとなる場合があります。

プレーヤーとして成果を上げてきたからこそ、自身の成功体験をもとに、自分のやり方を押し付け、マイクロマネジメントに陥りがちです。しかしそれでは本当の組織マネジメントはできません、形ばかりの組織ができたとしても、いつかは壁に突き当たります。

他人の評価を受け入れ、自分には見えていない点を認識し、立場の違いを考慮したコミュニケーションをとる、これらは言われると簡単にみえることに思えます。しかし、実際にこれらを実践できているリーダーは多くはありません。

インテルでは、上司や評価システムで、それらに気付き、修正する機会が与えられています。しかし、ベンチャー企業のマネジメント層やたたき上げの経営者には、これらのリーダーとして育成される機会が与えられていません、失敗してから学んでいくしかありません、悪くするとそのまま組織崩壊や事業の停滞へとつながります。だからこそ、リーダー育成の機会やコーチングが重要になってくるのです。

 

次回は、振り返りとコーチングによって気づき、変わっていった具体例とそのステップをもう少し詳しく話したいと思います。

 

コーチングのバリュー(46)スタートアップ入社2年目M君の場合

スタートアップに入社して2年目で、最近かなり積極的にセミナーや勉強会に出たり、資格を取ったりしています。入社時は少し頼りなそうだったのですが。彼になぜコーチングが君にとって意味があるのかを聞いてみました。彼の答えは、「自分はエンジニアで、あまり人に自分の考えを話す機会がない。だから、目標やゴール、できていること、できていないことなどを質問してくれて、メモして目で確認できるのは貴重なんです。また、色々な会社のケースや、どうやって解決していけるかなどのアイデアも自分では思いつかないことを並べてくれるので、そこにも気づきがあります。」彼は、ずっとジムに通うようになってから、体の調子がいいそうです。自分ができていることを気づいて自信がついてきたようです。

 

コーチングのバリュー(47)視点を変える

発想を変えるような質問をコーチからされることで、想像もしなかった新たな答えを生み出していることに気づきます。経験が豊富なリーダーでも、1人で考える発想には限界があります。例えば、複数のコーチが加わることによって、そのクライアントは複数の脳ミソを活用することができるのです。コーチも、単純でない、違った観点で考えさせる質問をたくさん持っています。

 

コーチングのバリュー(48)重傷になる前にケアする

コーチングしていると、悪い情報や問題の兆しをリーダーと共有することで、大きな問題になる前に対処することができます。怪我のうちに応急処置をしいて、悩みを聞き、すぐに対処することで、退職や休職などの重傷になるのを防げます。経営層や社員にコーチングしてから約1年で、早期に問題を発見してから、離職率がゼロになったスタートアップもあります。創業期のベンチャーは、仕事が雑多で、非常にみんなが忙しくて、人間関係やコミュニケーションなどの小さな問題の芽を見逃しがちです。そういった時に第三者であるコーチが、客観的な視点を与えて、早期に対処することで、防げます。

 

コーチングのバリュー(49)コーチングで獲得するリーダーシップ・スキル

Business nomad journalに寄稿しました。

 

今注目を集めている、マネジメントコーチ(経営者コーチ)。インテルにて、オペレーション部門全般から、技術標準・新規事業開発など幅広く15以上の職務を歴任され、現在は複数の企業やエグゼクティブのマネジメントコーチとして活動される板越正彦さんによる連載。

第5回は、「コーチングで獲得するリーダーシップ・スキル」です。

前回では、グローバルリーダーの「振り返り力」の重要性についてお話ししました。今回はその「振り返り」によって、自己認識を高めるための具体的ステップについてお話しします。

 

振り返り、向き合い、直すためにコーチをつける。

グローバル企業では、上に行くほどリーダーシップはスキルであり、経理やMBAのように、後天的に身につけられるものだと考えられています。そのため、将来性のある上級経営者には高額なエグゼクティブコーチがついて、その第1歩である「傾聴力・質問力」を養うことが、リーダーになるための必須スキルとされています。

まず「傾聴力・質問力」が重要というのは、現場の相手の話に真摯に耳を傾ける力(特に悪い情報)がないと本当の情報がわからず、判断が遅れてしまいます。つまり、そうした力が欠如しているのは、経営においては致命的なことになりかねません。

しかしながら、この「スキルとして」リーダーシップを身につけるという意識が、日本の経営者や政治家には多くの場合欠けています。こうした日本では馴染みがない一方でグローバル企業では「当たり前」のコーチングですが、現実にはどういったように行われるのか、そのステップを具体的に見ていきましょう。

行動変革の第一歩。自分の行動や振る舞いへの気づき

部下から上司には直接言いづらいことがあります。例えば「あなたは人の話を聞きませんね」、「一人でなんでもやりがちですね」、「上司や顧客にはいい顔しているのに、部下には高圧的ですね。」、「一人の社員に気をつかいすぎです。」といったことです。

コーチングは、これらの自分の行動や振る舞いについてのフィードバックを、周囲からのヒアリングを元に面と向かってコーチから聞くことから始まります。

そしてコーチは尋ねます。「そのことについてあなたはどう思いますか?」

 

本音を引き出し、行動変革の必要性を腹落ちさせるためには、アドバイスよりも、質問によって、信頼関係を構築し、リーダー自らに気づかせることが重要です。本当の懸念や気持ちを、質問力を使って聞きだし、対話を通じて仕事の課題を整理する。コーチングという形式は、悩みや課題について、「対話を通じて」明確にしていくのです。

経験豊かなコーチが多角的に質問や着眼点を投げてかけてくれることで、自分の弱点克服や考えの整理につながります。逆に、「自分で解決する」という方にみられるのは、自問自答すると堂々巡りになり、整理するのが結局難しいことが多いのです。

また、「相手にリスペクトを求めるのであれば、まずはこちらがリスペクトすること。相手に誠実な仕事を求めるのであれば、まずはこちらが誠実な仕事をすること。心を開いてほしいなら、自分から心を開くこと。」など、コーチは本質的な気づきを与えられるアドバイスも行います。

そして、リーダー自身が認識した自分の悪い行動や振る舞いについて、コーチから「(組織の目標達成のためにやるべきことを)ちゃんと直してやっているのか?」と定期的に確認されることで、研修と違って、「傾聴する」、「激しく怒らない」などの良い行動習慣が定着します。

謝罪から始める。「自分の殻を破る」ために

コーチングを受けるリーダーには、自分の行動を内省して振りかえってもらった後で、まず部下や関係者に謝罪してもらうところから始まります。人の意見をよく聞かなかったり、全てに負けず嫌い過ぎたりしていたことについて、自らの非を認め、「自分は変わる」ということを、関係者に公言するのです。

過去の過ちを悔い、リーダー自らが変わろうとしている姿を見せることは、「自分の殻を破る」重要性を周りに伝える非常に強いメッセージになります。「恥ずかしい」、「かっこ悪い」などのプライドのある人は、特にこの宣言を躊躇され、なかなか宣言できません。しかし、過去の例を見ると、優秀な人ほど、この部分の重要性の理解度が格段に早く、すぐに行動されます。

つまり、受け手についても優秀であるほど、コーチングを受けてから実際に変わる期間が短い傾向にあります。

行動改善のアイデアをもらう

評価をもらい、悪い行動を謝罪した後で、次には「何を止めれば良いのか、自分の行動がどのような悪い反応を引き起こしているのか?」ということについて、周囲から率直なフィードバックをもらう段階に移ります。

過去の行動を責めるフィードバックではなく、「私が変わるために役立つアイデアがあったら、ぜひ教えて欲しい」と、将来の改善点を提案してもらうところがポイントです。例えば、率直に意見を言い過ぎる傾向があるリーダーは、「話す前に、今ここで話すことが相手や会社にとって、本当に価値があることかを再度自問する。」というアイデアがひどく気に入りました。実際に実行された結果、相手にイヤな思いをさせる発言が、8割ほど劇的に減ったそうです。

仕組みで改善する。意思の力だけでは人は変わりにくい

意思の力だけでは人は変わりにくいので、行動や振る舞いを決定づける原因と要素を解明し、それを仕組みによって改善する必要もあります。

仕組みにより習慣改善を長続きさせる例として、以下のようなことが挙げられます。会議の前に自分の振る舞いの注意点を確認するためのメモを持つ。(怒って話さない、口を挟まないで聞く、など)受動的な質問ではなく、能動的質問を日課にする。(「会議は意義あるものだったか」ではなく、「意義ある会議にするために私はどのような努力をしたか」を問う。)会議の発表フォーマット(部門がどうやって助け合えるか、共通ゴールを持つか)を作る。次回は、こう言った振り返りとコーチングによって気づき変わることができたリーダーの具体例とそのそれぞれの仕組みやよい質問をタイプ別に詳しく話したいと思います。

 

コーチングのバリュー(50)スタートアップCTO Nさんの場合

「緻密に開発する」ことを信条として、バグがないように完璧にシミュレーションしているとのプライドを持っていました。そのために期間がかかり、新しい機能追加などに柔軟性がないとのCEOのフィードバックがありました。Nさん自身は、グローバル企業で高い実績を上げられた方なので、非常に論理的で、無駄な行為をしたくない「現実型」でした。チャットで課題を解決するので、打ち合わせもなるべくしないとのことです。しかし、部下のエンジニアが退職されたことで、マネジメントを学びたいという意欲がありました。自分が尊敬する前職の開発部長が、部下のサポートをさりげなくしていたり、キャリアについての相談を受けたりしているのを思い出してもらい、自分もやってみると気づかれました。

 

 

コーチングのバリュー(51)コーチングで実現するリーダーの自己変革

ビジネスノマドジャーナルに寄稿しましたの。

第6回は、「コーチングで実現するリーダーの自己変革」です。

前回では、グローバルリーダーが受けるコーチングの「具体的ステップ」についてお話ししました。今回はその「振り返り」によって自分の行動変革すべきところを見つけ、優秀な人が、より優秀に変革できた具体例を挙げていきたいと思います。まずは大企業編。最初から完璧な人はいません、キャリアにおけるステップアップの中で行動変革が必要になります、そうした変革を促進するコーチングですが、今回はそのようなタイプ別の行動変革の様子を掲載しました。

 

自分との対話の時間を確保する。

経営層へのレベルアップに必要なもの

商社系の大きなシステムインテグレータに勤めるA専務。自分の経営者としてのレベルを1ランクあげたいと思っていたことから、かねてより興味をもっていたエグゼクティブコーチングを受けることにしました。

A専務はコーチングを通して、もう一段上の経営層にレベルアップするには何が必要かを認識するに至りました。過去に体育会的な厳しいマネジメントを経験していたため、彼自身もそれまではマイクロマネジメントのスタイルでしたが、そうではなく、部下に任せるスタンスを見せていくことが必要だという気づきを得られました。そうして、意識的に自分から指導するのではなく、部下に問いかけるスタイルに変革することができました。

 

また、彼にとってコーチングを受けて得られた最大の気づきは、「定期的に自分の時間をもちなさい」と言われたことだそうです。それまでは事務処理と会議、客との会食だけで、日々の時間が終わってしまっていました、コーチに「いつ考えるんですか」といわれて、なるほどと実感したそうです。

それからは、自分で、意図的に何も予定をいれない空き時間を「自分へのアポ」として定期的に作り、中長期的な戦略や、ビジョンなどを考えることができるようになったそうです。

 

6割の時間を相手に話してもらう。

「話しすぎる」リーダーへの処方箋

グローバルIT企業の副社長Bさんは、非常に面倒見がよく部下からも慕われていましたが、話し始めるとアドレナリンが出すぎて、 自分ばかり話をしてしまう傾向がありました。1対1の部下との面談では、いつも80%以上の時間を自分が話していたそうです。中途社員の面接で、1時間相手に一言も質問しないで、本部のミッションやビジョンを話し続けたという伝説もあるほどです。採用された人は、あとで、「何で採用されたのか不思議ですよね」と笑っていたそうです。

 

Bさんは、コーチングを受けたあと、関連本部の部下の前で、次のような決意を宣言します。それは、「これからは、1対1の面談では、6割以上の時間は必ず相手に話してもらうことにする」というものです。みんなからも驚きとともに、非常に好意的にうけとめられました。

 

任せる。完璧主義者の女性リーダーの行動変革

飲料会社の女性のC人事部長からは、「戦略企画力が弱い」という周りの評価をうけ、その点を強化してほしいとのコーチングの依頼がありました。女性のダイバーシティのモデルとしても、会社から非常に期待され、いつも前向きに家庭ともバランスをとっている人事部長でした。

コーチングを受け、自分の戦略企画力を伸ばしながらも、企画の得意な部下の意見を聞いて仕事をまかせていくこと。部下の失敗を奨励し、自分も新しいことにチャレンジして模範を示すこと。そこで生まれた時間を、部外のネットワークや、メンバーへのビジョン共有により連携を深めるための行動時間に定期的に使うこと。の必要性を理解し、行動できるようになったそうです。

 

日本の女性のリーダーの多くは「完璧主義」で「自分を責める」傾向にありますが、この女性リーダーはコーチングの結果、部下に任せることでうまく気分転換することができました。

 

 

朝はスマイル。巻き取り型上司の変革

システム会社の本部長Fさんは、非常に真面目で、部下とも進んで対話していますが、なんでも最後は自分で巻き取ってしまいます。彼としては、現場から自分を納得させるアイデアがでてこないことに不満をもっていました。

 

そうした彼が設定した行動目標は、自分の部署以外のことを考える時間をもつこと。好きな歴史を基にして、経営者目線をあげるストーリーをつくること。朝はつねに笑顔で挨拶することなど。

他の部門との連携など、部下が期待しているもののそれまでは実現できていなかったことなども積極的に取り組んでみるようになりました。

 

その結果、それまでは前日に飲み過ぎたときなど朝機嫌が悪く部下から避けられていましたが、朝一で自分から挨拶することによって、周りの印象も変わり、自らもゆっくり自分の所作や印象を俯瞰してとらえる機会になりました。さらに、自分の殻を破って挑戦することで、周りの人とのコミュニケーションが円滑になっていくことに気づき、自分の行動を変えることによって周囲が変わってゆくことを実感しました。

 

優先順位を整理する。仕事が多すぎる大学准教授

その他の事例としては、大学の医学部准教授でもコーチングを活用しています。「仕事が多すぎるので整理したい」、「自分がやりたいことをうまく説明したい」といった要望での活用でした。

プレゼンテーションの改善は、外から指摘されるよりも、自分の話し方、目線、 メッセージ、フォイルのまとめ方などを、ビデオで録音し、自分で気づいてもらうことが効果的です。さらに、コーチにプロジェクトの内容を話していくことで自分の中で整理がなされ、冷静にリーダーシップを意識するようになります。多すぎる業務についても、自分のアプローチの仕方、意味づけの仕方次第でどうにでも変えることができる意識が芽生えました。

 

積極的になる。競争に消極的な社員の変革

コーチングはエクゼクティブ向けのみのものではありません。グローバル会社のある若手新入社員は非常に穏やかな性格で、グローバル企業 での競争や成果主義には消極的でした。成長意欲はあるものの、自信がありませんでした。

コーチングを受け、数ある行動目標の選択肢の中で、彼女が選んだのは、「会議やセミナーでは一番前に座り、一度は質問する」と「新人でありながら社内レクリエーション活動の代表になる」でした。こういった非常にシンプルな行動目標が、シンプルであるからこそ非常に効果をもたらします。

 

この行動を続けた結果、周りの中堅社員よりも目立ち、自信を持ち、昇進することができました。本部のCEOが来た時にも、的確な質問を堂々として、日本の社長からも評価されました。最終的には、自分のためよりも、まわりの人の成果をあげるのに貢献したいと悩んだ結果、サポート中心で仕事をできる会社に移って行きました。自分が本当にやりたくて、心の幸福を保てる環境を選んで、そこに移るための決断の後押しができました。このようにコーチングは時として、今いる環境に限らない自分のキャリアの選択肢を開いてみせる効果ももたらします。

 

「バカ」よばわりする。誰もがコーチングで変われるわけではない

こちらは、「振り返り」をしなかった例です。日本の企業ではこのケースが非常に多いです。ある営業本部長は、上司・顧客との関係構築に献身して、新規開拓営業などで実績をあげ昇進してきました。しかし、自分の部の部下だけを特にかわいがったり、他の部門長を「できない奴」や「バカ」よばわりするのがやめられなかったので、関連会社に出されてしまいました。そして、そこでも同じように、えこひいきが強くダメになりました。自分の過去の成功体験を捨てられなかったのです。

こういった人に、自分のエゴやプライドをおさえることで、もっと上のレベルの責任と、まわりからの信頼を得られる機会が得られることを理解してもらう手段としてコーチングは効果的ですが、誰もが変わることができるわけではありません。

 

この他にも、「敬意を表さない」、「自説にこだわる」、「周囲を責める」、「感謝の気持ちがない」、「自責で考えない」などの行動習慣が治らないと、周りがリーダーを支えようという雰囲気になりません。

 

次回は、こう言った振り返りとコーチングによって気づき変わることができたリーダーの具体例の中で、スタートアップなどのベンチャーでのケースをまとめたいと思います。スタートアップには、自力で起業して儲ける仕組みを作れるクラスの最高人材ゆえに若くて優秀な人が多いです。それゆえに、組織とインフラの成長フェーズと、リーダーシップの行動のギャップが認識されていないと、致命的になる場合があります。 認識されると行動は早いので、もっともコーチングの効果が高いセグメントでもあります。優秀な人ほど、改善する時間と、コーチングする時間が反比例して、短い時間で効果が出ます。

コーチングのバリュー(52)シリコンバレーでも当たり前に。ベンチャー経営者向けのコーチング(前編)

Business Nomad Journalに寄稿しました。

前回は、ベンチャー企業の経営陣に対するコーチングが、行動力が高い人材が集まっているがゆえに、効果が出やすいことを説明しました。気づいて理解した場合の修正力の高さもベンチャー経営陣がもつ強みの一つです。

インテルと同様に、Facebook、LinkedIn、Googleなどの企業でも、成長過程では、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっています。

 

今回は、実際にベンチャーに対するコーチングによって、どのようにリーダーが気づき、組織力を向上させたのか、具体的な事例をみていきましょう。

 

コミュニケーションに気を付けるあまりスピードが落ちる

コミュニケーションを丁寧にして、メンバーのタイプ別に時間をかけて対話していくことは重要です、しかし、それではあまりに時間がかかりすぎてスピードが落ちてしまうリスクがあります。元LINE社長の森川さんの言葉にも、「指導するとスピードが落ちるので、指示を細かくされなければ動けない人は採用しない」とありますが、常に民主的にふるまい、細かいことに気を使いすぎると決断と行動のスピードが落ちてしまいかねません。

 

特に優秀な人材ほど、部下の面倒を見る役目を加えられがちです。大企業やコンサルティングファームなどは、優秀な人材が取れるので、それでもコミュニケーションとスピードを両立させて機能するかもしれません。一方で、ベンチャーでは、自律的に動く人をとるのも難しく、またコミュニケーションを丁寧にとらないと、思いが共有できていない人はみんなやめて、組織に誰もいなくなってしまいます。

 

こうしたことからもわかるとおり、特にベンチャーにとって、部下への適切なコミュニケーションは非常に重要なのです。

 

相手を変えようとするのではなく、自分を変えることによって得られる周囲の変化

そのため、ベンチャーの多いシリコンバレーでも、今では経営者コーチングが、ベンチャーキャピタルや経理・監査役のように必須になってきています。すでに大会社になってしまいましたが、Facebook、LinkedIn、Googleなどの企業でも、成長過程では、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっています。インテルもそうでした。さらにはマネジャークラスに対しても、部下を持つとコーチングのスキル研修を義務付けています。

最初は半信半疑であったマネージャーも、実際にコーチングを受けてみると部下との対話や質問を通じて気づきや自信を得たり、ストレスを軽減できることが実感できるのに驚きます。相手を自分の思うように変えようとするのではなく、自分の側の行動と人との接し方を変えることによって得られる、周りの変化に初めて気づくのです。それが結局自分の行動を振り返ることにもなり、仕事以外でも、奥さんや子供との接し方もより丁寧で関係がよくなるケースもあります。

 

また、昇進、降格、配置転換、転職、などのキャリアの要所・要所(ターニングポイント)で、自ら専門のコーチを雇い、自分自身を振り返る人も多いです。常に振り返る習慣を取ることで、自分の進路を調整し、モチベートし、働き方をリニューアルするのです。

 

頭の回転の速い上司の行動変革。チーム雰囲気の改善

一流企業を退社して、ウェブ系のソフトウェアハウスを立ち上げたAさんは、頭の回転が速い人材だったのですが、立ち上げ当初、スタッフに対し、自分の意見を押しつけたり、相手が自分のペースで進まないと逃げ道を与えずつめたり、イライラするなどの傾向がありました。その結果、チームの雰囲気は非常に悪化し、生産性が落ちました。

 

それを受け、Aさんもこれはまずいと感じ、チームの雰囲気を変えるため、自分からコーチングを受けたいと相談しました。

コーチングを通して、Aさんは相手のタイプに応じて接し方を変えること、社員と家庭の幸福を第一に考えるミッションを作ること、自分が目をかけていても、チームの雰囲気をわるくする可能性のある者は解雇していく必要があることなどを理解して行動しました。その結果、チームは改善し、現在も売りあげは堅実に延びています。

 

成果を追求するあまり、周りに激しく要求してしまう情熱をあえて抑える

地元のつくばで、学生の就活や、ネットでの広告・サービスをまとめる会社を起業したBさんは、コーチングを受けて、現状や将来のイメージを具体的に振り返って考える機会をもちました。

その結果、事業の方向性における悩みを断ち、つくばでの情報流通と学生の就活支援に集中し、筑波大も含めて、ネットワークを最大限利用し、順調に成長しています。目の前の仕事で毎日非常に忙しかったので、コーチングの機会が唯一、自分の人生、今後の方向性をゆっくり考えられる時間だったと感想を述べていました。

 

成果を追求するあまり、周りにもおなじように激しく要求する情熱を、もう一段上の経営者視点で考えておさえられるようにと、行動変革をしています。

 

タイプ別指導に気をつかう

体育会系のハードワーカーで、 チームをグイグイ引っ張っていくタイプの人材紹介会社の若い代表のCさんの例です。私がコーチング始めた3年前は、社員もウナギの長屋のような細い部屋の事務所に5人だけでしたが、今では20人ちかくの所帯になり、売り上げも5億円を超えています。当初は、どう部下を育成すればよいのかを迷っていた時に、社員をタイプ別(自分の成果第一、自信がないがチームへ貢献したい、正確な理由なしでは動けないなど)に分けたモチベーションの上げ方などを考え、インタビューがうまくいかずに自信をなくしていた新人女子社員をNO.1営業まで育て上げました。

 

自身についても、リーダーには多くの種類があり、決して0から1を作り、まわりを引っ張っていくタイプではないが、メンバーの声に耳を傾け各人がなにに悩みを持ち、何を達成することでモチベートされるかを理解して接することができる、協調型リーダーシップが自分の得意とするタイプだと認識されました。

 

一方でメンバーから、「会社と私が将来どうなるかがみえない」、「具体的な指示を出してほしい」という意見もあったため、①事業戦略を明確につたえること、②メンバーの1年後の状態を伝えること、③それに対してのアクションプランを伝えることの3つをおこなってもらいました。

コーチングを通して、1)自分の強み・弱み・改善点を再認識することができる。2)協調型マネジメントを学ぶことができる。3)社内の状況が可視化できる。など多くのことを学んだそうです。

 

コーチングの最初の段階では、多くのことを学ぼうと思っていた背景があったので、何も教えてくれないなと驚いていましたが、セッションを複数回経験するうちに、自分で納得するまで内省するから行動できるというコーチングのバリューを感じることができたそうです。

 

コーチングのバリュー(53)「シリコンバレーでも当たり前に。ベンチャー経営者向けのコーチング」(後編)

Business Nomad Journalに寄稿しました。

今やシリコンバレーでも当たり前になっているエクゼクティブコーチング。

インテルと同様に、Facebook、LinkedIn、Googleなどの企業でも、成長過程では、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっています。コーチングを受けると、相手を自分の思うように変えようとするのではなく、自分の側の行動と人との接し方を変えることによって得られる、周りの変化に初めて気づくことができます。

 

前編に続き、後編でも、若手エンジニアやCTOも含めて、ベンチャーの中で実際に振り返りとコーチングによって、どのようにリーダーが気づき、組織力を向上させたのか、具体的な事例をみていきます。

 

トラウマに気づかせ、自信をもつ

起業家のDさんですが、過去にあった失敗の経験や、途中であきらめたり、夢が叶わなかったことがトラウマとなって、自分で自分に自信をもてない傾向がありました。

過去のできていることや、小さな目標を達成できたことを思い出してもらって、今日できる小さなことから実行してもらうことにしました。

 

その結果、6か月の間に、自信を持てるようになったことや、仕事に対しての心構え、学生への接し方などが 大きく変わったと実感したそうです。

 

決断を早くする。「周りに合わせる」タイプの経営者の変革

Eさんは当初はデザイン系ベンチャーのNO.2でしたが、コーチングを受けて自分が本来やりたかったことや過去の経験などをふりかえりました。そのあと、自分で動画教育系ベンチャーを起こし、多方面に活躍しはじめています。

Eさんは、非常に穏やかな性格なので、理想像は常にありつつも、日々の業務、日々の環境、他人の文化に合わせる傾向があり、本来の自分を見失っていたそうです。「そうだよね、俺ってそうだった」と頭ではわかっていましたが、第三者にヒアリングをしてもらうことで、客観視できて、改めて次なる行動へ繋がりました。

 

また他のエグゼクティブクラスの事例を交えることで、がんばろうと思っている自分にとって、腑に落ちる内容が多かったらしいです。決断スピードが上がったことと、気づきから決断、そして最終行動までの迷いが減りました。

 

自信をつける。若手エンジニアにとっての気づき

スタートアップに入社して2年目のF君は、最近かなり積極的にセミナーや勉強会に出たり、資格を取ったりしています。入社時はかなり頼りなさそうだったのですが。彼になぜコーチングが君にとって意味があるのかを聞いてみました。彼の答えは、「自分はエンジニアで、あまり人に自分の考えを話す機会がない。だから、目標やゴール、できていること、できていないことなどを質問してくれて、メモして目で確認できるのは貴重なんです。また、色々な会社のケースや、どうやって解決していけるかなどのアイデアも自分では思いつかないことを並べてくれるので、そこにも気づきがあります。」と話しています。

 

最初は控えめでしたが、自分にできる品質管理やオペレーション、会議の運営などの責任を積極的にとるようにもなりました。ずっとジムに通い、朝活をするようになってから、体の調子もいいそうです。自分ができていることに気づいて自信がついてきたようです。

 

効率だけでは、生産性が上がらない。「緻密すぎる」CTOの変革

ベンチャーのCTOのGさんは、「緻密に開発する」ことを信条として、バグがないように完璧にシミュレーションしているとのプライドを持っていました。そのために期間がかかり、新しい機能追加などに柔軟性がないとのCEOのフィードバックがありました。Gさん自身は、グローバル企業で高い実績を上げた方なので、非常に論理的で、無駄な行為をしたくない「現実型」でした。チャットで課題を解決できるので、打ち合わせもなるべくしないようなタイプです。

 

しかし、部下のエンジニアが退職したことで、マネジメントをもっと学びたいという意欲がありました。自分が尊敬する前職の開発部長が、部下のサポートをさりげなくしていたり、キャリアについての相談を受けたりしているのを思い出してもらい、自分もやってみると気づかれました。

 

コンサルタントとコーチの違い

よくある質問として、コーチングとコンサルティングの違いについて聞かれますがこれらは全く別物です。

コンサルタントは、課題の抽出、戦略の構築、実行計画など、成果をだすための分析をします。ただ戦略を実行できるかどうかは、当該組織のやる気、リソース、能力や市場環境などに依存するので、必ずしも実行できるわけではありません。戦略は正しいが、実行できなかった、あるいはリソース能力から正しい戦略ではなかったという場合があります。

 

コーチは、まず課題や、やるべきオプションについてクライアントの意志を確認します。クライアントが自分で実行できる自信のある、目標、行動計画、そして障壁などを考えてもらいます。その際に、クライアントが意識していない思考のカベの外の可能性や、過去のトラウマ、自分をしばっている成功体験などにも気づかせられるかが重要です。さらには、習慣化してもらうために必要な行動も含めます。

 

コンサルタントは、抜群の分析力、考察力と、クライアントよりも高い知見を要求されます。しかし、コーチはクライアントの知らない知識をかならずしも知っている必要はありません。客観的に、事実を伝えて、傾聴しながら、自信と勇気を与えて力づけることが一番重要なので。

 

次回は、もう少し、ベンチャーに対するコーチングのバリューについて、違った側面からお話ししたいと思います。

 

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