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気づきのキャリア(78)書斎を抜け出し “野生” に戻れ! 現代人の脳が蘇る 『GO WILD戦略 』

Study Hackerに寄稿しました。

みなさん、脳を鍛えるためには、勉強や読書で、ひたすら脳を回転させ続けないといけないと思っていませんか? 会社や書斎で椅子に座りっぱなし、通勤や買い物は車を利用してばかりで、「運動」から遠ざかっていませんか?

実は、脳の効率をあげるためには、「机上で脳を使わないこと」にも気をつけないといけません。机上で脳を使わない、とは、脳を机の上での学習や暗記から休ませ、脳に外界からの様々な刺激を受けさせるということ。例えば、食事、睡眠、運動、瞑想などにより身体のコンディションを調えること、そして、家や書斎を出て「野生に戻る」、つまり自然のサイン・信号を感じることです。

生きることが過酷だった大昔、寒さ、飢え、外敵、病気などの危機にさらされた人類は、危険な環境を克服し、現在に至るまで進化してきました。技術と文明の進歩により、外的環境の変化をコントロールできるようになったわけですが、そのせいで肉体は外界から遮断され、今度はかえって、現代人特有の不都合を感じるようになってしまったのです。

「本来わたしたちは野性的に暮らすように設計されていて、飼いならされたような生活は、病気や不幸をもたらす」

(引用元:ジョンJ.レイティ著,リチャード・マニング著,野中香方子訳(2014),『GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』,NHK出版.)

野生環境下で進化した人類の環境を知り実践すれば、多くの現代病を克服できるだけでなく、脳までも鍛えられます。ではどうすれば野生に戻れるのでしょう。脳を鍛えるための手段とは、脳を余計に酷使することではありません。

「ニューロンの数を増やすために最も効果が期待できるのは、運動です。」

(引用元:ジョン J.レイティ著,エリック ヘイガーマン著,野中香方子訳(2009),『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方―』,日本放送出版協会. )

その具体的な方法を紹介しましょう。

大自然のなかでの運動

普通の街中の道路ではなく、山道や野外の自然の中でランニングすることをトレイルランといいます。このトレイルランが、脳を鍛えるのに効果的。というのも、自然のままの複雑な地形で運動を行うと、変化に富む動きが脳に最高の刺激を与えてくれ、身体も脳も活性化し、注意力と集中力が鍛えられるからです。

トレイルランは荷が重いというあなたも、時には山野に出かけて裸足で歩いてみてはどうでしょう。脳の働きを高めるのには、自然の中で運動をすることが効果的ですよ。

自然のサイクルに合わせた睡眠

生活リズムに野生を取り戻すという観点からは、一日のリズムを自然のサイクルに合わせるのが一番。そのためには、夜は早く寝て、朝は早く起きることを心がけましょう。

合わせて、十分な睡眠も重要です。うつ病、学業や仕事の能率低下、肥満、免疫力不足などの大きな原因は「睡眠の不足」。十分な睡眠は、身体の抵抗力を高め、脳の働きも向上させてくれます。

洞窟のなかで火をかこみながら、ほかの人々(犬・猫でも良いそう)と肩を寄せて眠るのは無理ですが、私たちが意義ある明日のために今日できることは、早く寝ることです。体内時計にストレスをかけないために、寝る直前までパソコンやテレビを見続けないように!

食生活にも気を配る

脳を鍛えるためには、食生活もできるだけ野生に近づけることが重要。脳も体の機能の一部ですから、食生活によって身体のコンディションを整えることは、脳にとっても大切なことなのです。

魚や動物、ナッツ、果実、野菜などからだけ栄養を得ていた原始人は、低炭水化物で生きるしかありませんでした。人類が誕生したのは600万年前。農業がはじまったのは1万年前で、人が穀物から栄養を得るようになったのはその頃からです。

肥満や糖尿病、ガンなどの病気の原因の一つには穀物(炭水化物)の摂取があると言われていますが、現代人の糖の年間摂取量はますます増しており、文明病の大きな要因になっています。

シリコンバレーでも、食生活に気につけることが生産性にプラスの影響を与えるとのブームから、オーガニック料理が大変流行しています。上記のような生活習慣病や、花粉症などの自己免疫疾患を防ぐには、ブドウ糖の過剰摂取を避ける必要があるのだそう。炭水化物だけではなく、ソフトドリンク、ジュース、 加工食品などにも気をつけて、集中力を高めましょう。

瞑想(マインドフルネス)の実践

瞑想は、狩猟民の心の状態、野生の心によく似ているそうです。

狩猟民にとって、瞑想がもたらすのはリラクゼーションではなく、むしろ気づき(アウェアネス)でした。彼らは、新しい場所を歩きまわったあとには気づいた内容を語っていたといいます。瞑想によって気づきを得て、心が落ち着き、リラックスするというわけですね。

「瞑想とは、『今、ここ』に注意や意識を向けることであり、それはまさに野生の人々が、自然環境で生き延びるために必要なことだ」

(引用元:ジョンJ.レイティ著,リチャード・マニング著,野中香方子訳(2014),『GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』,NHK出版.)

野生の精神にならい、日常生活の中に瞑想を取り入れましょう。今の自分に意識を向けることで、集中力を高めるのです。

***

ユーカリだけを食べる単調な食生活や、動かない生活により、コアラは脳が退化し、頭骨のなかでコロコロころがるような状態らしいです。食も生活も、バラエティのある多様性を経験した方が、脳にとって良い刺激となるのだということが分かります。

さあ、脳を鍛えるために、デスクから離れ、野生の体と刺激をとりもどしましょう!

お腹いっぱい食べてごろごろしていてはいけませんよ。

(参考)

ジョンJ.レイティ著,リチャード・マニング著,野中香方子訳(2014),『GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス』,NHK出版.

ジョン J.レイティ著,エリック ヘイガーマン著,野中香方子訳(2009),『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方―』,日本放送出版協会.

ノバク・ジョコビッチ著,タカ大丸訳(2015),『ジョコビッチの生まれ変わる食事』,三五館.

デイヴ・アスプリー著,栗原百代訳(2015),『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』,ダイヤモンド社.

気づきのキャリア(79)守破離 ―― 上達の近道は完コピである。迷った時には “うまい人” を探せ

Studay hacker に寄稿しました。

「営業の話術が上達しない。なかなか成約に結びつかない。上司の期待に応えられない」

「いろいろ考えてやっているのに、いくら頑張っても文章がうまく書けない。行き詰まりだ……」

新しいことに挑戦したり、仕事のレベルが上がったりすれば、誰でもこのような経験をするはずです。もう自分のスキルは伸びない、と思ってしまいそうなとき、どうすれば壁を越えられるのでしょう。

そのヒントを、「守破離」という考え方に学びます。

守破離とは何か

守破離(しゅはり)とは、日本の茶道、武道、芸術等などで、個人のスキル(能力)の発展段階を3つのレベルで表す考え方です。師弟関係を重んじる芸道や武道の世界では、稽古や修行の段階を表現するものとして、この「守・破・離」という言葉がよく使われています。

この言葉は、戦国から安土桃山時代にかけての茶人で、わび茶を完成した千利休による歌を引用したものだと言われています。

千利休は、「教えを守り続けながらも、いつしかそれを打破り、離れていく事も大切である。しかしそこにある基本精神は忘れてはならない」 と述べたのです。

ではこの守破離は、どのようにすれば現代のビジネスパーソンにも活かすことができるのでしょうか。守破離がなぜ、上達の近道であるのか、見てみましょう。

守破離の極意

指導者の教えを受ける人は、守・破・離のそれぞれの段階で、以下のような段階を踏みます。

「守」:最初は、指導者の型をきっちりそのまま守って価値観を自分のものにし、作業を習得できるまでは言われた(盗んだ)通りの行動をします。

「破」:習い手独自の工夫を試します。

「離」:最後に、指導者に教えられた型から自由になり、自分自身で、学んだ内容を発展させるのです。

要するに、まずは師匠に言われた型をそのまま守る(完コピする)。それから、型を自分の考えと照らし合わせ、自分に最も合った、より良い型をつくる(応用する)。これらを経て最終的に、守った型から離れて自在になる(ユニークなものを生む)ということです。

これは、伝統的な道だけでなく、スポーツ、仕事、勉強、遊び等々のすべての学習に当てはめることができます。

「守」:師匠(上司)の支援のもとに、教わったことを遂行できる(半人前)。 そして自分で遂行できるようになる(1人前)。

「破」:その作業を分析し、自分なりに改善・改良できる(1.5人前)。

「離」:新たな知識(技術)を開発できる(イノベーター)。

仕事で行き詰まった、成長なんてできない、そう悲観してしまった時は、この守破離に沿い自分の行動を見直すことが必要なのです。

守破離の応用例

では、実際に守破離の考え方を応用して仕事でレベルアップしていく、具体的なケースを見てみましょう。

例えば、営業のスキルを習得するには、

「守」:優秀な先輩営業パーソンの話し方を全部メモして、自分でも同じように(一言一句)話してみる。

「破」:すると、成果につながる営業には、トークポイント(共感する傾聴、お客の課題を聞き出す質問、商品の価値をわかりやすく伝える言葉、次へ繋げる親しみ・念押しなど)があることがわかる。そのポイントを自分なりの話し方で実践してみる。

「離」:学んだポイント以外にも、新しいトレンドや、自分の強み(ゴルフ・カラオケ・オタクネタ)などに引き込むことで、オリジナルの営業トーク手法、新たなストーリーを作る。

あるいは、企画書をうまく作成するには、

「守」:評判のいい企画書、先輩の成功事例を調べて、フォントのサイズや、色、グラフなどを書き写す。

「破」:わかりやすい企画書には、知られていない事実とデータや、心に響くストーリー、短いメッセージなどがあることがわかるはずなので、そのコツを踏まえ、自分のやり方で企画書を書いてみる。

「離」:学んだポイント以外にも、目を引くザインや、独自の調査(顧客やSNSの声)、動画・アプリなどの技術を取り入れ、フィードバックを得ながら、企画書に新しい価値を持たせる。

***

皆さんも、迷った時は、まず、できる人の行動や作業を完コピしましょう。

いきなり独自性のあるものを作ったり、急に才能を尖らせたりすることはできません。

習ったことに、あなた独自のオリジナルを混ぜて、最後にはあなたにしか作れないものを生み出しましょう!

(参考)

Wikipedia|守破離

鬼塚忠著(2011),『花いくさ』,角川書店.

関工務店|守・破・離 ( しゅ・は・り )

 

気づきのキャリア(80)強いチームは “オフサイト” で作る! 大手もベンチャーも注目の「オフサイト合宿」の効果

Studay hacker に寄稿しました。

学生時代、ゼミやサークルの仲間が研修や1泊旅行のあとすごく仲良くなった。苦しい合宿のあと、チームの一体感が増して、試合に強くなった。そんな経験はありませんか?

チームで旅行をしたり、合宿を行ったりすることは、強いチームを作るために非常に良い方法。これは学生だけでなく、実は職場にも大いに当てはまることです。

近年は、大手・ベンチャー含む様々な企業で、オフサイト合宿やキャンプなどを行うことが流行っています。例えばサイバーエジェントは、「あした会議」と言う名前の合宿を開き経営陣らが新規事業を審査していますし、楽天も役員合宿を毎年行っているのだそう。

職場を離れ、日頃の忙しい業務から距離を置くことで、社内での定例会議では解決できないような中長期の課題をじっくり話し合うことに時間を費やしたり、経営陣やマネジメント層が経営課題に向けて結束力を高めたりすることができます。また経営陣に限らず一般の社員にとっても、合宿によって得られるものは大きく、社内やチーム内になかなか解決できない課題があるときには、合宿がよく効くのです。

では、企業にとってオフサイト(転地療法)合宿を行うメリットとは何か、なぜ合宿はチームビルディング効果が高いのか、見てみましょう。

相手のことをよく識ることができる

 

たとえ1泊であっても、合宿で過ごす時間は日頃会社で過ごす時間よりも格段に長く、また濃密になります。そのような時間を同僚と一緒に過ごすと、仕事では見ることのできない相手の意外な一面が発見できます。仲間がどんな趣向や価値観、興味を持っているのか、驚きと気づきを得ることになるのです。

合宿の場では、自分の「強み」を自己紹介形式で説明したり、この組織で何をやりたいと思っているのか、人生で何を成し遂げたいかなどを共有すると良いでしょう。そうすることで、生活や人生、仕事に対する考え方をお互いに知ることができます。

相互理解を深めることは、信頼関係を構築するきっかけになります。一度関係ができれば、そのあと会社に戻ってからも、メンバー同士でスムーズにコミュニケーションが取れたり、お互いにサポートし合えたりするようになりますよ。

このように合宿では、単なる飲み会や社内ミーティングのような短時間の接触では得られないメリットがあるのです。

チームの目的を考える機会になる

合宿の場で、時間をかけて目標を確認すると、チームとしての一体感が出ます。それによって仕事へのモチベーションも上がることでしょう。

日頃は、誰もが目の前の業務で手一杯になりがち。しかし、合宿では日常の業務を離れて「チームはどうあるべきか」といった高い視点から意見を交わすことができるようになります。チームの目的や運営に関するメンバーそれぞれの意見や、これからどんな目標に向けてどのように進んでいったら良いのかを、じっくり話し合えるでしょう。日頃の不安を共有したり、疑問点を解消する場にもなりますね。

合宿でじっくり話し合い、メンバー全員がチームの進むべき方向性について納得すれば、目的達成のために一人一人が主体的に動ける組織へと変化します。メンバー個々にリーダーシップが備わることで、互いに信頼し合いながら仕事を進められる関係性を築くことができるのです。

価値観の擦り合せができる

組織には組織として守るべき価値観があり、メンバー個人には当然その人なりの考え方があります。これらの価値観のすり合わせができていなければ、チームの歯車が噛みあうことはありません。

合宿では、個人の価値観を共有することに加えて、チームとしての方向性を全員で確認することになります。それはすなわち、個人とチームの価値観を調整し、効率的な組織プレーができるよう全体最適化することでもあるのです。

例えばサッカーなどのチームスポーツをイメージしてみましょう。試合だけ、もしくは個人練習だけをいくら繰り返しても、強いチームをつくることはできませんよね。フォワードが守りも重視するチームを目指すなら、「フォワードは点を取るだけ」という個人的な考えは改める必要がありますし、反対にディフェンスが攻撃参加する積極的なチームを目指すなら、「守るだけでいい」と考えている守備担当選手もシュート練習をしないといけません。

会社にいると、つい顧客営業などの“対外試合”と、一人で仕事をする“個人練習”に終始しがちです。合宿で、組織やグループ全体の目的と自分の役割を振り返り、団結力と“組織プレー”の大切さを肌で感じることは、とても大切なことなのです。

体験を共有することができる

 

合宿では、日頃できない体験が共有できるのも魅力ですね。場所を変えると開放的な気持ちになり、特別な体験を通して普段の何倍もいいコミュニケーションがとれます。

キャンプ、BBQや焚き火など、単純なことで構いません。人狼ゲームやジェンガなどのテーブルゲームも、大勢でやると盛り上がりますし、互いの性格がわかって面白いですよ。

合宿では、学びだけでなく、体験を通じた笑いと感動を味わうことになります。これにより参加者全員が、昨日までとは違う自分に出逢うことができ、また、これまで知らなかったメンバーの姿に触れることになり、一体感が生まれます。

このように『一宿一飯の仲』になり、同じ体験を共有したメンバー同士は、お互いを理解し、本音を言い合うことができる関係となるのです。合宿の場で築いたこの関係が、会社に戻ってからの信頼関係に良い影響を及ぼさないはずはありません。

***

皆さんも、チーム運営に困った時は、まず、合宿を提案してみませんか。

チームで大切なのは、そこにいる「人」を最強のチームにする「心」づくりです。合宿を終えた後のメンンバーの顔は明らかに違いますよ!

(参考)

博報堂ブランドデザイン著(2010),『だから最強チームは「キャンプ」を使う。 ──「創造性」と「働きがい」を生み出すビジネス合宿術』,インプレスジャパン.

伊藤豊著(2014),『たった一晩で「最強チーム」に変わる奇跡の合宿 ― 悩めるリーダー必読!』,現代書林.

森田元著,田中宏明著,佐藤俊行著,松山雅樹監修(2009),『戦略キャンプ―2泊3日で最強の戦略と実行チームをつくる』,ダイヤモンド社.

 

気づきのキャリア(81)この相手とはこう話せ! 4つのタイプ別・人を動かす話し方

Studay hacker に寄稿しました。

「あの人には、どうも話がうまく伝わらないんだよな」「相談しても、悩みをわかってもらえない」「また提案通らなかったよ……」こんなコミュニケーションの悩みはありませんか。

コミュニケーションのテクニックは数多く説かれていますし、それを実践している人も多いと思います。しかし、相手のタイプを知り、それに適したコミュニケーションをしなければ、どんなに内容がよくても伝わらないケースが多いのだそうです。

つまり、相手のタイプに合わせて自分の話すスタイルを変えることで、コミュニケーションはうまく成り立つようになるということ。

そこで理解しておくといいのが、「ソーシャルスタイル」という4つのタイプです。

ソーシャルスタイルとは

ソーシャルスタイルとは、1968年にアメリカで生まれた概念で、産業心理学者のディビット・メリルとロジャー・リードによって提唱されたものです。人の態度を社会的な態度の傾向によって4つに分類したもので、相手がこの4つのタイプのどれに属しているかを認識することで、より効果的なコミュニケーションをとることができるようになります。

人間を理解するには、性格や内面的要因よりも、外に見える言動や行動が大切である。その言動や行動を正しく観察すれば、その人のソーシャルスタイルが明らかになる。

(引用元:学校法人産業能率大学|ソーシャルスタイル(social style)

ソーシャルスタイルでは、「自己主張」と「感情表現」の強弱の度合いによって、人を次の4つに分類します。人の態度をよく観察することで、相手がどのタイプに属しているかを見分けることができるのです。では各タイプを見てみましょう。

(1)ドライバー(成果第一)

感情は出しませんが、自分の意見は主張するのがこのタイプです。リーダーに多いタイプで、指示されるのが嫌い。自分からの指示命令は「上から目線」になりがちだという特徴があります。また、人の話を聞くのは苦手で、「一体何を言いたいの?」と短気な傾向にあります。上昇志向が強く、出世や成果に貪欲だというのも、このタイプの性質です。

もしあなたの上司が「ドライバー」であるなら、その上司とのコミュニケーションでは明確さが大事です。何かを報告したいときや提案したいときは、結論と理由を簡潔に、大きな声で自信を持って伝えましょう。

怖いからといって小さな声で自信がなさそうに話すと、相手はそれだけでイライラしてしまうでしょう。結果、あなたの主張は何も聞いてもらえなくなってしまいます。

(2)エクスプレシッブ(注目大好き)

このタイプの人は、感情表現が豊富で、自分の思いを積極的に話します。新しくて話題性のあることが好きで、細かいことを気にしません。よく笑い、話を「盛る」のも得意です。人と会うのが好きな営業パーソンやマーケティング職に多いと言えるでしょう。

自分のことを強調して主張しがちな「エクスプレッシブ」タイプの取引先と話す時は、「なるほど。すごいですね。こういうことですか?」とリアクションを大きく、共感を示すようにしましょう。そうすると相手に喜ばれ、取引がうまく運ぶかもしれませんよ。

 

(3)エミアブル(協調主義)

喜怒哀楽は顔に出ますが、自己主張はしたがらないのがこのタイプの人。日本人女性やおとなしい男子に多いタイプです。「自分の成果よりも、みんなのためになりたい」と思う気持ちが強いので、優柔不断な「いい人」になりがち。職種でいえば、カスタマーサポートや秘書など、裏方の仕事をしている人に多いでしょう。

「エミアブル」のタイプの同僚から相談を持ち掛けられたときは、「答えの出ないことをくよくよ悩んだって仕方がないのに」などと乱暴に考えるのではなく、まずは相談相手になってじっくり話を聞いてあげましょう。解決策を急いで出そうとしなくても、話し相手として聞いてあげるだけで安心させることができます。逆に、結論を急ぐような話の進め方をしたら、相手に不快感を与えるかもしれません。コミュニケーション次第で、相手との間に強い信頼関係を築くことができるのです。

(4)アナリティカル(分析屋)

このタイプの特徴は、感情をあまり見せず、自己主張もしないという点。計画通りが好きで、頑固で、リスクを恐れます。エンジニアや研究者に多い職人気質を持っているタイプで、一人でできる仕事を好み、黙々と作業するのも苦にしません。

「アナリティカル」と打ち合わせをすることになったら、実例やデータを用意してから打ち合わせに臨みましょう。相手は分析に時間をかけて正確に納得したいと思っています。十分な根拠を用意しておけば、相手は本領を発揮し、完璧なプランを提案してくれることでしょう。

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大事なのは、人にはさまざまなタイプがあることを理解して、相手のタイプに応じて相手が求める話し方をすること。組織の人間関係はもちろんのこと、クレーム対応や顧客営業においても、相手のタイプを想定して話をすると有効ですよ。

自分の傾向を知り、相手との違いが分かったら、コミュニケーションの苦手な相手でも敬遠せず、うまくいくパターンを想像することで対応力を上げていきましょう。

さあ、あなたの上司や友達のスタイルは何タイプ?

(参考)

伊庭正康著(2013),『この世から苦手な人がいなくなる』,中経出版.

リクナビNEXTジャーナル|あなたは何タイプ?コミュニケーション上手になるための4タイプ診断法

学校法人産業能率大学|ソーシャルスタイル(social style)

リクルートマネジメントソリューションズ|苦手な人をなくす ~実践としてのソーシャルスタイル理論~

気づきのキャリア(82)『粗にして野だが卑ではない』国会議員を叱りつけた気骨の人・国鉄総裁 石田礼助

Studay hacker に寄稿しました。

みなさん、石田礼助(1886-1978)と言う方をご存知ですか?

明治男の彼は、東京高等商業学校(現・一橋大学)を卒業後、超エリートとして三井物産に35年勤務。その間、シアトル、ボンベイ、大連、カルカッタ、ニューヨークの各支店長などを歴任し、欧米流の合理的経営手腕で素晴らしい業績をあげて副社長まで上り詰めました。

普通なら、誰でも、その後はのんびり隠居して、平穏で楽な生活を続けたいと思うでしょう。しかし彼は、1963年、何と78歳もの高齢で、何ひとつ権限のない仕事と言われ誰もが敬遠した不遇のポスト、国鉄総裁を引き受けたのです。

当時昭和30年代の国鉄は「親方日の丸」の象徴的な組織で、強固な組合、職員の堕落、汚職、政治家からの圧力(利権)と、大変な問題を数多く抱えていました。このように問題山積みであった組織の総裁職を、石田氏は世の中のために尽くす「パブリックサービス」として捉え、世に尽くすことではじめて天国へ行ける「天国への旅券」を手に入れたのだと言い表しました。そして、三井物産での長い海外生活で培った合理的な考え方と気骨ある言動によって、6年の間身を挺して国鉄改革を進めたのです。

そんな豪快な石田氏が生涯のモットーとして唱えていたのは、「粗にして野だが卑ではない(言動が雑で粗暴であっても、決して卑しい行いや態度をとらない)」。そして、国鉄総裁在任中は自らを「ヤングソルジャー(若い戦士)」と称し、改革に挑みました。

「私の信念は何をするにも神がついていなければならぬということだ。それには正義の精神が必要だと思う。こんどもきっと神様がついてくれる。こういう信念で欲得なくサービス・アンド・サクリファイス(奉仕と犠牲)でやるつもりだ」

(カッコ内は筆者にて補足した)

(引用元:城山三郎著(1992),『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』,文藝春秋.)

寿命が延び、誰でも人生100年計画が必要になっている今、最後まで気骨を保ち、しっかりと人生を歩んでいくためには、自分の信条を持つことが必要です。今はまだ若手だからと、これと言った信条を持たずに働いている人もいるでしょう。しかし若手ビジネスパーソンであっても、いずれ後輩・部下ができたり組織をまとめる立場に立ったりして、会社における自分の位置はどんどん変わっていきます。

十年後、数十年後、自分はどんな信念をもって働いているか、想像できますか? 他者の模範になることはできているでしょうか? あなたはこれから先、どんな仕事人生を送っていきたいと考えていますか? 石田氏の生き様を知ることは、このようなことを考えるうえで大いに励みになるはずです。

財界人がみんな尻込みする中、火中の栗を拾う覚悟で国鉄改革を成し遂げた、痛快な日本人の堂々たる美学とポリシーを見てみましょう。

合理主義者であれ

 

石田氏は、三井物産時代、船の運賃や先物取引相場などで、周りの意見に流されず、独自のリスクをとって利益をあげつづけました。一方で、「俺が相手にする奴はエイブルマン(仕事のできるやつ)だけだ」と言い、政治的駆け引きや根回しを極度に嫌っていたといいます。

また、英語に堪能で異文化への造詣も深かった石田氏は、相手の非を責めようとする外国人から一方的な詰問に遭った際、聖書の言葉「罪無き者、石を持て打て(※)」を引用して即座に切り返し、詰問の無意味さを指摘。逆に「(グレートプリーチャー)偉大な説教者」であると尊敬されたのだそうです。(※自分の罪を棚に上げて他人の罪を裁くことはできない、の意味)

このように合理的な考えでいることが、石田氏の仕事人生の根幹にありました。その考え方がなければ、三井物産勤務から国鉄総裁に至るまでの業績を挙げることなど到底できなかったでしょう。

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私利私欲を持たず、率直に言う

 

国会対策など憂鬱な役回りも「怖いものなし」の石田氏は、何事にも真摯な態度で毅然と立ち向かいました。

そのストレートな物言いは相手を選ぶことなどありませんでした。民間企業出身でありながら、「国鉄が今日の様な状態になったのは、諸君(国会議員)たちにも責任がある」と率直に発言したため、代議士たちは「無礼なこと」と怒り、あきれたのだそうです。

また、石田氏の行動は、そうした率直な発言内容と見事に一致するものでした。国鉄総裁在任中は、「公職は奉仕すべきもの、したがって総裁報酬は返上する」と宣言していました。当初は月10万円のみ得ていましたが、総裁就任と同年に発生した鶴見事故(列車脱線多重衝突事故)の後は、1円の給料も得ず、受け取ったのは1年あたり洋酒1本、これだけだったそうです。

道理のないことには迎合しない。言うのは簡単ですが、実行するのは難しいことです。石田氏は、それを立派に体現していました。

現場に任せて、責任はとる

石田氏は、政治や利権のにおいのする陳情には、決してとり合いませんでした。それは、そういった陳情に総裁が口出しすれば、現場が混乱するから。職員の改革への意欲を失わせることになるので、いかがわしい声はすべて黙殺すべきだという考えに立っていました。

また、現場の国鉄職員に対してはいつも「ただパンのために働くのはよせ。理想の光をかかげてやれ」と励まし、ノンキャリア組を抜擢することにも積極的でした。能力のある者には、学歴や年功を問わず、2階級・3階級昇進の道をひらいたといいます。例えば、中学校卒の炭鉱所長が難しい労働問題を解決したことを評価し、「苦労したから一番いいところへ持ってきてやれ」と言って全国最大の東京鉄道管理局長に、さらに常務理事へと登用しました。

現場を尊重した姿勢は、「おれの知識ではよくわからん。もっと詳しく説明してくれ」と誰にでも大声で聞いたというエピソードにも表れています。

現場のことは現場に聞く、謙虚な姿勢を持ち続けたこと。そして、総裁だから責任はとるが、だからと言って偉そうに振る舞うのではなく、いつもオープンに愛情豊かな接し方をしていたこと。これらのことが、誰からも親しまれた理由だったのですね。

***

人間はつい、弱さ、無力さを感じると卑に流されがちになるもの。「卑でない」生き方を貫いた、気骨のある石田礼助に惹かれる人は多いのではないでしょうか。朝ご飯の時にも家族にちゃんとした服装をする規律を求めたというエピソードからも、卑をよしとしない生き方が垣間見えます。

石田氏が好んだのは『座頭市』。『水戸黄門』は、印籠を持ち出して威張る(権威を振りかざす)ところが嫌いだったそうです。権威ある地位に就いていながら、最後まで権威は本当にいやだったのですね。

(参考)

Wikipedia|石田礼助

城山三郎著(1992),『粗にして野だが卑ではない―石田礼助の生涯』,文藝春秋.

名言DB|石田礼助(石田禮助)の名言 一覧

 

気づきのキャリア(83)エディ・ジョーンズが語る、成功のための「日本人らしさの」活かし方

Studay hacker に寄稿しました。

2015年のラグビーW杯で、強豪南アフリカ代表を破るという歴史的勝利を日本にもたらした、元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏。その快挙は、当時、ラグビーファンだけでなく日本中の注目を集めました。

彼が日本代表をラグビー強豪国と互角に戦えるまでに成長させることができたのは、日本人の長所を最大限に活かすことで、実力以上の力を発揮させたから。このことについて彼は、後に出版した著書の中で次のように述べています。

日本人は自分の長所に気づくことが非常に不得手だと思います。そこへ内向きでシャイな性格が加わり、「どうせうまくいくはずがない」とマイナス思考を凝り固まらせている人が、とても多いのではないでしょうか。「自分はどうせダメだ」というマイナス思考が、成功を阻んでいるのです。それを取り除きさえすれば、誰でも成功を手に入れることができます。

(引用元:エディー・ジョーンズ著(2016),『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』,講談社.)

この言葉は、私たちビジネスパーソンにとっても非常に示唆深いものです。

何か大きな壁や目標に挑もうとする時、そのハードルの高さについ諦めたくなるという人は少なくないでしょう。例えば、勝ち目のなさそうな企画コンペ、どう頑張っても打ち破れないように思えるTOEIC900点の壁、超難関一流企業への転職。エディーの教えは、そのような場面でいかなるマインドを持って目標に立ち向かえばよいのかのヒントになります。実は学校で教職に就いた経験もあるエディーの言葉は、人生計画にも役に立つものばかりですよ。

さあ、あなたもエディー流の「勝つための」心構えを身につけましょう!

いくら大きな目標でも、課題を明確に捉え努力すること

エディーは、「日本ラグビーを変えるにはW杯で勝つことがすべてだ」として、W杯での勝利に強いこだわりをみせました。

2012年に彼が日本代表ヘッドコーチに就任した当初、日本代表選手たちは「強豪チームに勝つのは無理です」というマイナス思考に陥っていたのだそう。そこで彼はまず、選手たちに「自分はどうせだめだ」という思い込みを取り払わせることから始めたのです。

「自分たちはどうせ弱い。だから強豪チームに勝つなんて無理だ」そう思っているうちは、決して勝利を手にすることなどできないということ。強豪に勝利するという目標がいくら無謀なものに思えたとしても、その目標を達成するために必要な課題を一つ一つクリアしていけば、勝利は手に入るのです。実際彼はそのようにしてトレーニングを行い、日本チームを歴史的勝利に導きました。

このことは、ラグビーだけでなくあらゆる分野に当てはめることができます。そんなことができる訳がないと思えるほど大きな目標でも、達成までにすべきことをしっかり見極め着実にこなしていけば、目標達成という「勝利」を手にすることができるはず。

大目標に挑む過程では、コンペのライバルが優秀な人材をチームに入れたとか、体調を崩してしまい数日間試験勉強ができなくなってしまった、というように、自分ではコントロールできない事態も起きるでしょう。しかしコントロール不可能なものに気を取られていては、何にも挑戦することなどできませんし、心配ほど無意味なものはありません。

目標を定め、やるべきことを決めたら、あとはゴールに向けコツコツと努力を積み重ねることが重要なのです。

成功は準備がすべて

エディーは、W杯勝利というゴールに向けての筋道を示した後は、100%の努力が必要なハードワークをこなすことを選手たちに求め続けました。そして、彼の課したトレーニングに全力で取り組んだ選手には、年齢や出身大学に関係なく代表選手への権利を与えたのだそうです。

エディーは次のように言います。

勇気とは慣れ親しんだ自分を捨てることです。

(引用元:同上)

「勝てないのが当然だ」という今までの自分の意識を捨てる勇気がなければ、勝つための努力に全力を注ぐことはできません。いくら頑張っても(あるいは頑張っているように見えても)結果が出ない人は、間違いなく、「今より良くなろう」という意識が欠けているそうですよ。

このようなエディーの教えから学べることは、目標に向けて入念に準備するという努力を怠ってはならないということ。例えばビジネスのプレゼンテーションの成否も、資料の作成、シミュレーション、想定問答の用意など、あらゆる準備をやりきれるかどうかにかかっています。成功とは、決して運や才能だけで決まるものではないのです。

「ジャパン・ウェイ」日本人の特徴を使いこなす

エディーは日本チームを率いるにあたり、日本ラグビー独自のスタイル「ジャパン・ウェイ」を掲げました。「信頼」「結束力」「努力」という日本人の強みと、日本人ならではの小さい身体を生かし、低い姿勢で素早いプレーを行う攻撃ラグビーを磨き上げたのです。

例えば、スペインサッカーのように、パスの回数を増やして意図的にボール所有率を高めたそうです。「パス11に対してキック1の割合」がベストと分析して、1試合で最大225回のパスを回しました。南アフリカ代表のパスの回数は90回だったといいますから、日本のパス回し能力がいかに高いかが分かるでしょう。これは、欠点として見られがちな身体の小ささを逆手に取り、欠点というよりむしろ勝つための条件にしたということ。スピード、機敏さ、引き締まった身体を持つことによって、身体の小ささは欠点から長所へと変わったのです。

ビジネスパーソンである皆さん一人ひとりにも、胸を張って長所だと言える部分と、欠点だとしか考えられない部分があるでしょう。長所は堂々と自身の戦略に生かしてください。そして欠点は、どう利用すれば長所に変えられるかをよく考えるのです。

人に対して気を配り過ぎて遠慮の塊になってしまうのなら、細やかな配慮ができる点をアピールしましょう。熟考しすぎて優柔不断になってしまうのなら、慎重に物事を見極められる性格だと言うことができるはず。あなたの強みと弱みをうまく融合させて、あなたにしかない価値を生み出してください。

***

あの南アフリカ戦、誰もが引き分けのフィールドゴールを確実に狙うと思った試合最後の瞬間に、選手たちはエディーの指示に反し、自らの意思で勝つためのギャンブル(トライ)を決断しました。このとき、指示に従わない選手に対してエディーは苛立ったそうです。しかし、選手たちによるこの独断が歴史的快挙を生んだのです。

エディーは、その時のことを次のように振り返っています。

「南アフリカ戦で勝つことを諦めたのは何を隠そう、ヘッドコーチの私だったのです。」

「本当の成功は、部下がリーダーを越えた時に起こります。」

(引用元:生島淳著(2015),『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』,文藝春秋.)

日本人の強みを最大限に生かした効果的な練習を行わせることで、エディーは選手たちのマイナス思考を払い自信を植え付けました。このことが、エディーすらも予想しなかった選手たちの自主性を生み、世紀の番狂わせを起こしたのです。

いくら達成困難に思える壁であっても、自分の長所を的確に捉え着実に努力すれば乗り越えられる。無理だという思い込みを取り払いさえすれば、欠点は長所になり得るし自信だって手に入る。このことを、私たちはエディーの業績から学ぶことができます。

さあ、あなたはどんな強みを生かして課題に立ち向かいますか?

(参考)

エディー・ジョーンズ著(2016),『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』,講談社.

生島淳著(2015),『ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話』,文藝春秋.

Wikipedia|エディー・ジョーンズ (ラグビー指導者)

気づきのキャリア(84)人を惹きつける人は何が違うのか。真田幸村に見る、人を惹きつける「自分の真価」の磨き方

Study hacker に寄稿しました。

2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』の放送によって、武将・真田幸村が大変注目を集めました。「関ヶ原の戦い」や「大坂の陣」の合戦で負けた側の将にありながら、なぜ、今なお、これほどまでに多くの人々を惹きつけるのでしょうか。柔軟でありながらも、恩や忠義を大切にし、己の保身を顧みず、戦局不利とわかっている場面であっても、武士の誇りを持ち続けながら、宿敵である徳川家康に果敢に挑んだ彼の生き方こそが、その人気の理由でしょう。

幸村の名を天下に知らしめた、大阪冬の陣・夏の陣を題材として書かれた、司馬遼太郎著の時代小説『城塞』の作中で、父親である真田昌幸の、幸村に向けた言葉があります。

「まず大坂城中の者が、そなたの才を信用せず、そなたの申すがように動こうとはしない。人間というものは過去から現在までの世間における履歴で事をなせるのだ」

(引用元:司馬遼太郎著(2002),『城塞(中)』,新潮社.)

幸村の父・昌幸の武勇はあまりにも有名でした。その子である幸村は、父の武勇を超えて評価される「結果」を示すことでしか大阪城内の信用を勝ち取ることができませんでした。そんな状況の中で奮闘した幸村は、出城「真田丸」の攻防を経て、見事、城内での信用を勝ち取ることに成功したのです。

幸村のように、逆境に負けず、結果を出すことは、私たちビジネスパーソンにとっても容易なことではありません。しかし、幸村の志を学ぶことで、どんなに不利な状況でも、嘆くことなく、自分を最大限に生かしていく心構えを身につけることができます。

柔軟な選択をする

ビジネスパーソンであるみなさんは、仕事をこなす上で、毎日なにかしらの決断をしていると思います。企画書に添付する資料はどれにするべきか、ということから、その決断ひとつで所属する部署や会社の今後が左右されるというような、大きな選択を任されることもあるでしょう。

幸村たち戦国武将も決断の毎日だったと思います。現代とは違い、生死に関わる決断を迫られることも多かったはずです。

関ヶ原の戦いを前に、幸村と父・昌幸、兄である真田信幸の父子3人は話し合いの場を設けたといいます。兄・信幸は、徳川四天王の1人・本多忠勝の娘を妻に迎えているため、家康を裏切る事はできませんでした。そのため、幸村と昌幸は、真田家存続という理由から、敵方の石田三成側(豊臣側)につくことを決めたそうです。この決別はのちに「犬伏の別れ」とも呼ばれ、まさに「知恵を絞って生きる策を講じるべし」という大きな決断でした。

余談ですが、「犬伏の別れ」のあと、幸村と昌幸は、信幸の子供の顔を最後に一目見ようと、信幸の城である沼田城に立ち寄りました。しかし信幸の正室である小松姫は、夫である信幸に害が及ばないようにと、入城を拒否。この機転と度胸に昌幸は深く感心したそうです。

ビジネスにおいても、A案とB案のどちらも決めかねるという場合は、C案という新しいアイデアを出してみるのもひとつの手です。また、英語のスキルを高めるためにどうしても留学をしたいが、仕事の都合でスケジュールが決まらないときは、国内で留学と同程度のスキルアップが望める場を探してみるなど、柔軟に考え、物事の視点を変えることで、新しい選択肢を持つことができます。

弱点を工夫で長所に変える

関ケ原の戦いのあと、幸村は紀州(現在の和歌山県)にある九度山に14年間も籠っていましたが、47歳のとき「大坂冬の陣」で再び豊臣側に迎え入れられます。

幸村はまず、大坂城の最弱部とされる南側に「真田丸」と呼ばれる出城を築きました。地形の高低差が少なく、堀の幅も狭い大坂城の弱点側に出城を築くことで、敵の注意を引きつけたのです。さらに大阪城と「真田丸」の背後には200メートルにもおよぶ深い谷があったので、大坂城を守ることができると考えたのです。最終目的であった、野戦で油断をしている家康を討ち取ることはできませんでしたが、幸村はこの戦闘で、圧倒的数の劣勢(徳川側が約20万、豊臣側は約10万といわれている)の中、敵を撃退し、武名を天下に知らしめました。

このように弱点を工夫することで、新しい切り口が見つかり、短所が長所になることもあるのです。成功が難しいとされるプロジェクトであっても、もしかしたら見逃している価値があるかもしれませんし、売り上げに直結しない商品リサーチが多すぎると悩んでいるのであれば、その顧客の要望データを自分なりにまとめてみることです。新しい商品のアイデアが急に浮かんでくるかもしれませんよ。

受けた恩を大事にする

大坂冬の陣の後、豊臣側の弱体化を謀ろうとした家康は、「信州で十万石」という魅力的な条件を幸村に提示し、自分の側に寝返るように説得しました。しかし幸村は「日本国中の半分をいただけるとしても、気持ちは動きません」と対面をしなかったといいます。

幸村はまた、「関ヶ原の戦い」でも、西軍につくか東軍につくかの決断を迫られた際、「受けた恩よりも、金や身分などの欲に溺れる者は果たして人と呼べるだろうか」と言ったそうです。どちらも、目先の損得よりも恩を大切にする、幸村の生き方がよくわかるエピソードですよね。

ビジネスの世界でも、今までお世話になったお客様を切り捨てて、条件のよい取引先に乗り換えたり、入社以来面倒をみてもらった先輩を裏切るようなことはせず、恩や義をいつまでも大切にすることで、いつか必ず「信頼」というあなたへの恩が戻ってきますよ。

リーダーは、一番大変なポジションをつとめる

社会に出たからには、いつかは誰かを指導したり、リーダーとなりチームをまとめる役を任されることになるのではないでしょうか。そのとき、チームの人間から「この人についていこう」と信頼されるには、いったい何が必要なのでしょうか。

幸村は、完全劣勢の大坂夏の陣でも、報酬が約束された家康側ではなく、恩義を尽くして豊臣側に味方します。この戦いで幸村は、豊臣軍最後尾の「しんがり」として、撤退する味方の盾となり、伊達政宗をはじめとした大軍に立ちふさがり、見事味方の撤退を成し遂げました。その際、幸村は「関東の兵は数多くいるが、男と呼べるほどの人物は一人もいない」と後世にまで語り継がれるような言葉を残したといいます。

このように、決して屈することなく、極めて不利な状況下でも家康を追い詰めた幸村は、兵の中の兵、まさに「日本一の兵」とまで称されました。敵方であった徳川家康も、「幸村の武勇にあやかれよ」や「幸村の戦いぶりは敵ながら天晴れであり、江戸城内にて幸村を誉め讃えることを許す」と言ったそうです。兄・信之にしても、「幸村は国郡を支配する本当の侍であり、それに対して我らは見かけを必死に繕い、肩をいからしている(プライドの高い)道具持ちという程の差がある」と、幸村のことを自分とは違う「本当の侍だ」と評価しています。

部下やチームのメンバーからの信頼を得るには、幸村のように、自らが一番辛いポジションをかって出ることです。そして先頭に立ち、問題があれば自ら動き、一生懸命仕事に取り組む姿勢を見せましょう。部下やチームメンバーからの厚い信頼は、仕事の成果へとつながっていくはずです。

***

逆境にありながら、柔軟に考え、最善の策を練り、忠義の精神も忘れない。幸村は、どんなに不利な状況下でも、嘆くことなく、自分を最大限に生かしていく知恵と志の大切さを教えてくれますね。

さあ、あなたもピンチでも勝ち抜くための戦略を練り、小でも大に勝つことができる考えを見つけていきましょう!

(参考)

司馬遼太郎著(1987),『風神の門(上)』,新潮社.

司馬遼太郎著(1987),『風神の門(下)』,新潮社.

司馬遼太郎著(2002),『城塞(上)』,新潮社.

司馬遼太郎著(2002),『城塞(中)』,新潮社.

司馬遼太郎著(2002),『城塞(下)』,新潮社.

平山優著(2015),『真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実』,角川学芸出版.

野中根太郎著(2015),『真田幸村 逆転の決断術』,誠文堂新光社.

Wikipedia|真田信繁

Wikipedia|大坂の陣

気づきのキャリア(85)自宅では集中できない? 勉強が捗る自分用「ソト勉」環境を発見しよう!

Study hacker に寄稿しました。

みなさんが勉強や仕事をするとき、集中できる場所はどこですか?

自宅で勉強をしているけれど、誘惑が多くて机に向かい続けることが困難だという人も多いのではないでしょうか。自宅は自由空間ゆえ、何かに規制されることがありませんから、勉強や仕事をするための適度な緊張感を持続することが難しいようです。そんなときは、自宅外での学習スペースの確保をおすすめします。

最近は無料利用できるWiFi環境や電源を使える場所が増えたことにより、自宅以外でのワークスペースがかなり便利になりました。

そこで今回は、勉強や仕事に集中できる場所やコツを紹介します。

勉強や仕事がはかどる場所

勉強や仕事をする際、多少の雑音があるほうが集中力が増す人と、静かな環境に身を置いたほうが集中できる人がいると思います。自分がどういう環境だと集中できるのかを見極めて、集中力アップができるような場所を見つけてください。

- 図書館

利用するのにお金がかからないことや、雑音が少ないこと、参考文献になりそうな本が大量にある、などのメリットが挙げられます。また、周りには真剣に勉強をしている人がたくさんいるので、あなたのやる気も自然に引き出されることでしょう。

- カフェ、ファミリーレストラン、ホテルのロビーラウンジ、ファーストフード店

カフェのテラス席などは季節によってはとても気持ちがよいものです。また、ドリンクバーを設置している店がほとんどであるファミリーレストランは、ドリンクのおかわりをわざわざ注文する必要がありませんし、比較的安価なファーストフード店も使い勝手がよいのではないでしょうか。居心地のよい上質な空間という点から、ホテルのロビーラウンジもおすすめです。

これらの店は、軽食や飲み物をオーダーすることになりますが、空調や食器の片づけといった、店としての維持費がすべて含まれた価格だと考えましょう。それなりの雑音はありますが、周りの人の目があるため、適度な緊張感を保つことが可能です。営業時間や利用料金を比較して、自分が納得して勉強ができる店を発見できるといいですね。

- 漫画喫茶、ネットカフェ、カラオケ店

ほとんどの漫画喫茶やネットカフェには個室が用意されているため、自分だけの静かな空間で勉強や仕事に集中することができますし、備え付けのパソコンで調べものをすることもできます。漫画やネットサーフィンなどの誘惑も多いですが、飲み放題のドリンクを飲むなどして上手くリフレッシュを図りましょう。

カラオケ店で勉強する際に特におすすめなのは音読です。カラオケルームは防音壁なので、大きな声でテキストを読むことができます。また、会社に戻る時間的余裕がなかったり、外回り中にどうしても仕事をしなければいけないときなど、作業スペースとしても利用できるでしょう。

- 自習室、コラボオフィス、カプセルホテル

利用料金は高くなりますが、有料自習室やコラボオフィスの会員になるのもひとつの手です。目の前の勉学や仕事に打ち込むことができる静かな集中空間を確保することができる上、ネットワーク環境やプリンターといった設備が整っています。

また、最近のカプセルホテルは、「仮眠プラン」や「早朝プラン」など利用時間のバリエーションが増えているので、自宅や会社近くにあるカプセルホテルを調べてみてはいかがでしょう。

- 電車、バス、散歩

電車やバスなどの移動時間も貴重な学習時間です。スマートフォンを利用して、プレゼン資料をPDFで確認したり、イヤホンを使って語学のヒアリング学習に充てるのもよいでしょう。隙間時間は意外と集中することができるので、参考書を読むのはもちろんのこと、頭の中で企画を思考してみてはいかがでしょうか。

公園や海辺の散策もおすすめです。体を動かし、脳を活性化させることで、急にすばらしいアイデアが浮かぶかもしれません。歩き疲れたら、ベンチや椅子などに座って目の前の景色をのんびり眺めながら、気持ちを入れ替えてみましょう。

外で勉強するためのコツ

- WiFi環境や電源の確保

最近は飲食店や商業施設、駅や空港など、あちこちで無料WiFi接続サービスのステッカーを見かけるようになりました。海外からの旅行者が増えたこともあり、東京メトロや都営バスなどの公共交通機関が、次々に訪日外国人向け無料 WiFiサービスを開始しているようです。

そのほかにも、携帯電話会社などが提供する無料WiFiスポットも数多く設置されているので、以前に比べて、フリーWiFiスポットを見つけやすくなったのではないでしょうか。また、フリーWiFiに加え、電源まで無料で利用できるコンビニエンスストアも増えています。

しかし、場所によってはフリーWiFiを利用できないこともあります。そんなときはスマートフォンのデザリング機能を利用する人も多いと思いますが、電池の消耗が早いというデメリットがあります。WiFiルーターや携帯キャリアとのWiFi契約を検討してみてはいかがでしょう。

自宅外で長時間作業することが予想される場合は、スマートフォンやパソコンが電池切れにならないよう、携帯バッテリーも忘れずに。

- 耳栓の利用

話し声や騒音は、状況によって案外気になってしまうものです。そんなときは耳栓をすることによって、集中力を持続させましょう。シリコン製だけでなくデジタル式といった遮音効果の高い高級耳栓も登場するなど、使い勝手のよいタイプを選んでみてはいかがですか。

***

集中できる場所や環境は人それぞれです。自分に合った集中できる環境を見つけて、勉強や仕事を効率よく進めたいものですね。

スーパー銭湯にて「3時間の執筆と30分のサウナ」を3回繰り返し、原稿を一日30枚書いている作家もいるそうです。なるほど、Tシャツなどの楽な服装だと、湯上りでも生産性がグッと上がりそうですね。

若い時代、集中して勉強できる時間はとても貴重です。

さあ、あなたも自宅を出て、外で効率的に勉強しましょう!

(参考)

StudyHacker|秋には外で勉強しよう! 京大生がおすすめする『外勉』の効果と、3つのおすすめスポット

StudyHacker|晴れた日は外で勉強しよう! 東大生が「ソト勉」を試してみた。

StudyHacker|その勉強、どこでする? あらためて勉強場所について考えてみた。

StudyHacker|カラ勉

東京都交通局| FREE Wi-Fi & TOKYO

気づきのキャリア(86)意図のある世間話が心を開く。AI時代に必要なコミュニケーションの “センス”

Study hacker に寄稿しました。

みなさんは、世間話が得意ですか?

もし「意味のない世間話はすべきではない」と考えたり、口下手だからという理由で世間話を避けているのであれば、それはとてももったいないことです。

「一生懸命商品の売り込みをしているのに、なぜかお客様に選んでもらえない」、「部下や後輩がなかなか指示通りに仕事をしてくれない」など、こんなに頑張っているのになぜか結果がついてこない、そんな悩みを抱えるビジネスパーソンの方、もしかして、会話を開始すると同時に本題に入っていませんか?

そんなときは、本題に入る前にちょっとした世間話をしてみるのはどうでしょう。世間話をすることで、まずあなたの人柄を知ってもらうのです。

今回は誰にでもできる、世間話のコツを紹介します。

世間話はビジネスに有効である

なにげない会話のキャッチボールである世間話は、無駄ではなく、コミュニケーションツールとして対人関係を円滑にする効果があります。たとえば、打ち合わせや会議で、すぐに本題に入ったり、強引に話を進めたりすると、ギクシャクした雰囲気になってしまいますが、「意図的な世間話」を挟むことで、より円滑で効果的な話し合いをすることができます。

また、どんなに能力があっても「とっつきにくい人」と思われてしまっては、周囲の信頼を得ることは難しいでしょう。「たかが世間話」と侮らないでくださいね。なにげない会話のやりとりから、「あの人はコミュニケーション能力が高い」と判断され、高い評価を受けることもあるのです。営業職に限らず、全ての職種において「意図的な世間話」は身につけておきたいスキルのひとつですね。

それでは、「意図的な世間話」をするには、どんなことから始めればよいのでしょうか。「意図的な世間話」と聞くと、とても難易度が高いテクニックのような気がしますが、実は、話すべき内容をあらかじめ準備し、ストーリーを組み立て、意識的に話すだけで、誰とでも気軽に世間話をすることができるのです。

「世間話は事前準備をすれば誰でもできるものです。例えば、打ち合わせで会う相手を想定し、「何を話すか」「テーマは何にするか」などを考えて、話すべき内容を準備することが重要です。」

(引用元:高城幸司著(2012),『仕事の9割は世間話』,日本経済新聞出版社.)

それでは、実際に世間話のコツをお伝えしましょう。

世間話の準備をする

まず、世間話での話題を大まかに想定し、情報を入手することから始めます。相手の業界についてや、ゴルフや車のようなプライベートな趣味にまつわることでもよいでしょう。新聞や雑誌、インターネットのニューストピックスやSNS上で話題になっている情報を大いに活用し、資料やプレゼンテーションの準備をするように、世間話の準備をしましょう。

また、相手が関心を持つであろうことや、自分が面白いと思ったことを、日々メモをする習慣をつけておけば、漫才のネタ帳ならぬ、世間話ネタ帳ができあがります。Aさんにはゴルフネタ、Bさんには登山ネタ、Cさんには……というように「相手に合ったネタ」を準備することで、今までよりも気軽に世間話を始めることができますよ。

このように準備をすることで、初対面の人とでもスムーズに世間話ができると思います。そして今まで感じていた、名刺交換のあとの少し気まずい雰囲気を「心地よい瞬間」に変えることができたら、人づきあいに対する苦手意識も薄らぐのではないでしょうか。

質問をする

質問を投げかけるのもひとつの手です。その業界やニュースで話題になっていることを聞くのもよいですし、「何かスポーツをされてましたか?」、「釣りがお好きだとお聞きしましたが、どんな魚を釣るのですか?」など、相手が熱中していることを質問してもよいでしょう。仕事に関係のないことでも、こだわりがあることについては意外と熱心に語ってくれることが多いのです。誰でも思い当たることがあるような「最近、何か面白いことはありましたか?」、「困っていることはないですか?」といった質問も、話のきっかけにもってこいです。

重要なのは「いかに相手に話してもらうか」ということであって、「いかに自分の話で楽しませるか」ではありません。「面白い話」をするよりも、相手が話しやすい話題から入りましょう。

リアクションをオーバーに

相手が話しているときは、「なるほど」、「えー! そうなんですか」、「それは知らなかった」など、話を聞きながら少し大げさなリアクションを取りましょう。そして相づちや合いの手、笑顔や身振り手振りで、相手の話をどんどん引き出してください。

「それはこういうことですか」、「キーワードは~ですね」など、言い換えたり要約したりすることもよいでしょう。相手は「私の話を理解してくれた」と感じ、あなたの好感度がぐっと上がるはずですよ。また、会話の中で「今○○さんがおっしゃったように」と、相手の名前を呼ぶことも効果的です。

ノーリアクションは「既読スルー」と同じです。ビジネスに直接関係のない、子供の話やスポーツの話など、どんな話題であっても興味を持ち、素直に感心することが大切です。なにが無駄で、なにが無駄じゃなかったのか、ということは、あとになってみないければわからないのですから。

世間話は短くても良い

世間話の目的は、相手との距離を縮め、空気を和らげることにあリます。ですから、話の上手下手や、トーク術の有無も気にする必要はありません。そうはいっても、やはり雑談はどうも苦手だというビジネスパーソンの方もいると思います。

そこで、「10秒雑談」の習慣を身につけることをおすすめします。会社のエレベーターやエントランスで知り合いに会ったときなど、明るい挨拶のあとに、何か一言だけつけ加えてみましょう。「おはようございます! 今朝から急に寒くなりましたね」や「お疲れさまです! 外はまだ雨が降っていますか?」などです。「10秒雑談」のあと、すぐに相手と別れてもかまいません。

そもそも、1回の世間話で親密度を上げる必要はありません。黙っていることで、相手も感じている「気まずさ」や「居心地の悪さ」を解消できればそれでOKなのです。

***

グローバル社会が叫ばれる中、外国語やMBAなどの資格取得のために社会人講座を受講する、志の高いビジネスパーソンが増えています。その一方で、世間話は資格のようにわかりやすいスキルではありませんが、組織での人望や評価はコミュニケーションスキルによるところが多いのです。

「各界で活躍する人の大半は「世間話が重要」と断言してくれました。しかもかなり強く(年齢はあまり関係ないようです)。例えば、20代中盤で会社を経営するDさんは「世間話でしか相手を見抜けない」と答えてくれました。」

(引用元:同上)

世間話には「人柄」が大きく出ます。立場が上席になるほど、そして多くの経営者は、世間話をすることで人物評価をしたり、信頼に足るのか見ているのです。

失敗を恐れず、たくさんの場数を踏むことで、どんな受け答えをすれば相手が喜んでくれるのか、相手との距離感はどう測るのかなど、自分らしい世間話のルールができていきます。

モノが売れないAI時代だからこそ、世間話をすることで相手の心を開き、信頼関係を築きながら情報収集をし、今後のビジネスに活かしていきましょう!

(参考)

高城幸司著(2012),『仕事の9割は世間話』,日本経済新聞出版社.

齋藤孝著(2017),『会話がはずむ雑談力』,ダイヤモンド社.

PHP Online 衆知|【雑談力】いい会社は必ず「雑談」を大切にしている!

StudyHacker|雑談下手な社会人必見! 口下手な人こそ会話が捗る「受け身の雑談術」

気づきのキャリア(87)「1on1」してますか? “ちょっとした意識” でチームを成長させられるコミュニケーションの方法

Studay hacker に寄稿しました。

皆さんは「1on1」または「1on1ミーティング」をご存知でしょうか。

1on1とは、主に上司と部下で行う定期的なコミュニケーションのことで、ヤフー株式会社や日本最大のレシピサイトを運営するクックパッド株式会社をはじめとした多くの企業が実施しています。また米国・シリコンバレーでも「1on1 meeting」が浸透しており、世界的にも注目される人材育成方法でもあります。

これまで日本企業で行われてきた上司と部下の「面談」は、成果を確認したり、評価を伝えたりするだけでした。しかし1on1では、仕事をとおして経験した「うまくいったこと」「失敗したこと」「仕事の悩み」などを上司と部下が一緒にふり返ることで、仕事に対する考えやモチベーションを共有することができます。そして考えを共有することにより、上司は部下をフォローすることができ、部下の成長スピードが加速するのです。

シリコンバレー出身でインテル元CEOアンディ・グローブ氏によれば、マネージャーの重要な仕事は「部下から最高の業績を引き出すこと」であり、そのために「訓練」と「動機づけ」をするのだそう。この1on1は、フィードバックをとおして部下を「訓練」し、仕事へのモチベーションを高めることで「動機づけ」することができると言えるでしょう。またグローブ氏は1on1について以下のように述べています。

マネジャーと従業員の仕事上の関係は、両当事者がそのことにそれなりの「時間」を投入しなければ向上はできない。だから私はふつう最後にはマネージャーに邪魔の入らない1対1の時間を作ってもらうことを強く求めるようにと勧めている

(引用元:アンドリュー・S・グローブ著,小林薫訳(1990),『ワン・オン・ワン―快適人間関係を作るマネジメント手法』,パーソナルメディア.)

1on1の基本

 

1on1を実践している企業として有名なのは、2012年4月「爆速」のスローガンを掲げて新経営体制を発表したヤフーでしょう。ヤフーは新体制に伴い、人材育成制度として1on1(週1回30分)を設けました。この制度により組織は活性化し組織力が強くなったと、同社のピープル・デベロップメント本部長である本間浩輔氏は語っています。

半年に1回飲み会をするよりも、3ヵ月に1回一緒にランチに行くほうがいいし、3ヵ月に1回ランチに行くよりも毎月1回1時間話したほうがいいでしょう。また毎月1回、1時間話すよりも毎週15分ずつ話したほうがいい。コミュニケーションは頻度が大事です。仲のいい人とは頻度が高いけれども、ちょっと苦手な人に、たまたま声をかけたときに断られたりしたら、やはり声をかけなくなってしまう。そんなことがありがちです。そこで、全員とコミュニケーションの頻度を上げようと思って始めたのが、1on1ミーティングの原型になったものです。「ちょっとお茶しよう」と一人ひとりに声をかけては、カフェで話を聞くようにしたのです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|ヤフーの上司は「目標管理」ではなく「成長支援」をする)

また本間氏の著書『ヤフーの1on1』によると、「週1回、30分の“部下のための時間”が人を育て、組織の力を強くする。1on1によって経験学習を促進させ、才能と情熱を解き放つことで、社員は大きく成長する」とあります。1on1は、部下の優れた才能を見つけ伸ばしていくために、上司が対話を通じてアドバイスをするコミュニケーションです。

1on1は週1回・30分、月1回・30分など、定期的に実施します。そして部下の話したいと思うことを話してもらうようにすることが大切です。その際、言葉をさえぎったり、意見をかぶせたりしてはいけません。部下が本音を言えるような環境を心掛け、しっかり傾聴しましょう。また相手が話したキーワードを繰り返したり、考えをまとめたり、質問をしたりすることも有効です。部下の気持ちを代弁し、意見を肯定することで、「言いにくいこと」や「言うほどでもないこと」などの本音を聞くことができるでしょう。

1on1を行うときは、コーチング(答えを見つけるサポート)、ティーチング(知識やスキルを教える)、フィードバック(悪いところ、改善策を伝える)の3つをうまく使いわけ、本人に気づきを与えられるようにしてください。その気づきが結果的に部下の成長へとつながります。

意見や意識を共有する

1on1では、上司と部下が成功・失敗経験を共有することで、次のステップへ進むにはどうしたらよいのかを改めて考えることができます。このとき成功や失敗に対して、単純にほめたり叱ったりするのではなく、「私には、あなたがやっていることがこう見えた」と客観的にフィードバックすることが大切です。また1on1をとおして、部下のキャリアビジョンを確認することができますし、それを理解・支援することで、部下の「仕事へのモチベーション」も上がるはずです。

信頼関係を構築する

1on1に信頼関係は必須です。信頼関係がないまま進めると、「これからどうしたい?」と聞いても、「あなたには言いたくない!」と思われてしまいます。信頼関係を構築するには、上司側から自己開示するという方法をおすすめします。まずは自分のこと(それも本音に近いことなど)を話してみましょう。そうすることで、相手も心を開いてくれますよ。上司が弱いところを見せられなかったり、競争意識が出てしまったりすると、お互いの関係がうまくいかず1on1の効果は望めません。

1on1の失敗例

せっかく1on1の機会を設けたとしても、目的管理と進捗評価だけが優先されてしまったとしたら、1対1で話しをする意味がありません。また雑談中心になってしまうことも、組織の業績向上につながらないため、1on1の失敗例といえるでしょう。ありがちなのは、「俺の背中をみろ」とばかりに過去の栄光を語ったり、ついつい部下への愚痴をこぼしてしまうこと。あくまでもフラットに、じっくりと話を聞く時間にしてください。

***

1対1で話すことによって、部下の仕事へのモチベーションを高め、部下の訓練や成長を促進する効果が期待できる1on1は、シンプルですが奥が深いですね。個人を成長させるため、学びを高めるための1on1はとても重要なのです。これは研修や読書では経験することができません。

ビジネスパーソンであれば、自分の能力や成長の方向性が正しいと確信できること、第三者から励ましの声をもらうことでストレスが軽減されますよね。

さああなたも、上司や、周りの尊敬する人と1on1をしてみましょう!

(参考)

本間浩輔著(2017),『ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法』,ダイヤモンド社.

ダイヤモンド・オンライン|ヤフーの上司は「目標管理」ではなく「成長支援」をする

アンドリュー・S・グローブ著,小林薫訳(1990),『ワン・オン・ワン―快適人間関係を作るマネジメント手法』,パーソナルメディア.

アンドリュー・S・グローブ著,小林薫訳(1996),『インテル経営の秘密―世界最強企業を創ったマネジメント哲学』,早川書房.

HR NOTE|1on1とは何か?今注目の人事制度について調べてみた

 

気づきのキャリア(88)ソフトバンク孫社長に学べ! 目標達成のためのすごいメソッド『高速PDCA』

Studay hacker に寄稿しました。

毎日忙しいのになぜか成果が出ない、こんなに働いているのになかなか仕事が終わらない、もしかして自分の能力が低いのではないか。そんな風に考えてしまうときはありませんか?

そのような方は、ぜひ「高速PDCA」を試してみてください。これは、ゼロからスタートしたソフトバンクを30数年で年商9兆円を超える規模に成長させた、孫正義社長の仕事技術です。

現在ソフトバンク社員約6万人超が実践するという高速PDCAプロセスは、特別な能力がなくても、どんな人でも使える技術なのです。孫社長の目標達成術とともにご紹介しましょう。

高速PDCAの8ステップ

「PDCA」とは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを回すこととされています。しかし、ソフトバンクで実践されている「高速PDCA」は、「もっと早く、確実に」そのサイクルを回すのです。

では、高速PDCAとは具体的にどんな方法なのでしょうか。孫社長の右腕だった元ソフトバンク社長室長の三木雄信氏は、自身の著書『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA』の中で、以下のように説明しています。

1. 大きな目標を立てる(週、月単位など)

2. 小さな目標を立てる(1日が原則)

3. 目標達成に有効な方法をリストアップする

4. 期間を決めて、すべての方法を同時に試していく

5. 毎日、目標と結果の違いを検証する

6. 検証をもとに、毎日改善する

7. 一番すぐれた方法を明らかにする

8. 一番すぐれた方法を磨き上げる

例えば、新人の営業担当者がなかなか契約を取れないとしたら理由はどんなことだと思いますか? ①何も考えずに電話する②結果を記録しない③仕事を数字で管理しないの3つではないでしょうか。そしてこの例を、「高速PDCAの8ステップ」に当てはめて改善してみます。

1.「1ヶ月5件の契約を取る」を大きな目標に設定

2、「1日に10人の見込み客と3分以上話をする」という小さな目標を立てる

3.「見込み客リスト」を活用

4.  「見込み客リスト」に電話して「何分話せたか、どんな話をしたか」を記録

5. 1日の終わりに、小さな目標を達成できたかチェックする

6. 明日はどう電話をするべきか考える

7. 記録から様々な傾向に気づく(相手の職業や会話時間、会話内容など)

8. 記録をもとに、次の週は話しやすい属性の見込み客に電話をかける

このように8ステップを実行することで、経験やテクニックが少ない新人でも、目標を達成することが可能になるのです。もちろんこの高速PDCAは営業に限らず、制作やマーケティングなどあらゆる部署で活用できます。

孫社長の目標達成術

また孫社長は、驚異的なスピードで目標を達成しています。

19歳のときに立てた「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を最低で1,000億円貯め、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、60代で事業を後継者に引き継ぐ。」という人生50年計画の話は有名ですよね。

孫社長はなぜそんなことができるのか、その理由は「『なりたい自分』と『現在の自分』のギャップを最短最速で埋めるノウハウを持っているから」です。

そのノウハウをいくつかご紹介しましょう。

1.わらしべ長者戦略

孫社長は儲からない上に手間のかかる「ADSL事業」からスタートし、ボーダフォン日本法人を回収しました。これはゴールまで遠回りしているように見えて、実はゴールまで最短で到達する方法だったのです。まずはゴールとする大きな目標を立て(高速PDCAステップ1)、次に中間的な小さな目標(高速PDCAステップ2)を立てたと言えるでしょう。

このように、一見するとあまり価値がなさそうだとしても、まず今の自分ができそうなことから始めてみるのです。受験や就職などの大きな目標の前に、バイトやインターン、夏期講座など、今できる経験から自信をつけると良いですよ。

2.ナンバーワン戦略

また孫社長は「小さい市場」にターゲットを絞り、その中でダントツのナンバーワンになることで会社を大きくしてきました。確かにいくら頑張ったとしても、競争相手が多すぎてはナンバーワンになることは難しいですよね。そこで、自分で勝手に領域を区切ってしまうのです。フランス菓子の教室はたくさんあるかもしれませんが、チリ菓子講師という肩書はあまり聞いたことがないと思いませんか?

また自分の得意技を掛け算することでナンバーワンを名乗ることができるようになるかもしれません。例えば、「歴史が得意×釣り好き」「絵が得意×国歌マニア」「筋トレが日課×裁縫好き」などです。面接や接待などでナンバーワンアピールができるでしょう。

3.くじ箱戦略

孫社長がIT分野で起業したのは、「これから発展するのが確実な業界だ」と考えたからだそう。また孫社長は1990年代、「アメリカで成功しているビジネスは、日本でも成功する確率が高い。つまり当たりが多そうなくじ箱だから、どんどん引いていこう」とアメリカで成功している企業や事業と組んでジョイントベンチャーを次々に作っていました。

当たりそうなくじ箱を選ぶことは非常に大切なのです。海外で仕事をしたいのであれば、海外の事業所が多い会社や、海外展開に積極的な企業を選んでみることです。

***

三木氏の入社当時、初めて孫社長から命じられた仕事は「3日で経営要素1万件をピックアップしろ」という“むちゃぶり”でした。しかし孫社長自身は誰もが無理だと思っていることを次々とやりとげている……。

そこで三木氏は仕事のやり方を徹底的に分析し、仕事を滞らせている原因には、「計画に完璧さを求めること」「一球入魂主義」「期限の甘さ」「数値で設定されていない曖昧なゴール」「検証の中途半端さ」「自前主義」があることに気づきました。

ソフトバンクで実践されている“高速PDCA”は、この問題解決からきているのですね。

さあ、あなたも孫さんのPDCAをコピーして、大きな目標を達成しましょう!

(参考)

三木雄信著(2017),『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA』,ダイヤモンド社.

三木雄信著(2016),『孫正義社長に学んだ「10倍速」目標達成術』,PHP研究所.

リクナビNEXTジャーナル|ソフトバンク元社長室長が“むちゃぶり”から習得した「すごいPDCA」とは?

Wikipedia|孫正義

 

気づきのキャリア(89)MBAよりも大切な “コーチング” の極意とは? 『上司のすごいひと言』著者 板越正彦氏 特別インタビュー

StudyHackerでインタビューしていただきました。

特別企画。今回は、2017年7月に出版され大きな反響を呼んでいる書籍『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』の著者である板越正彦さんをお迎えしてのインタビューの様子を皆さまにお届けします。

インテル株式会社(日本法人)の執行役員を経て独立し、現在は「最新コーチング」のスペシャリストとして、ベンチャー向けのコンサルティングや大学の講義など様々なシーンで活躍されている板越さん。実はStudyHackerとは以前からご縁があり、2015年から現在までの2年間で、実に60本以上のコラム記事をご寄稿いただいています。

そんな板越さんに、今のビジネスの世界における「コーチング」の重要性や、今後を生き抜くために私たちがやっておくべきことなどについて詳しくお話をうかがいました。

“内定取り消し” の憂き目から始まったキャリア

――まずはじめに、板越さんがこれまで歩まれてきた、ビジネスパーソンとしてのキャリアについて教えていただけますか?

板越さん:

私が大学生だった当時はちょうどバブルの時代でした。東大のアイスホッケー部に入っていたこともあり、就活はどこでも通るような状況だったんです。実際に、マスコミに行きたいと思って受けていた某テレビ局からも内定をいただきました。1500人のうちの10人に残ったんです。でも健康診断で寝坊して、内定を取り消されてしまいました。

ちょうど前日にアイスホッケー部の合宿で軽井沢にいたんですが、教会の中でふざけて「南無妙法蓮華経!」って叫んだんですね。そうしたら、外に出た瞬間に雨がざーって降ってきて。さらに後輩が車の中にキーを閉じ込めてしまって……。雨の中みんなで「罰が当たったな~」なんて話してましたよ。

そして次の日の健康診断。本当は朝の9時に集合しなければならなかったのに、起きたらもう9時だったんです。普通だったら目覚まし時計がなくても起きるのに……。慌てて電話しましたが、時すでに遅しでした。

そのときはもう1回留年しようかなとも思いましたが、「マスコミに落ちたらぜひうちに来てください」と言っていただいていた日本合成ゴム株式会社(編集部注:現在のJSR株式会社)に入社することを決め、7年間勤め上げました。

その後はパリの国連UNESCOで2年間勤務したのち、日経新聞の「インテルつくば 経理部門募集」という求人広告を偶然目にしたのがきっかけで、インテル株式会社に参画しました。もう20年以上も前ですね。

そのときはパソコンが普及する前だったので、インテルもそこまで大きくはありませんでした。そこから売り上げが10倍になって人も10倍になった。Windowsが広がりパソコンがぐんと普及し始める良い時代にインテルに参画できたので、いろいろな経験をさせてもらえたのはすごく良かったと思っています。

「コーチング」と出会ったのは、部下マネジメントの “しくじり” からだった

――インテルでは最終的に執行役員にのぼりつめるなど順調にキャリアを積まれてきたように感じますが、そもそも「コーチング」に出会われたのは何がきっかけだったのですか?

板越さん:

インテルでは、上司が部下から評価を受ける「360度フィードバック」というものがあり、100点満点のうち80点以上を取らないと次のクラスには行けないんです。でも私は最初、100点満点で20点だった。「えーっ!」って思いましたよ。こんなにご飯も奢っているし、一緒にBBQもしているし、お金も出しているのに、20点って……。

――原因は何だったのでしょうか?

板越さん:

私がプレーヤーだった頃は、まさに “Up or Out” の時代でした。頑張るやつは頑張れ、ダメなやつはほかと入れ替えるからバッチを置いて出て行けって。私はそれで育ったから、全然気にならなかったんです。「自分で考えろ」とか「頭使え」とか「一生懸命やれ」とか、それで良かったんです。

私や私の親は、大きな車や大きな家がひとつの目標になる世代でした。だから “激しく働く” っていうのが、ある意味当然の価値観だったんですね。

でも時代が変わってくると、出世や給料アップよりも「みんなに貢献したい」「ありがとうと言われたい」あるいは「技術を身につけたい」といった “自分の思い” を大事にする人が非常に多くなってきた。時代とともに、人々の価値観も変わっていったんです。

それなのに、自分がプレーヤーだったときのやり方をそのまま部下に押しつけてしまったから、全然響きませんでした。「これしろ、あれしろ」って言うだけでは、部下もやる気になってくれません。各人の “ワクワクする価値観” を知り、それと会社のゴールとをうまく結び合わせてあげることが、求められるようになってきたんです。

――その「“ワクワクする価値観” を知る」ためのコミュニケーションが「コーチング」なのですね。

板越さん:

そこでは「聞く」というのがとても重要になってきます。部下と個別に話をして、「将来は何がしたいのか?」「どういうキャリアを歩んでいきたいのか?」などと聞いてみるんです。「営業トークを磨きたい」「技術者としてセミナーに登壇したい」など、人によっていろいろな答えが返ってきます。

そうしたら、そのために何をすればいいのか、やるべきことを因数分解して決めていくんです。具体的な小さなステップを見える化する。そして実際にやらせて、できたらすごくほめてあげる。「できなかったことができるようになった!」という感覚を抱かせることが重要なんですね。

あるいはもっと単純に、部下がちょっと悩んでいるときでも「何がうまくいかないの?」とか「一緒に考えよう」とか声をかけてあげるだけでも、組織の雰囲気はすごく良くなります。今の若い人たちは、私たちが若かったころよりもさらに “人に聞けない” 世代なんですね。“自分が知らない” ということを言えない。メールを書くのに6時間もかけてしまったり。

――声をかけてもらえれば、寄り添われている感じもしますね。

そうなんです。でも、そもそも上司と信頼関係がなかったら、怒られることを恐れて「あの人に聞こう」なんて思わないじゃないですか。だからこそ、普段から「学生時代は何が楽しかった?」のような、仕事以外のパーソナライズな話をして信頼関係を築いておくのが大切なんです。“何でも言っていい雰囲気” “周囲に助けを求めていい雰囲気” “みんなが教えてくれる雰囲気” が、組織の生産性を高めてくれるんです。

『上司のすごいひと言』執筆の背景

――このたび出版された『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』の中でも、部下の気持ちに寄り添う “質問” や “リスニング” の方法がたくさん紹介されていましたね。今回、こちらの「コーチング」に関する本をご執筆しようとお考えになったいきさつを教えていただけますか?

板越さん:

正直なところ、日本ではまだ、このコーチングというものがうさんくさく思われている節があります。「あなたは何を思いますか?」「あなたは何を考えますか?」などと言うと、スピリチュアルやフォーチュンテラーといったものと同類であるかのように勘違いされてしまうんですね。部下に自分の思いを整理して話してもらうというのは、日本の上層部はあまりやりたがらないというのが現実です。

でも本当のコーチングというのは、「あなたの中での優先順位は何ですか?」「この6ヶ月で一番大事なことは何ですか?」「逆にやめることは何ですか?」などと問いかけ、今やるべきことの中で何が一番大切なのかを自分で気づいてもらったうえで、できる行動を達成させて自信をつけさせ次のステップに行かせるという、科学的・構造的に成長を支援するものなんですね。

これはインテル在籍当時から感じていたことですが、先にも述べた通り、やはり “個別対応” をしていかないと個人を成長させるのは難しい時代に来ています。実際にアメリカでは、8割のリーダーがコーチングのためのコーチをつけているんですね。日本はアメリカから10年遅れているということを踏まえると、あと10年もしたら、リーダーがコーチをつけるというのは日本でも普通のことになってくるのではないかと考えています。

このように、科学的・構造的に成長を支援するという市場は今後増えていくという仮説を私は持っていて、様々な企業のセミナーでも話してきました。部下がやりたいこと、会社がやりたいこと、部内でやりたいこと、それらを話し合える関係性やチームを作っていくのが大事だという視点から、この本を執筆しました。

若手が「コーチング」を学ぶ意義とは?

――「コーチング」という言葉を聞くと、“ある程度のスキルや経験のある上司が部下に対して” という印象がありますが、StudyHackerの読者層でもある若手ビジネスパーソンや大学生がコーチングの技術を学んでおく意義がありましたら教えてください。

板越さん:

たとえ大学生でも下級生を束ねるなどチームを率いなくてはいけない場面が出てくる。どんな人でもリーダーにならなくてはいけない場面が出てくる。そこにコーチングを学んでおく意義があると思います。人に仕事や作業をしてもらいたいのならば、コーチングは絶対に必要になります。

「なんでスケジュールに書いたのに誰も動いてくれないの……」「なんでクラウドに入れておいたのに誰もやってくれないの……」って、みんなものすごい悩むんですね。でもそういう人に私は言うんです、「誰でもやってくれるって思うのはおかしいよ」って。「“何があったらやりやすい?” とか “自分がどうサポートしたらやってくれる?” とか、個別に1on1で話したり、目的を共有したりしないと、どんなに頼んでも反応はないよ」って。

逆にそのことがわかっていれば、相手と話すことを怖がってずっと悩むなんてこともなくなるんです。「聞いてみる」「話しかける」といったアクションの一歩目を、自分から進んで起こしに行けるから。そして実は、私がコーチングを教えていてものすごく成果が出るのも、ある程度の社会人の方というよりは、むしろ若い人のほうなんです。

――跡見学園女子大学でもコーチングのゼミをやっているそうですね。

板越さん:

跡見学園女子大学のゼミでは、12人のゼミ生それぞれの価値観をみんなで見て、その価値観ごとに話をするということをしています。「スケジュールはきっちり決めたい」と「スケジュールをきっちり決めるのは嫌だ」、あるいは「ばりばりやって成果を出したい」と「ばりばりやらずにのんびりしたい」などですね。

誰がどういう価値観を持っているのか、まずはそれを知るんです。自分と相手とはどう違うのかを知る。そういった “気づき” を経たうえで、相手を変えるというよりも、自分からアプローチの方法を変えていくんです。

――コーチングの基本である「傾聴」 や「共感」といった技術を、若手ビジネスパーソンや大学生が身につけるには何をすればいいのでしょうか?

板越さん:

私は講座ではいつもロールプレイをやらせています。2人1組で、片方は聞く係、もう片方は話す係。それで何回も何回も場数を踏ませるんです。「1年後はどうなっていたい?」とか「具体的にどうしたい?」とか、質問するということをとにかく試させるんですね。

そしてそれを、講座を離れた実際の場所で実践してもらうんです。相手の反応を見ながら、「そうですか!」とか「それは知りませんでした!」とか相槌を打ったり、スマイルしたり、しっかりとアイコンタクトを取ったりしながら、じっくり聞く。そうすると9割の相手は話してくれるんですね。そうして話がはずむっていうのを実感して初めて、「コーチングってすごい!」ってみんな思うんです。

自分が話そうとすると緊張してしまうけれども、実は聞くだけでいい。それがわかるだけで、とっても楽になるんです。最初は少し怖くても、どんどん質問をして場数を踏んでいくのが大事ですよ。

「コーチング」は、英語よりも経営よりもMBAよりも大切なこと

――最後に、StudyHackerの読者に向けてメッセージをお願いします。

板越さん:

Amazon、Google、Facebook、NVIDIAが大企業に成長した例からもわかるように、今後何が成長して何がうまくいくかなんて、誰にもわからないんです。だからこそ、心をオープンにして柔軟にして、「人にちょっと聞いてみる」「自分でちょっと試してみる」「違うと思ったらまた別の方法でやってみる」、そういったことを楽しんでできるかどうかが大切になってくると思います。

そして、“人に聞く” “質問する” っていうのは、知っている人に聞けばいいだけだから、すごく簡単ですよね。正解が何なのかわからない今の時代だからこそ、これらは英語よりも経営よりもMBAよりも重要なことだと、私は思っていますよ。

***

今回は「コーチング」を軸に、“相手に耳を傾けること” や “人に聞いてみる” ことの大切さ、コーチングの技術を身につける方法などについて、板越さんに詳しくお話していただきました。日本ではまだあまり浸透していない「コーチング」という考え方ですが、だからこそ、それを知って技術を身につけておくことで、周囲とも差がつけられるのではないでしょうか。

最後に、『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』の中で板越さんが書かれた言葉を引用して、この記事をしめようと思います。

「ワクワクすること」が最大のパワーを生む

板越さん、ありがとうございました。

気づきのキャリア(89)部下をやる気にさせる「ワクワクエンジン」を起動させる方法とは?

Yahooニュースでもlifehackerの記事を取り上げていただけました。

『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』(板越正彦著、かんき出版)は、部下が自分で考えて動き出すようになる「あること」について書かれた本なのだそうです。インテル在職中の2012年にビジネスコーチ社でコーチングの資格を取得し、ワークショップやエグゼクティブコーチングで成果を上げてきた著者が、そうした実績のなかから導き出した考え方。

その「あること」とは、部下がやる気になる「ワクワクエンジン」を探し、会社の目標とすり合わせることです。

ワクワクエンジンとは、何かワクワクしたときにかかる心のエンジンです。やる気やモチベーションの源であり、このエンジンがかかったときに人は真の力を発揮します。

私たちは、つい、会社のノルマや上司の期待を部下に押し付けてしまいがちです。

それでは部下は自分で動き出さないし、常に管理・監視を続けなくてはなりません。モチベーションも上がらないし、優秀な人材を採用しても急に辞めてしまうでしょう。

その原因は、ワクワクエンジンがまだかかっていないからです。

(「序章 部下が自分で考えて動き出すたった1つの『エンジン』がある」より)

いうまでもなく、著者の造語であるワクワクエンジンとは、なにかワクワクしたときにかかる「心のエンジン」のこと。やる気やモチベーションの源であり、そのエンジンがかかったときに人は、真の力を発揮するというのです。

ちなみにワクワクエンジンをかけるには、「その人がどこにワクワクするか」という急所である「ワクワクポイント」を知る必要があるといいます。著者の場合は、部下がワクワクエンジンをかけられるようになるために、部下のワクワクポイント(価値観・こだわり)を聞くように心がけたそうです。

だとすれば、部下に達成してほしい目標を、うまく部下のワクワクエンジンとつなげて示せば、部下は自分で考えて動き出し、目標に向かって進んでくれるはず。事実、著者自身も、「上司の役目は部下のワクワクエンジンを探し、うまく始動させること」だと気付いてから、すべてがうまく回りはじめたのだといいます。

そして、そのような状況を実現するために重要な意味を持つのが、上司からの「ひと言」だと著者は主張します。

上司にはカリスマ的なリーダーシップも、部下への影響力も必要ありません。たった一言で部下の気持ちに寄り添い、ワクワクエンジンをかけるだけでいいのです。

目の前の業務で手一杯になり、部下の指導までなかなか手が回らない皆さんこそ、これから紹介する「質問&リスニング」を実践してみてください。

きっと、部下は自分で考えて動きだすようになり、上司のあなたは管理も監視もしなくてよくなることでしょう。

(「序章 部下が自分で考えて動き出すたった1つの『エンジン』がある」より)

そこで本書では、入社3年目の田中くんという20代営業マン(法人営業)のケースを用い、「ひと言」のかけ方を紹介しているわけです。田中くんは、与えられた仕事はきっちりこなすし、上司の指示もきちんと聞く、どこの職場にもいるような真面目なタイプ。しかし、誰とでも合わせられる器用さがある一方、深い関係を築くのは苦手だといいます。そんな彼のワクワクエンジンをどうかけたらいいのか、第1章「部下のやる気のスイッチを入れる6つのステップ」を見てみましょう。

まずは、部下との距離感を縮める

部下との信頼関係が築けていないうちに、「ワクワクポイントはどこか?」などと真顔で聞いたとしても、部下からはぼんやりとした答えしか返ってこないはず。そこで無理に追求せず、「気楽に答えられるひと言」で、まず部下との距離を縮めることが大切。そのスタートラインとして紹介されているのが、「心を開いてリラックスさせるひと言」をかけること。

上司「最近、一番楽しかったことは何かな?」

田中くん「最近ですか? 大学時代の友だちの結婚式の二次会で盛り上がったことかなあ」

上司「それはいいね。何が楽しかったの?(1)」

田中くん「新郎と一緒に、ひそかに三代目J Soul Brothersのダンスの練習をみんなでしていて、余興でやったんです。新郎はダンスが下手で、みんなと動きがずれていたから、会場は爆笑でしたね。新婦にもすごく喜ばれて、あんなに楽しかった二次会は初めてです」

上司「それは盛り上がっただろうね。どれぐらい練習したの?(2)」

田中くん「1カ月前から、土日にみんなで集まって振りを覚えて、練習をしたんです。みんなダンスはしたことなかったから、覚えるまで大変でした」

上司「1カ月も練習するなんてすごいね。いい仲間だね」

(34ページより)

この会話には、2つのポイントがあるそうです。ひとつひとつを見てみましょう。

最近楽しかったことやうれしかったことを聞く

喜怒哀楽につながる質問は相手も答えやすく、心を開きやすくなるといいます。特に楽しかったことやうれしかったことを具体的に思い出してもらうと、それだけで部下の内部にワクワクする気持ちが蘇ってくるのだとか。理想は、「その楽しい気持ちを仕事で再現するにはどうすればいいのか」というところに話を持っていくこと。

しかし質問&リスニングに慣れないうちは、無理やり仕事の話に結びつけていると思われてしまう可能性も。それでは部下もワクワクできないので、楽しい体験を思い出してもらうだけで十分だといいます。

自分が知らないことでも興味を持って聞く

部下が自分の知らないことを話題にしたり、自分にとって興味のない分野について話したとしても、「なにそれ?」というように無関心にならないことが大切。上記の例であれば、「三代目J Soul Brothersって、どんなダンスをしているの?」など、わからないことを聞いてもかまわないそうです。話に興味があるということが伝われば、より熱心に話してくれるわけです。

このように、他愛ない会話から、田中くんのワクワクポイントにつながる情報がかなり拾えるということ。たとえば「みんな」という言葉を繰り返していることからは、「人と協力してなにかをするのが好きなのだろう」「人に喜んでもらえるとやりがいを感じるのだろう」などと推測できるわけです。(34ページより)

さて、著者が次に取り上げている「価値観やポリシーを知るためのひと言」も、記憶にとどめておきたいポイントです。

上司「田中くんはなんのために仕事をするのかな?」

田中くん「うーん、僕はプライベートを充実させるためにお金が必要だから働いている、という感じです」

上司「そうなんだ。仕事は仕事で割り切っているんだね」

田中くん「ぶっちゃけ、あんまり楽しくないですから」

上司「いまの仕事は楽しめないんだね。なかでも、やりたくないことはなんだろう?(1)」

田中くん「それはやっぱり、ノルマ達成です。ノルマに常に追われてる感があると、ストレスがハンパないっていうか。ノルマがあると、クライアントに強引に勧めないといけないから、相手に悪いなっていう気分になるんです」

上司「それはもしかして、ノルマ自体がきついというより、クライアントに不誠実なことをしなくてはならないことに対して、良心が傷んでいるのかな?(2)」

田中くん「そうなんです。それで契約が取れても、モヤモヤした気分になっちゃって」

上司「良心が痛まないでノルマを達成する方法を考えられるといいね(3)」

 

やりたくないことの裏側のポリシーを探る

「なんのために仕事をするの?」と聞くよりも、部下の嫌いなこと、苦手なことを聞き出すほうが有効。そして行動してもらうヒントを探すには、「なぜ、それをやりたくないのか」というような質問を投げかけていくと、やりたくないことの裏側に部下のポリシーや価値観が見えてくるというわけです。

説教は厳禁

多くの上司はこういう状況で、「辛いのはわかるけど、みんながんばっているんだよ」と自分の意見を口にしてしまいがち。しかし、そうなると部下は心も口も閉ざしてしまうもの。部下の気持ちを受け止めるだけでいいので、最初は自分の意見を挟まないようにすべきだというのです。

同意のリスニングで関係を深める

ネガティブなことを聞き出すときは、ポジティブな話を聞き出すときより、慎重に進めることが大事。共感や承認を示すリスニングを合間に挟み、「私はあなたの話を受け止めています」という姿勢を示すことがポイントだということです。

質問&リスニングの効果

自分の弱いところを人に見せると、その人との距離は一気に縮まるもの。だから部下は苦手なこと、嫌いなことを吐き出せたら、上司に親近感を抱くといいます。また、部下が苦手なことを克服できれば、いずれ自分で動けるようになるとか。そのためにも、まずは苦手ポイントを聞き出すべきだというのです。(32ページより)

部下に自分で考えて動く習慣を身につけさせることは、なかなか難しいもの。しかし上司にとってそれは、いつか乗り越えなければならないハードルでもあります。そこで、状況を改善するために本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

印南敦史

気づきのキャリア(90)「ワクワク」させてますか?

日刊すごい人にインタビューされました。

インテル株式会社の360度評価でクビ寸前から世界トップ0.5%に上り詰めたスゴい人!

罰が当たった!?恩義を重んじた就職

管理職2000人中で下位5%クビ寸前!!!

超合理的主義の激しい上司がまるで牧師みたいに

本日登場するスゴい人は、インテル株式会社の執行役員時代に、社内における360度評価で100点満点中、たったの20点!を取ってしまいクビ寸前!

しかし、ある事を取り入れることで、翌年は全社員のトップ0.5%にまで昇りつめてしまった!

きっと、今日のスゴい人の経験は多くの部下を持つマネージャー職の人にとってヒントになるはずだ!

是非、今日のスゴい人の経験をヒントにしてほしい!

さあ…

ビジネスコーチ株式会社

HRテック担当顧問 兼 エグゼクティブコーチ 板越 正彦様の登場です!

柔道を通じ精神力を培う

小学生の時は喘息で体も弱く、頭でっかち読書好きでいじめられっこに近い方でした。

その頃の「柔道一直線」というテレビ番組の影響で、中学から柔道を始めました。

柔道部はとても厳しく、最初に40人いた部員は最終的に6人しか残らないくらいでした。

僕は身体が小さかったけれど先鋒で、3年生の時には大阪府3位になれました。

柔道が強くなると、いつの間にか、積極的にいじる側に変わっていました。

勉強の成績もいい方でしたし、柔道で強くなれた事が大きな自信になりました。

どんな時でも「コツコツ諦めなければ必ず成果を掴める!」という事を学びました。

進学校では落ちこぼれ

高校で進学校に進むと、学業の成績は450人中、430位!

これではダメだ!と寝ずに勉強を頑張り過ぎ、校内マラソン大会では男子200人ぐらいで走ったのにドベ(最下位)。

中学の時には勉強もできて走るのも速かったはずが、高校では両方共にドベに近い。

この時はすごく落ち込みました。

それでもコツコツ頑張って、一浪して東大に合格はしたものの、学業では卒論「可」でドベ。

MBAも取りましたがギリギリ合格でドベです。

でも、いいところを高望みして、”ドベ”で引っ張ってもらう方が得るもの(友人や経験など)、が多いなと感じました。

罰が当たった!?恩義を重んじた就職

就職はバブルだったこともあり、学生時代の面白い話をして面接官に気に入られ、大手テレビ局の内定をいただき、かなり天狗になっていました。

大学時代のアイスホッケー部で最後の合宿に行った時。

教会でふざけて「南無妙法蓮華経」と唱えて外に出ると、急に大雨。

大雨の中、後輩が車の中にキーを忘れて閉めたものだからさあ大変。

ずぶ濡れになりなんとか鍵を空けて、寮に着いたのですが、疲れて翌朝にあった内定者の健康診断を寝坊!

それまで寝坊したことなんて一度も無かったんです。

電話をしたものの今回は遠慮してくれと内定を取り消され、教会でのバチが当たったと落ち込みましたね。

「マスコミに落ちたらでいいから、うちに来てください」と言って待ってくれていた会社がありましたので、恩義に報いようと入社したのが化学メーカーのJSRでした。

泥臭い営業時代

JSRには7年いましたが、最初は泥臭い国内営業から始まりました。

プラスチック成型を行っている中小企業のオヤジさんが営業先でした。

頭でっかちでプライドが高い僕は、どぶ板営業なんて嫌だと思った時期もありましたが、ここで成績を上げるしかない!と思い直し4年間営業を頑張りました。

エリアは新潟・燕三条でしたので、雪かきを手伝ったり、忘年会で酔っ払って池に落ちたりして段々可愛がられるようになりました。

なんとか意欲が認められ、会社派遣でMBAも取らせてくれました。

大学時代の友達はカッコイイ一流企業に入っているのに、僕は地味なメーカーで…って最初は落ち込みましたが、前向きに進んできたことが良い結果に繋がりました。

国連機関勤務を経てインテルへ

当時、一度は国連機関で働きたい!という思いがあり、機会をいただきパリの国連で2年働きました。

任期が終わり、たまたま新聞で見たインテルの求人広告に惹かれて応募、つくば採用になりました。

日本人で英語が話せて、大阪的KY(空気が読めない人)で押しが強い僕はインテルと非常に肌が合いました。

当時のインテルの経営陣は、全員競争心が強く、激しいタイプばかりでした。

今で言えば”トランプ”のようなトップが100人いるような、すごい世界で僕は揉まれました。

PCも会社も伸びる良い時期で、役職も上がり、50人近くの部下を持つようになりました。

2000人中で下位5%クビ寸前!!!

昇進した人は、自分が育ってきた経験を部下にも強要しがちです。

自分は厳しい世界を経てきたんだから、部下たちにも同じように厳しくていい!という様に。

部下に対して、歓迎パーティーやBBQを開催したり、いつも「大丈夫です!」という返事が戻ってきていたので安心していました。

しかし!部下も含めた「360度評価」をすると100点満点中20点。

管理職の合格は80点以上です。

全世界におけるインテルの営業部門のリーダーの中で下位5%の最低評価を受け、クビ寸前の数字が出て、上司が驚くほどでした。

部下からの評価があまりにも低いため、納得できず、眠れないくらい腹がたちました。

また天狗になっていたのですね。

「なりたくてなる天狗はいない」と言いますが、俺はなんでもできる人間だ!という全能感満載でした。

超合理的主義の上司がまるで牧師みたいに

最低評価を受けた後、なんとかしたいとビジネス書を読み漁り、セミナーにも参加しました。

そんな時、ある人の激変を思い出しました。

効率第一、無駄なものは一切受け付けない!という超合理的主義なエグゼクティブVP(上級副社長)です。

彼は約600万円かけてコーチングを受け、それまで「何でできないんだ!俺はそんな答えなんて聞きたくない!」と詰め寄る激しい性格だったのに、「君はどう思う?いいね!」と牧師のように穏やかになっていたのです。

コーチングの威力を知ると共に、コーチングを受けることは上に立つ人間にとって必須のスキルだと再確認しました。

実際に自分がコーチングを受けるよりも、教えられる立場になった方が早いと思い、資格を取りました。

コーチングを実践した翌年の360度評価ではなんとか合格点に届き、全従業員の上位0.5%が参加できるリーダーサミットに2年連続で参加できました。

21年インテルで働き、55歳で退職し、コーチングの道に進みました。

激しい時代を生き抜いてきたオレオレ管理職たちがコーチングを受けて、自慢話や苦労話を控え、部下の意見を傾聴し始めると、組織が目に見えて上手くまわりはじめました。

コーチングの重要性

コーチングには、相手の課題をじっくり聞く力と、気づきの質問をする洞察力が必要です。

つい周りと比較して落ち込んでしまう若い人には「誰とも比較しないで!昔の自分よりこれだけ成長しているよ!」と励まします。

自分では分からない強みや変化を上司が探し出し、気づかせてあげる事で自信を持てます。

一昔前は部活動や色々な社会の中で揉まれる機会がたくさんありましたが、今では競争・葛藤の機会があまりないので、逆に社会に出てから、人間関係に悩んだり、価値観の違いを受け入れられないことも多いのです。

お互いの違いを認め、受け入れることが大切です。

今後、日本の企業をはじめ学校にも、コーチングが必ず必要になっていくと信じています。

取材を終えて

板越さんは全身からエネルギーが漲り、パワフルに仕事をされてきたのだと一瞬でわかる方だった。

インテル時代、本場のコーチングを受けた上司の変化を目の当たりにし、ご自身も相当な金額を投資して学んだコーチングで評価を180度変えてしまった。

今まさに日本は大きな変化の時代に入ってきているが、価値観の違いが大きく生じている世代間を超えた組織づくりにはコーチングは最適である。

板越さんはプライベートで週に1~2回はゴルフをされ、週末はなんと!シニアのアイスホッケーをされているという。

著書である『上司のすごいひと言』はコーチングを知らない人でもスグに実践に移せるように具体的な事例が沢山書かれている。是非、手にとって読んでみて欲しい。

プロフィール

板越正彦(いたごし・まさひこ)

ひと言の声がけで部下のパフォーマンスを劇的に上げる「最新コーチング」のスペシャリスト。元インテル株式会社(日本法人)執行役員。

1960年生まれ。東京大学文学部心理学科卒業。在学中に某テレビ局への就職を決めたが、健康診断当日に寝坊し内定取消の憂き目に。

卒業後、化学メーカーJSRに入社し7年勤務。サンダーバード大学院にてMBAを取得後、国連UNESCO勤務を経て、94年にインテルに入社し、21年間勤務。

シリコンバレー本部での勤務を含めて15以上のセクターで活躍した。

インテルでは順調に業績を上げ本部長に昇格。

ところが、昇格直後に部下から受けた「360度フィードバック」で100点満点中20点と、全世界における営業本部のリーダー中下位5%に含まれる最低評価を受け、クビ寸前に。

そこからコーチングを学び、部下との付き合い方を変え始める。一人ひとりの部下が大事にしている価値観(ワクワクポイント)を知り、ひと言で刺激する手法「最新コーチング」を取り入れたところ、評価が大幅アップ。

同社のトップ0.5%だけが参加できる「リーダーシップサミット」に2年連続選出された。

インテル在職中の2012年より、3年間で約1000人を対象にワークショップやコーチングで成果を上げ、独立。

現在は企業やベンチャー向けにコーチングを行うほか、跡見学園女子大学兼任講師も務め、最新コーチングのメソッドを世に広めている。

気づきハック(コーチングブログ) 

https://www.kizukihack.com/blog

BUSINESS COACH

http://www.businesscoach.co.jp

『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』(かんき出版)

http://amzn.to/2eFIeDM

 

 

 

 

 

 

 

 

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