top of page

気づきの書評のまとめをサマリーしています

 

気づきの書評(51)【書評】『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』

Study Hackerに寄稿しました。

皆さんのビジネスでの悩みはどんなことですか?

仕事をしていると、すべてが順調に進む日なんてほとんどないですよね。「顧客との会話がうまくいかない」「忙しくて、毎日の帰宅が終電になってしまう」といった悩みから、「この会社で生き抜くにはどうしたらいいのか」など様々な悩みがあると思います。そしてその悩みを解決するには、誰に相談したらよいのか、どんな本を読むべきなのか、どうするべきかわからないという人は多いのではないでしょうか。

今回紹介する『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』の著者である大杉潤氏は、入社1年目から、毎年300冊のビジネス書を読み続け、35年間で10,000冊以上の本を読破したそう。そして今でも1日1冊の読書を続けられています。

大杉さんは著書の中で、入社3年目くらいまでにビジネスパーソンが直面するであろう悩みや疑問を合計37つ取り上げ、ベストセラーから珠玉の1冊まで幅広いビジネス書から厳選した言葉を引用し、Q&A形式で解決しています。

 

『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』

(以下引用は本書より)

大杉さんが実際に読んだ10,000冊の中で、いわゆる良書と呼ばれるものを抜粋している上、「文章術」から「ノート術」、「時間術」「会話術」「営業術」「健康管理」「人生設計」まで、ビジネスにおける幅広い悩みを解決できる構成になっています。

著書の中で大杉さんが述べているように、小手先のテクニックだけでは悩みを解決することはできません。

若手が悩みを解決するには、単なる仕事のテクニックを伝えても意味がない。自らが困難を切り拓いていけるような「考え方」、「原理原則」、「習慣」を身につけることこそが、悩みの解決には不可欠なのだ。

今回は掲載されている37つの悩みのうちから、新人のころの私も悩んだことのある、いくつかの項目を選んでみました。

頭ではわかっているのに、なかなか行動に移せない

 

さあ作業に取り掛かるぞ、とその気になったけれど、具体的にどんなことから始めたらよいのかわからないという状況に陥ってしまったときは、物事を見るときの立場、「視座」を変えることが有効だそうです。たとえば、上司から資料作成を頼まれたときは、上司の立場や気持ちになり、その資料を誰に見せるつもりなのか、どう活用するつもりなのかを考えましょう。「視座」を変えることで資料作成の方向性が見えてくるはずです。

職場の人間関係がうまくいかない

 

間違いを指摘されたけれど素直に受け入れられない、違うアイデアを提案されたけれど、どうしても自分の案を押し通したい、ということはありませんか? 自分の考えだけが正しくて、それ以外を拒絶してしまったら人間関係がギクシャクしてしまいます。他人と過去は変えられませんが、自分の考え方や伝え方はいくらでも変えられるのです。意見が対立した場合でも、二者択一という考えを捨て、新たな「第3の案」を見つけてみることで、新しいアイデアを提案することができる上、人間関係もうまくいくでしょう。

仕事が好きになれない

 

京セラ・第二電電(現・KDDI)の創業者であり、日本航空(JAL)名誉会長でもある稲盛和夫氏によると、好きな仕事を自分の仕事にできる人は、「千人に一人」も「万人に一人」もないそうです。そこで、「現在の仕事を楽しんでみよう」と心の持ち方を変えてみましょう。現在の仕事で熱中できる作業はなにかを探し、自分が上達できそうな専門技術や能力を見つけてみることで、今までよりも仕事が楽しくなりますよ。また好奇心を持って、興味関心をどんどん広げることも大切です。自分の意外な可能性に気づけるかもしれません。

毎日を明るくポジティブに生きるには

 

仕事で失敗をしてしまったときのネガティブな感情をすぐに切り替えることができる人は少ないでしょう。しかしビジネスでは、与えられた条件や役割の中で、前向きに生きるメンタルの強さが重要なのです。そこで、メンタル強化のために、失敗したことよりも成功したプラス面にフォーカスしてみましょう。たとえば「10社訪問したのに契約が取れなかった」ことよりも「11社目で契約ができた!」というプラス面を強く意識することで、前向きに生きるメンタルが強く鍛えられるそうですよ。

人間の心理にとっては、ポジティブ感情とネガティブ感情の割合が「3:1」がマジックナンバーなのです。(引用元:バーバラ・フレディリクソン著(2010),『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』,日本実業出版.)

***

入社して3年は誰でも悩む時期だそうです。私もそうでした。

けれど、この辛い時期を乗り越えたからこそ、今の私があるのです。

「入社してからの3年ほど辛い時期はない。」「この3年間ほど、大事な時期は、一生のうちで2度とない。」「この3年間のうちに、君は一生で経験するすべてのことを経験する」(引用元:中谷彰宏著(1998),『入社3年目までに勝負がつく77の法則』,PHP研究所.)

さああなたも、悩みを解決して、明日からの仕事に役立てましょう!

(参考)

大杉潤著(2017),『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』,キノブックス.

気づきの書評(52)【書評】『HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) ――人を育て、成果を最大にするマネジメント』

Study Hackerに寄稿しました。

あなたのアウトプット(成果)は何ですか?

ビジネスパーソンであれば、経験と比例して責任のある仕事を任されることが増えてきますよね。また、後輩や部下ができたり、チームを率いる機会も多くなるでしょう。

そんな立場になったとき、あなたに求められるのは、個人の実務能力ではなく「マネジメント力」です。マネジメント力を強化することで、あなたの後輩や部下のアウトプットを最大限に引き出すことができ、それが結果的にあなたの評価につながるのです。

今回紹介するのは、アウトプットを最大化するための基本原理を教えてくれる一冊。

HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント

インテルの元CEOアンドリュー・グローブ氏が、後進の経営者やマネージャーに向けて書いた本で、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏や、シリコンバレーの経営者たちに絶賛されています。原書は1984年に出版されており、当時すでに過熱するグローバル競争の中で、著者はアウトプットにこだわり、成長することの重要性を説いています。

読者のみなさんは、自分の職場を見まわしてそこにいる仲間がライバルだというかもしれないが、それは間違いである。職場の同僚などとは数においてはるかに上回る1000倍もの、1万倍もの、100万倍もの人々が、みなさんの会社と競合している組織で働いているのだ。だから、仕事をしたいならば、あるいは働きつづけたいならば、「個人としての競争優位性」を保つために、絶えず熱心に自分を磨かなければならないのである。

マネージャーとしてアウトプットを上げるならば、自身の生産性を高めることよりも、自分の組織(部下や後輩、チームなど)の生産性を高めたほうが効率的であり、その「テコ作用」が大事だとするアンドリューの考えを見てみましょう。

制約的ステップとオフセット

マネージャーとしてまず最初にすることは、自分のマネジメントする仕事全体の流れを把握し、作業全体の形を決める中心的なステップ(制約的ステップ)をはっきりと突き止めること。そして制約的ステップが最小化するように、他の作業の調整をすることが大切だとアンドリューは言っています。

半熟卵・トースト・コーヒーという朝食セットを例にあげ、最も時間のかかる半熟卵を茹でる時間を“制約的ステップ”として、卵が茹で上がる時間を逆算し、パンをトースターに入れ、そのパンの焼き上がりを逆算し、コーヒーをカップに注ぐことで、すべての作業を効率的に行うことができるとしています。

最も長い(あるいは最も困難な、最も要注意の、または最も費用のかかる)ステップから生産の流れを組み立てて、逆に考えてゆくという点である。3つのステップのすべてについて、いつ始まりいつ終わったかに注目すること。最も重要不可欠なステップ(卵をゆでるのに必要な時間)を中心に流れを計画し、他のステップはそれぞれ処理時間に応じてずらす。これを、生産関係の専門用語では“相殺(オフセット)(相互埋め合わせ・調整)”したという。

インディケーター(指標)の設定

また業務をうまく管理するには、良いインディケーター(指標)を設定することが必要だそう。経営であれば、「販売予測」「原材料在庫」「生産設備」「人員」「商品の質」などです。例えば、適切な「販売予測」をしておくことで、その日の売り上げが少なかったか多かったかを判断することができたり、忙しかった理由を「人員」が足りなかったからだと分析したりできますよね。

在庫管理の例でいえば、在庫量と品不足の発生率の両方の監視(モニター)が必要である。品不足の発生率が高くなれば、在庫が少なくなりすぎないように、手を打つのは明らかだろう。

このように管理するべきインディケーターを、あらかじめいくつか設定することによって、作業の進捗を様々な角度から管理することができ、且つ、問題が起きたときの対処方も見つけやすいのです。

目標管理(MBO)

組織のパフォーマンスを上げるために目標管理(MBO:management by objectives)システムは必要不可欠です。MBOとは、あらかじめマネージャーと部下との間で目標に関する合意を結び、それに対する達成度合いでの評価ですが、そのすり合わせが重要だとアンドリューは説いています。

人が仕事をしていない時、その理由は2つしかない。単にそれができないのか、やろうとしないのかいずれかである。(中略)マネージャーが部下の生産性を向上できる方法は2つしかない。それはモチベーション(動機付け)と訓練だ。

MBOについての例ではコロンブスを取り上げています。コロンブスは女王の「外国貿易収支を大幅に増加させる」という目標に対し、「東洋への新航路発見」という提案をしました。コロンブスは女王の目標と自分の目標をうまく動機付け、女王はコロンブスの目標に同意したのです。

このことをアンドリューは、「もし部下の目標が達成されれば、監督者の目標もまた達成されることになる」と述べています。コロンブスは厳密な意味でのMBOは失敗したかもしれないけれど、新大陸発見というスペインにとって計り知れない富をもたらしたことによって、女王の目標を達成させたのです。

タスク習熟度

「マネージャーの最も重要な責任は、部下から最高の業績を引き出すことである」とアンドリューは説いていますが、引き出し方のポイントは相手のタスク習熟度によるのだと言います。

相手のタスク習熟度が低い場合は、まず作業の仕組みから説明し、「何を」「いつ」「どうして」を細かく指示。次に習熟度が中程度である場合は、コミュニケーションを取りながら、お互いの判断を取り入れていく。最後に、高い習熟度の相手であれば、マネージャーの関与を最小限にとどめ、大まかにチェックをするだけでよいそうです。

***

最後に成果を上げるためのわかりやすい行動指針チェックリストがついています。「1ヶ月に一度は口実を見つけて旅に出るようにする」などもありますよ。これは達成できるといいですね。

さああなたも、あなたのアウトプット(成果)を最大化しましょう!

(参考)アンドリュー・S・グローブ著,小林薫訳(2017),『HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント』,日経BP社.

気づきの書評(53)【書評】『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』部下をやる気にさせる「ワクワクエンジン」を起動させる方法とは?

憧れのlifehackerで自著の書評を書いていただけました。

『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』(板越正彦著、かんき出版)は、部下が自分で考えて動き出すようになる「あること」について書かれた本なのだそうです。インテル在職中の2012年にビジネスコーチ社でコーチングの資格を取得し、ワークショップやエグゼクティブコーチングで成果を上げてきた著者が、そうした実績のなかから導き出した考え方。

その「あること」とは、部下がやる気になる「ワクワクエンジン」を探し、会社の目標とすり合わせることです。

ワクワクエンジンとは、何かワクワクしたときにかかる心のエンジンです。やる気やモチベーションの源であり、このエンジンがかかったときに人は真の力を発揮します。

私たちは、つい、会社のノルマや上司の期待を部下に押し付けてしまいがちです。

それでは部下は自分で動き出さないし、常に管理・監視を続けなくてはなりません。モチベーションも上がらないし、優秀な人材を採用しても急に辞めてしまうでしょう。

その原因は、ワクワクエンジンがまだかかっていないからです。

(「序章 部下が自分で考えて動き出すたった1つの『エンジン』がある」より)

いうまでもなく、著者の造語であるワクワクエンジンとは、なにかワクワクしたときにかかる「心のエンジン」のこと。やる気やモチベーションの源であり、そのエンジンがかかったときに人は、真の力を発揮するというのです。

ちなみにワクワクエンジンをかけるには、「その人がどこにワクワクするか」という急所である「ワクワクポイント」を知る必要があるといいます。著者の場合は、部下がワクワクエンジンをかけられるようになるために、部下のワクワクポイント(価値観・こだわり)を聞くように心がけたそうです。

だとすれば、部下に達成してほしい目標を、うまく部下のワクワクエンジンとつなげて示せば、部下は自分で考えて動き出し、目標に向かって進んでくれるはず。事実、著者自身も、「上司の役目は部下のワクワクエンジンを探し、うまく始動させること」だと気付いてから、すべてがうまく回りはじめたのだといいます。

そして、そのような状況を実現するために重要な意味を持つのが、上司からの「ひと言」だと著者は主張します。

上司にはカリスマ的なリーダーシップも、部下への影響力も必要ありません。たった一言で部下の気持ちに寄り添い、ワクワクエンジンをかけるだけでいいのです。

目の前の業務で手一杯になり、部下の指導までなかなか手が回らない皆さんこそ、これから紹介する「質問&リスニング」を実践してみてください。

きっと、部下は自分で考えて動きだすようになり、上司のあなたは管理も監視もしなくてよくなることでしょう。

(「序章 部下が自分で考えて動き出すたった1つの『エンジン』がある」より)

そこで本書では、入社3年目の田中くんという20代営業マン(法人営業)のケースを用い、「ひと言」のかけ方を紹介しているわけです。田中くんは、与えられた仕事はきっちりこなすし、上司の指示もきちんと聞く、どこの職場にもいるような真面目なタイプ。しかし、誰とでも合わせられる器用さがある一方、深い関係を築くのは苦手だといいます。そんな彼のワクワクエンジンをどうかけたらいいのか、第1章「部下のやる気のスイッチを入れる6つのステップ」を見てみましょう。

まずは、部下との距離感を縮める

部下との信頼関係が築けていないうちに、「ワクワクポイントはどこか?」などと真顔で聞いたとしても、部下からはぼんやりとした答えしか返ってこないはず。そこで無理に追求せず、「気楽に答えられるひと言」で、まず部下との距離を縮めることが大切。そのスタートラインとして紹介されているのが、「心を開いてリラックスさせるひと言」をかけること。

上司「最近、一番楽しかったことは何かな?」

田中くん「最近ですか? 大学時代の友だちの結婚式の二次会で盛り上がったことかなあ」

上司「それはいいね。何が楽しかったの?(1)」

田中くん「新郎と一緒に、ひそかに三代目J Soul Brothersのダンスの練習をみんなでしていて、余興でやったんです。新郎はダンスが下手で、みんなと動きがずれていたから、会場は爆笑でしたね。新婦にもすごく喜ばれて、あんなに楽しかった二次会は初めてです」

上司「それは盛り上がっただろうね。どれぐらい練習したの?(2)」

田中くん「1カ月前から、土日にみんなで集まって振りを覚えて、練習をしたんです。みんなダンスはしたことなかったから、覚えるまで大変でした」

上司「1カ月も練習するなんてすごいね。いい仲間だね」

(34ページより)

この会話には、2つのポイントがあるそうです。ひとつひとつを見てみましょう。

最近楽しかったことやうれしかったことを聞く

喜怒哀楽につながる質問は相手も答えやすく、心を開きやすくなるといいます。特に楽しかったことやうれしかったことを具体的に思い出してもらうと、それだけで部下の内部にワクワクする気持ちが蘇ってくるのだとか。理想は、「その楽しい気持ちを仕事で再現するにはどうすればいいのか」というところに話を持っていくこと。

しかし質問&リスニングに慣れないうちは、無理やり仕事の話に結びつけていると思われてしまう可能性も。それでは部下もワクワクできないので、楽しい体験を思い出してもらうだけで十分だといいます。

自分が知らないことでも興味を持って聞く

部下が自分の知らないことを話題にしたり、自分にとって興味のない分野について話したとしても、「なにそれ?」というように無関心にならないことが大切。上記の例であれば、「三代目J Soul Brothersって、どんなダンスをしているの?」など、わからないことを聞いてもかまわないそうです。話に興味があるということが伝われば、より熱心に話してくれるわけです。

このように、他愛ない会話から、田中くんのワクワクポイントにつながる情報がかなり拾えるということ。たとえば「みんな」という言葉を繰り返していることからは、「人と協力してなにかをするのが好きなのだろう」「人に喜んでもらえるとやりがいを感じるのだろう」などと推測できるわけです。(34ページより)

さて、著者が次に取り上げている「価値観やポリシーを知るためのひと言」も、記憶にとどめておきたいポイントです。

上司「田中くんはなんのために仕事をするのかな?」

田中くん「うーん、僕はプライベートを充実させるためにお金が必要だから働いている、という感じです」

上司「そうなんだ。仕事は仕事で割り切っているんだね」

田中くん「ぶっちゃけ、あんまり楽しくないですから」

上司「いまの仕事は楽しめないんだね。なかでも、やりたくないことはなんだろう?(1)」

田中くん「それはやっぱり、ノルマ達成です。ノルマに常に追われてる感があると、ストレスがハンパないっていうか。ノルマがあると、クライアントに強引に勧めないといけないから、相手に悪いなっていう気分になるんです」

上司「それはもしかして、ノルマ自体がきついというより、クライアントに不誠実なことをしなくてはならないことに対して、良心が傷んでいるのかな?(2)」

田中くん「そうなんです。それで契約が取れても、モヤモヤした気分になっちゃって」

上司「良心が痛まないでノルマを達成する方法を考えられるといいね(3)」

 

やりたくないことの裏側のポリシーを探る

「なんのために仕事をするの?」と聞くよりも、部下の嫌いなこと、苦手なことを聞き出すほうが有効。そして行動してもらうヒントを探すには、「なぜ、それをやりたくないのか」というような質問を投げかけていくと、やりたくないことの裏側に部下のポリシーや価値観が見えてくるというわけです。

説教は厳禁

bottom of page