気づきの書評のまとめをサマリーしています

 

気づきの書評(1) 「0秒思考」赤羽雄二

私は自己啓発書オタクで、竹村健一から始まって、大前研一、堀紘一などのコンサルや、稲盛さんなどの人間学など、日経アソシエ、プレジデント、BIG tomorrrowなどの雑誌も含めて、

サラリーマン生活30年で千冊以上の自己啓発書を読んでいます。その中で、私の 今年のベストは「0秒思考」赤羽雄二さんです。これまでも、ノートや電子手帳、エクセル、ワードなどでメモしてきましたが、A4用紙の裏に横書きをVコーンペンで考えずに、書いていくのが、1番簡単で1年間続いています。

 

•1ページ1分以内プラス15秒、毎日10ページ

•1ページ4-6行、各行20-30字

•6行以上必要なときは、サブポイントにする

•自分で読める字でかく

•文章が身近すぎると、具体性にかける

•何も吟味せず感じたまま、きづいたまま書く


マッキンゼーで14年間勤められた筆者は、本書の中で「メモ書き」の効能について説明しています。モヤモヤ感の堂々巡りから、課題を明文化していくことで、客観的に整理できます。非常にシンプルですが、効果的で、コーチングの進捗や問題点をまとめさせるのに適しています。部下との、ポジションからくる理解度・危機感のギャップや、ゴールへのステップなど、コーチングツールとして非常に有効です

 

気づきの書評(2) 「なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践」

同僚から紹介されたのですが、本書では、以下の4つの要素により成り立つ「免疫マップ」という思考地図が紹介され、これを用いた自己変革・組織変革のアプローチが解説されています。・「1.改善目標」   (例:他の人を深く理解しようとする姿勢を身につける)・「2.阻害行動」   (例:いったん方針を決めると、他の人の意見には耳を貸さない)・「3.裏の目標」 (例:自分がヒーローになる)
・「4.強烈な固定観念」(例:自分がヒーローにならないと深い満足感を味わえない)

「1.改善目標」を達成するために、私達はつい「2.阻害行動」を改めようとするが、「2.阻害行動」は「3.裏の目標」の達成のためにきわめて有効な行動であるため、うまくいくことはない。また、「3.裏の目標」のさらに深いところには、「4.強烈な固定観念」が存在する。私達が直面する多くの課題は、この全体像を把握し、必要に応じて自分を変えることでしか、解決はできないと著者は説きます。コーチングしてもなおらない原因について、その理由を説明しているところがおもしろいです。気づいても、トラウマのせいで治せない原因がわかりました

 

気づきの書評(3) 「アドラーの心理学」

「ほめるな」、「叱るな」、「教えるな」という3つの柱を原則にしているアドラーに学ぶ部下育成の心理学を読みました。これもまた責任を相手に任せるまで待つという意味では、コーチングのひとつの形です。そこまで辛抱するところが1番難しいですが。つまり、本人が自発的に自分で改善しようと思い、行動におこせることを妨げる行為につながる場合は、褒めても、叱っても、教えても効果がないということです。一見逆説的ですが、やらされ感や賞罰で人は動かせないという、待ちの教育を説明している意味でおもしろいです。

 

気づきの書評(4) 「ハーバードの自分を知る技術」

ハーバードと書いてあるので、大学の先生の心理相談かと思ったが、中身はゴールドマンサックス22年の経験をもとにしたビジネスマンや若者の成長のための気づきケース集でした。どれもが、多彩で、さまざまなケースにおいてビジネスマンがとるべき行動について理由と結果をもとにかかれています。すべてに具体的に彼がアドバイスしたり試した方法も。本当の題の、あなたの潜在能力をひきだすための道筋の方が100倍よいかも。「リーダーシップとは答えをしっていることではなく、問いかけることだ。」ドラーッカーに似ているが、ビジネスで成果を出す人は共通するのかも。信頼関係を築くための自己開示、コーチングの必要性も説いています。

 

気づきの書評(5) 「チーム・ブライアン」羽生君とコーチング

羽生君のコーチである、ブライアンオーサーは、自分も銀メダルを2回とった選手でありながら、その経験を押し付けず、選手ごとに自信を与えるやり方で、成果を出しています。コーチはたとえクライアントよりもよい成績をもっていても、押し付けてはいけないのです。冒頭で、重要なのは、羽生にあった技術とゴールを決めること、誰でも異なるクセがあるので、それを見極めることであると述べています。書籍の中でも

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 「結弦もヨナも、私のところへ来る前から的確な指導を受けていた。だからこそ国際レベルに成長した。過去の指導を否定したり、クセを直そうとしてはいけません。選手のすべてを受け入れ、こちらが合わせるのです」コーチ自身の理論に合わせて選手の技術を修正するのが一般的だが、オーサーは逆なのだ。
「結弦と2年間やってきたことは、結弦の性格や練習のタイプを知り、彼が求めているモノを与えることです。彼の場合は自分で考えながら練習したいタイプですから、むやみに口出しすることは控えました。私はトリプルアクセルが得意でしたが、私と同じフォームで跳べと言ったことは一度もありません」

 2人の練習では、羽生のジャンプをオーサーが撮影し、その都度一緒に映像を見る。「見た目はこうだ」「跳んだ感触はこうだ」と意見を出し合いながら、「成功するフォーム」を分析した。一方、同じチームのハビエル・フェルナンデス(スペイン)は、自分の身体感覚だけを重視する選手。彼の場合は撮影はせず、オーサーが「今のジャンプは左に傾いていた」「じゃあ次は右を意識します」など会話を繰り返し、身体に覚えさせていく。「人によって筋力や背丈が違うので、一般論が合うとは限らない。選手に与えるべきなのは、技術ではなく自信。快適に滑れる環境が大事なのです」

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言うのはわかりますが実行は難しい。野茂や、イチローが育つの邪魔しなかった近鉄の仰木監督にも同じことがいえますね。

 

気づきの書評(6) 『リーダーのための「人を見抜く」力』(野村克也)

人間観察で、チームとしての成果を出すお手本のような野村監督は、野球人としての実績を支えてきたものは、人間を観察し、洞察する力であると述べていいます。超一流、一流、超二流、二流の4タイプに応じて指導法を述べています。特に、「一流」は、実績はあるが、人間的な部分においては評価されないようなレベルの選手のこと。個人記録はあるが、チームのために奉仕するという気持ちが欠けているので、リーダーとして引っ張ることはできない。優秀で、できるビジネスマンにも多いです。「超二流」は、レギュラーをとれない。歩成長するために、自分にはなにが足りないのかを分析できない。「二流」は自分の実力に対して自分で壁を限定してしまう。「超二流」に対しては、気づかせる質問を投げかけ、自分で考えさせる。アドバイスや打ち方を押しつけるのではなく、選手が自発的に・能動的に考え納得することで、習慣づけさせる。辛抱強く待つ。「二流」は、貪欲さがないので、プロでは無理だそうです。そこがプロとの違いです。BCGやマッキンゼーなどのコンサルティング会社も、高いインセンティブで優秀な人だけを残し、毎年3割がやめるそうです。しかし、ビジネスや会社では、こういった、特に若い自信のない子に、自信をつけさせなければなりません。「一流」で、成績は残すものの、組織としての成果を出すために、チームの勝利が大事であると思わせる。尊敬されるような人材を目指す。ここも、一番エグゼクティブコーチングが有効なところです。非常に勝気で、成果をあげて、出世してきたリーダーに、CEOや取締役になるには、もう一段高い観点から、自分の部門の利益だけではなく、会社全体のためにどうあるかを考えさせ、派閥抗争や、内輪もめを自ら解決して、ビジョンをひっぱてゆくリーダーへと育てるのです。

 

気づきの書評(7) 「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」

読んでみて初めて吉田所長の、分析力、行動力、統率力がわかる。著者門田氏は、吉田所長とその部下たちがいなければ、関東一帯がチェルノブイリのようになってにいたと解説している。海水を使って冷やす、ベントできるか考える。まるで、アポロ13のように極限状態の中で、可能性にかけるリーダーシップがわかります。特に、吉田所長のために死ねると思ったと、戦争状態な中で、「大きな」上司と、命がけの仕事ができたることを、部下が、幸せ、本望だと考える。まさに土壇場での究極のリーダーシップと人間模様を実名で語っています。

 

気づきの書評(8) 「全員経営」

野中郁次郎先生の理論である、経験値、暗黙知をどう共有して形式知にしていくのかを、具体的にJALやMUJIの具体例をかかげながら、説明しています。特に、全員経営でありながら、自律的な動きを求めるには、暗黙知・経験値を共有し、全員が会社のフィロソフィを理解して、共感していくための仕組みと目標が不可欠であると述べています。また、釜石の奇跡である学校の防災教育が、自立的に成功した例としてあげられています。衆知を集めることは実行して続けていくことが非常に難しく、現在のダイナミックで速い市場では、マニュアルを作ってもすぐ陳腐化しています。会社の暗黙知のNAVERまとめでもあればいいのですが。

 

気づきの書評(9) 自己啓発書を千冊読んでわかったこと。1

自己啓発書を読むのが好きになり、読むと自分が成長できるような気がして、約30年間千冊ぐらいは呼んだと思います。最初は、竹村健一の、好きなようにやりながら気にしないやりかたに共感し、竹内均の「私の知的鍛練法」などにより、知的生産法を受験に応用し、社会人になってからは、大前研一の「戦略参謀」にはまりました。その後、いろいろなコンサル系や、生き方系の啓発書など、ほとんどなんでも雑読し、自宅に残っている本をかぞえてみると。約800冊ぐらいあり、重複して刈ったいる作者のものは、約340冊ありました。結局、そのときにいろいろな理論を応用してためしてみましたが、①自分の好きなことをよく考えてやる。②気にしない。③コツコツやる。ということかなと思います。

 

気づきの書評(10)「絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ 」(見城 徹, 藤田 晋 )

「人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない」のタイトル替えですが、つい新しい本かと思い買ってしまいました。中身はほとんど忘れていたので、気づきは多かったです。藤田さんが、ビジョナリー・カンパニー3とゴルフ会員権を例に出して語っています。「成長を担う人材をあつめるよりも速く売上を増やした場合、停滞するだけではない。衰退していく。」ですが、スタートアップにもよく見受けられます。組織が成長のスピードについていかないのです。よい人材をあつめられませんし、いい人材のやめていきます。リーダーが気にしたときにはおそすぎる場合が多いです。

 

気づきの書評(11) 自己啓発書を千冊読んでわかったこと。2

約30年間千冊の自己啓発書のなかでも、かんがえてみると覚えていることはあまりありません。戦略書からは、その時期にあったニュースの見方や考え方・分析の仕方をまなびました。ビジネスや人生論からは人との対応の仕方、実例などを使っています。今感じているのは、千冊の本のなかでも、本質や原理原則は同じで、すべて共通しているということです。ただそのたびに記憶をあたらしくするために本を読んだり、雑誌をかったりして時間をつぶしているのです。

 

気づきの書評(12) 「優れたリーダーは、なぜ立ち止まるのか The Pause Principle」(ケヴィン・キャッシュマン)

コーンフェリーのパートナーでエグゼクティブコーチングを大企業のCEOやパートナーにおこなっている著者の考察です。リーダーは、突き進むのではなく、立ち止まって、自己認識と真摯さをふりかえることの重要性を語っています。リーダーはどうしてもやりすぎてしまうことで、バランスをくずしてしまうことがあります。立ち止まって、チームの声に耳を傾けることで、現場の声を成長につなげます。リーダーは他人の声よりも、自分の成功体験を過信する傾向があるからです。進むために、成長するために、他者を育むために立ち止まることの事例をいろいろな例で説明しています。

 

気づきの書評(13) 「リーダーの言葉が届かない10の理由」

リーダーのビジョンが届かない、納得できない、行動できない理由を具体的な例をもとに説明しています。実践させるためのカベとして、創る、語る、行うステージから、なぜ現場が動かないかを分析しています。コーチをする観点からも、社員はリーダーの「伝える文字」ではなく、「自分の言葉で語る覚悟と姿勢」をみている。理想のコーチングとは、「話をじっくり聞いて、鋭い指摘や質問をして、ともに考えながら、クライアントが感じている思いを適切な言葉に変える。クライアントがわからない時や、モヤモヤしているときは、必要なとらえ方や着眼点を教える。その結果、頭のなかと心がすっきりと整理されて、自分がやるべきことに気づき、納得して理解でき、実践する自信ができている。」など、わかりやすく解説して、非常に参考になります。

 

気づきの書評(14) 「幹部に言えない社長の悩み解決大全」

社長の譲れない思いや考えに会わない部下は、最終的にはやめさせなけれえばならない。部下の育成にはまず失敗させて、辛抱強く学ばせなければならない。この二つのように明解に答えています。社長自身が、裸になって悩みを公言し、苦言をしてくれる外部パートナーの必要性についても説明しています。社長の悩みの具体的な逆引き辞典です。

 

気づきの書評(15) 「小山昇の失敗は蜜の味 」

実際の自分の失敗とそれから学んだことを、社員も含めて実名でかたっています。小山昇氏の本の中でも。一番具体例が入っています。部下には、わざと枠の中で、新規事業の失敗をさせてひと周り成長させて度胸をつける仕組みや、奥さんからの言葉で、自信ややる気をおこさせる実話があります。始末書の数と出世のスピードが比例するなど、実際に失敗を仕組みで評価することができています。やめることから、始めるなども戦略としておもしろいし、「リーダーの言葉が届かない10の理由」と共通しています。

 

気づきの書評(16) 「上達の原則 」

上達するスポーツ選手の理由をを研究する東北大学教授が15年かけて見出した質の高い練習とやる気を無理なく持続させる“コツ”を、コーチングと共通するポイントをわかりやすく説明しています。特に、 部下の上達を手引きするところでは、1万時間をた達成するための、好きになってつづけさせる仕組みをまとめています。「教わると、その人がいないと不安になる。自分で納得したことなら自分でなおせる。自分を分析し、自分を知り、練習環境を自分でつくる。練習すると結果がついてくる仕組み。激しい環境では、目的と意味の理解が重要になる。常にものを考えさせると、だんだんわかるようになる。自己選択させる環境をつくる。小さな成功と心地よい体験を味あわせる。まわりがいるという関係性で一緒にやる仲間を見つける。具体的なシチュエーションを考える。上手い人は事実を理解して、修正が高い(ダルビッシュ)。解決しようとする前に外からどう見えるか考える。フロー・ゾーン(夢中になる)にはいる。命令するより問いかける。効果的に褒める。議論ができる雰囲気があるか。」などコーチングでの、目標設定と行動変革のための仕組みと共通しています。

 

気づきの書評(17) 自己啓発書を千冊読んでわかったこと。3

千冊読んで内容を理解して、なるほどと思っても、実際にそれをためしてみて継続しないと、自分の習慣に定着しないのだとわかりました。たくさん本を書いている人もいますが、現象や事例をのべていても、それをたばねる原理・原則は非常に少ないのです。歴史や古典を読むのがよいというのは、この部分に普遍の論理があり、人間や文化、キーワードが流行により変化しても、中身は共通しているからです。最近の自己啓発書ブームでも、どれだけそれを実行して試したかが重要です。

 

気づきの書評(18) 「Hard Things 」

シリコンバレーのVCのベン・ホロウィッツが、起業家のハード・シングスを説明する。一般の常識とちがう、逆接的な困難の例として、実際の本などでかたられているのとはちがうケースがすごく説得力があります。本当に難しいのは、目標を設定することではなく、目標を達成ないときに社員を解雇すること。本当に難しいのは、優秀な人々の採用ではなく、彼らが既得権に安住して、不当な要求をしたときにどう対処するか。本当に難しいのは、会社の組織をつくることではなく、その組織でコミュニケーションして、現場に納得させること。どれも今、中小企業やベンチャーが、なぜ研修やセミナーだけでは、まなんでもうまくいかないかにあてはまります。修羅場での実行力。「逃げない強い心」と、「常に学ぶ力」は、コーチングでも起業家に限らず、習慣にまで定着化させるのにリーダーには必要なのです。

 

気づきの書評(19) 「流転の海 」宮本輝

これは、自己啓発書ではないのですが、好きな小説で、宮本輝の自伝的小説で、現在7部まで出版されています。主人公の熊悟、商才と度胸を利用して、何度も成功するのですが、成功のあと傲慢になり、商売が雑になって、注意力が散漫になり、信頼していた人に大金をまかせ、何度もだまされたり、金を持ち逃げされたりしていまいます。自分でそれを納得するのが、第7部で、すでに3−4回だまされて、60歳を過ぎたころです。自己認識でも、自分の過激な言動が、徹底的に相手のプライドを知らぬうちに傷つけていることを知り反省します。彼がもし、コーチングを受けていたら変わっていたでしょうか。そういう例が、日本の古い時代の、男尊女卑の文化にはたくさんあります。

 

気づきの書評(20) 「シンプルに考える 」森川亮

社員のモチベーションをあげるために、いろいろな研修をおこなっている会社には納得できないでしょうが、まず採用の時点で、自分で、顧客の方向を向けない人は採用しないという前提を守りつづけられる会社の勢い。その結果、「ユーザーのニーズに応える」のことが一番の原理・原則にあり、そのスピードをおくらせるならば、会議、計画、ビジョン、情報共有、差別化、イノベーションはいらない。逆説的ですが、その結果、よい品質(シンプル)で競争にかった、LINEの成功をベースに語っています。コーチングがあまり必要ない、あるいは自分の決断を整理するために必要な、高度なケースです。

 

気づきの書評(21) 「成功する人の話し方 」ビル・マクゴーワン

英語名は、Pitch Perfectで、コミュニケーションコーチの筆者が、うまく伝えるためのプレゼンのノウハウを中止にして、人との対処の仕方にまで広げています。私も、クライアントのプレゼンをビデオにとって、話し方のスピード、声の大きさ、仕草、目線の動かし方、フォイルの構成・作り方など、などを自分で見てもらって、気付いてもらいますが、みんなすごくためになったと感想を伝えてくれます。メディアトレーニングは、伝える内容と同じぐらい、伝え方やその態度が重要であることを教えてくれます。

 

気づきの書評(22) 「グロースハック 予算ゼロでビジネスを急成長させるエンジン 」梅木 雄平

グロースハッカーという仕事は、データサイエンティストと並んで、シリコンバレーで最も人気のある仕事の一つと言われています。グロースハック(成長請負)とは、最近のWEB系の製品やサービスの開発用語です。改善のモニタリング速度と頻度を究極まであげることで、潜在顧客の開発やサイトを訪れるユーザーの増加、そしてダウンロードするトラフィックの最大化などを図ります。たとえば、アプリやページのデザイン、ユーザーの声、ことばの表現、ボタンの大きさ、レイアウト、などを毎秒単位で改善することで、最終的に100万人、1千万人、1億人へと、ユーザー獲得目標を最短で目指します。通常の製品は、完成品を作ってから、綿密なマーケティング計画を立てて、それを売るためのプロモーションをしていくのが普通なのですが、変化の激しいIT業界では、製品開発とマーケティングが同時におこなわれるようになってきています。その結果、広告費やマーケティング予算にあまりお金をかけずに、毎日のデザイン変更の工夫でユーザーを劇的に増やすことができます。

では、そのグロースハックのプロセスを学習・受験勉強にあてはめるとどうなるでしょう?

1.まず自分の成長率や、成長のゴール目標を決める。 例 偏差値や、科目別得点、志望校目標などを決定する。

2.次に測定基盤・KPI ( key performance indicator、重要評価指標))を作り、仮説検証する。

例 合格可能性の判定率を測定し、ギャップを調べ、科目選択のポートフォリオで最高点をとる対策を策定する。

3.あとはイテレーション(反復テストを何回もやりつづける) と A/Bテスト(どちらがよいかまよった時は、両方試してよい方を採用する。) 例 参考書・講座・いろんな人からのアドバイスを試してよい方を続ける。

4. 最後にシュリンク(縮小・成長の反対)ハックで、なにがうまく機能していないのかを解析して改善する。 例 まちがった問題の原因とボトルネックを分析し、同様の問題ができたときにできるようにする。

みたいな感じでしょうか。グロースハックで行う施策の9割は、最初は効果がでないそうです。すぐに結果がでなくても決してめげず、新たな施策を編み出し、PDCAサイクルをどんどん回していくことで、毎日少しの成長を積み重ねます。またグロースハックとはあきらめない気持ちであり、1日1%の成長が一年で、約40倍の成長に匹敵すると言われています。グロースハッカーが有名になったのは、前回のアメリカの大統領選です。ヒスパニック系などの裕福でない有権者がPCを持たず、スマホしかもっていない層であることを利用して、モバイルにターゲットしたグロースハックを行い、多額の献金と集客を成功させたそうです。

どうですか? グロースハックでは、成長スピードが増すようにトライアルし、改善できるように結果と行動を見直します。柔軟に、チェックリストでなにが失敗かを分析して、自分のスキルを成長させる機会を貪欲にさがしつづけることで、成長の加速度が増すのです。

あなたも人生のグロースハッカー(成長請負人)をめざしましょう!   

 

気づきの書評(23) 「なぜ昇進するのはいつもあなたではないのか 」ジェーン・ホラン

ショッキングな題ですが、筆者はエグゼクティブコーチです。自分とは、異なる原則や正義で動いている人への対処の仕方を学んでいないために、社内政治の中で自分が過小評価されると感る人について書いています。「組織内政治のポジティブな定義は組織の利益の為に提携関係を築くこと。」と、社内政治に前向きに取り組むことで得られる機会と能力開発について書いています。リーダーシップスキルの一つとして、組織で生き抜くための社内政治力、舞台裏のロビー活動としての、気乗りしないメンバーへの働きかけから、自己PR、変化への抵抗力など。究極の自己認識力は、話されていないことを聞き取る政治力と相まって、周囲から好意的評価をもらうために、成功に不可欠であると説いています。

 

気づきの書評(24) 「リーダーシップの本質 」掘 紘一

掘さんの本は、自分で買うのはは22冊目ですが、これまでのリーダーシップに関するすべての思いがまとまっています。とくに、リーダーに必要なのは、状況判断能力と意志決定力、インフォーマルリーダーシップをリーダーになる前から学ぶというのは、私も実感します。課長や部長にしてくれたら、こういう仕事ができるのにという人がいるのですが、そういったポジションを取る前から、インフォーマルリーダーとして周りから信頼を得られるような行動・態度をとるべきだというのです。そのほかにも、「明日を語れ」、「相容れない意見を認めろ」など、具体的で凝縮されたエキスがつまっています。

 

気づきの書評(25) 「部下の行動が1ヶ月で変わる! 」石田淳

石田淳さんの本は、6冊持っていますが、行動とプロセスの積み重ねを評価してあげることで、部下を成長させる具体例をたくさんあげています。頑張れ、とか、一生懸命やれではなく、顧客には2回電話するなど「誤解しようのないタスク」まで落とすことで、指示を理解して、行動につなげるようにすることが大事であると説明しています。誤解する余地があリすぎるために、指示やコミュニケーションがうまくいかない例が多いので、部下をもつリーダーには見方を変えるための良書です。

 

気づきの書評(26) 「業界未経験で、初めて企業再建しました 」笹尾佳子

企業再建のための風土改革をわかりやすい実例で語っています。リクルートから、東電系列の介護会社の経営再建へに、20億円の赤字を2年で黒字化した風土改革です。売り上げや利益を見える化し、目標、コミュニケーション、モチベーションを、徹底的にやらせる。そのためのいろいろな施策には、まずやる気のある人を選んで、8分の1の人をまず引っ張らせるなど、毎日やるべき KPIと戦略とのすり合わせで説明します。読むと、この通りにやると誰でもできる気貸します。

 

気づきの書評(27) 「文系でも知っておきたいプログラミングとプログラマーのこと 」清水亮

プログラマーからみた、話す価値のある人、話しかけるのによいタイミング、イラッとすることなどを説明しています。特に話しかけるタイミングは、マウスを使って椅子の背もたれにもたているとき(webをみている)。話しかけるべきでないときは、前のめりにキーボードを鬼スピードでたたいているとき。環境、時間、なぜ大きいディスプレーが2枚必要なのか、褒め方なども、プログラマーの観点からわかりやすく話しています。

 

気づきの書評(28) 「ソフトバンク孫社長に学んだ夢を「10倍速」で実現する法」 」三木雄信

19歳の時に立てた、「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を1千億円貯め、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、60代で事業を後継者に引き継ぐ。」という人生50年計画の実現に向けて、走り続けている孫社長の参謀を勤めた、三木雄信さんの解説本です。夢と現状のギャップを埋めるための非常に具体的な例が豊富で、わかりやすいです。では、特徴的な3つの戦略をみてみましょう。

1.わらしべ戦略

一見すると価値がなさそうなできるものから始めて、最終的に自分の目標に届くような大きなことができるようにします。通信事業者になるために、ADSLから始める話や、カリスマ講師になるために、自分でできそうなセミナーから始める実例が書かれています。受験や就職などの大きな目標の前に、回り道のようにみえても、まずバイトやインターン、夏期講座での宿題完成など、できることから自信をつけていく方法です。

2.ナンバーワン戦略

これは自分の得意技や、自分にしかできないことを細分化して掛け算していくことで、そのニッチな分野ではナンバーワンをみずから名乗ります。そうすると、自分のタグを検索されやすくなり、実績や経験が積めます。自分で勝手に領域を区切ることで、その中での1番になりやすくなります。アロマテロピーなど、競争相手が多いところを狙わず、チリ料理講座のカルチャースクールなど、目新しいブランドを作って押し出して、みずからナンバーワンを作る例を語ります。面接などで、自分の経験のなかの、の何のかけ算が使えるか、考えるのもおもしろいですね。

3.くじ箱戦略

くじ箱戦略は、あたりがでそうな箱を見つけて、くじを何回も引けるよう負担を減らし、1回ダメでも諦めず、何回もくじを引き続けることです。成長するIT業界や、通信業界に絞って、いい事業機会にリソースを投資し続けることで、Yahooや、アリババ、iPhoneなどを手にすることができたのです。当たりの多いくじ箱を、理想の結婚相手や彼女がいそうな場所にいくなどの例を出して説明しています。合格率の高い塾や通信教育をやる。評判のいい本を読み続けて、自分に合うものを探すなどにもつかえますね。

この3つの戦略が決まれば、あとは目標を決めて、数値化して、GAPを埋めるための頻度をあげます。

4.問題解決は常に数値化する

問題を数値に置き換えれば、現状を正しく把握し、どこに問題の根本的な要因があるかのかを明確にすることができる。「一万個の経営要素を出せ」「千パターンの事業計画を考えろ」こうした指示を出せば、その問題に関するあらゆる要素を洗い出し、それぞれの要素を掛け合わせてかんがえなくてはならない。

(引用元:「ソフトバンク孫社長に学んだ夢を「10倍速」で実現する法」)

いかがですか?

 

ソフトバンクでは、あらゆる数字を表とグラフにして、「千本ノック」と呼び、チームごとの目標見直しを議論しているらしいです。あなたの目標に対して、千本ノックの指標はん何ですか?そして、どこから始めて(わらしべ戦略)、せまいところで1番になり(ナンバーワン戦略)、やりつづけますか(くじ箱戦略)?まずそこを考えてみましょう。

 

気づきの書評(29)「エディ・ジョーンズとの対話「コーチングとは信じること」生島 淳

2012年4月にエディー・ジョーンズ氏が日本代表ラグビー(ヘッド・コーチ)に就任してから3年、W杯ではジャパンをいかに勝利へと導くのか。「コーチングでいちばん重要なのは、選手に自信を持たせることだ」と語っています。すごいですね。ラグビーの日本代表のワールドカップ勝利。しかし、コーチや選手はすごい自信を持って、プレーしていて、それだけの練習をしていたからと話しています。わずか4年間で、それほどの自信を選手に与えたエディコーチは何を、指導したのでしょう。まず彼は、「コーチングはアートである」と述べています。

 

(引用元:「エディ・ジョーンズとの対話「コーチングとは信じること」)

 選手一人ひとりにとって、なにが必要なのか、それを見極めるのがコーチングにおける「アート」なんです。選手個々の能力を引き出すためには、どのようなコミュニケーションをとるべきなのか。それこそ数かぎりないケースが考えられるわけです。その見極めにこそ「アート」が生まれる余地があります。

実際にグラウンドでは、下位10%の選手たちを中位にひきあげるのに、時間を割き、それを半分の5%に減らすことを目標にしているそうです。なぜなら上位の選手は自分たちでやるから。

1.規律と楽しさは矛盾しない

リクリエーションは、遊ぶことではなく、「再創造」の意味。それは、人間がクリエィティブに生きていくためになるために必要な活動。日本のスポーツは、あまりに精神的な決まり、軍隊的な均一性に重視するあまり、自由な行動を抑えていると説明します。楽しくなければハードワークはできない。勉強にも同じことが言えますね

2.コーチは優秀なセールスマンである

 

戦略を立てて、選手に実践させるのはコーチの仕事だが、選手たちに理解してもらうには、「セールスマンの素質」が必要だと説きます。特に理解力の乏しい選手には、説得するのではなく、売りこまないといけないらしいです。説得する、や「いう通りにやれ」ではなく、魅力的プランとして売り込まないといけないということですね。昔の運動部では、監督・コーチはスパルタで、絶対でしたがすごい違いです。

3.勝つためのポイントに数字を使いこなす。

また、日本人は身体が小さいので、パスの回数を増やし、スペースを作ることが大事、そのために、どこにボールがあってもスペースを作り、所有率を高める方法を目指させたそうです。スペインのサッカーのように。ボールの保持時間を増やし、「パス11に対してキック1の割合」がベストだと分析して徹底させました。その結果、 日本は、1試合で最大225回のパスを回し、2位の南アフリカ代表は90回なったそうです。今回もパスの精度がすばらしかったですね。

そのほかにも

4.異分子を投入して組織に刺激を与える。

同じようなタイプの人間ばかり集まると、時間が経つにつれて緊張感が失われてしまいかねない。スクラム、眼の視野の拡大、メディカルなど専門分野のナンバーワンを集めました。また、「コーチは知識が全てではない。最後はキャラクター」など、これまでの日本のスポーツ・リーダーシップのトップダウン理論と全く反対のこともおもしろいですね。

いかがですか?

強みに絞って、効果的な練習させることで、自信を植え付け、正規の番狂わせを起こさせました。しかし、その裏には、緻密なサイエンス(数値化)とアート(個別のプレーヤーにベストの指導法)のすばらしいバランスがありました。みなさんも、非常に高い目標に対して、エディだったらどうするか、まずそこを考えてみませんか?

 

気づきの書評(30)「ザ・ステーク」ヘンリー・キムジーハウス&デビット・スキビンズ

知り合いがこのこーアクティブリーダーシッププログラムに参加しているというのを聞いて、興味があったので、そのアメリカでの内容を翻訳した本を読んでみました。参加者は4つのセッション(リトリート)をグループで参加しながら、極限に向かう激しい課題の中で、自分を見つめ直し、グループで経験を共有しリーダーシップを鍛えていきます。気づきと承認を強化し、客観的に周りの雰囲気を感じることから、自分のミッションと行動をしっかりさせます。私もコーチング研修に参加しているので、バリューはコーチングのスキルの上達よりも、業種が異なる人たちとの仲間体験であるこてゃ理解できます。それが、高額であればあるほど、内容も濃くなりますし、グループでの結びつきも強くなります。140万円ほどかかりますが。

 

気づきの書評(31)「インテル」マイケルマローン

インテル内幕本は色々あるのですが、ロバート・ノイス(ビジョン)、ゴードン・ムーア(技術)、アンディー・グローヴ(規律と実行)の3人の役割にフォーカスして、トリニティ(三位一体)のたとえで、説明しています。自分が入社したのは、好調になって大きくなった後だったので、CPUの前の危機や、3社の性格の違い、友情、反目、苦悩などが非常におもしろかったです。「クラッシュ作戦」、「Copy exactly」、「Constructive confrontation(創造的対立)」、「成果こそ全て」、「並行開発」、「最後にコモディティ化するものが勝利する」、「勝因は学習能力」など今思い出しても納得出来る成功要因です。

 

気づきの書評(32)「半径5mの野望」はあちゅう

はあちゅうさん『半径5メートルの野望』に学ぶ、炎上に負けない方法

― 2015年12月17日

日頃は過激な発言も多いはあちゅうさんですが、本書では「物書きになる」という自分の目標に向かって真摯に努力する姿勢を真面目に書いています。批判的なコメントをする人への対処法や、自分が付き合う人のレベルを上げる方法など、自分の「半径5m内」でできることをわかりやすく説明しています。本書をテーマに、ネット時代を生きるコツをご紹介します。

 

自分の意見を言うことによって批判や炎上を恐れるあまり、近頃では自分の意見を明確にしない若者が増えています。はあちゅうさんは、批判されてもネタにすることで、逆にエネルギーに変えています。また、「元気は人にあげると出てくる」をポリシーに日々自分のレベルを上げていっているそう。彼女の勧める「野望を達成してゆく方法」をご紹介します。

 

寄生虫方式

 

まず成功している人のそばにいて、その人の行動を徹底的に観察して真似をします。例えば「時間の節約のために移動にはタクシーを使う」ことに価値を感じたら、その行動をそのまま取り入れるのです。ロールモデルの真似をして具体的にイメージをすることで、目標に近づけます。

 

中傷に立ち向かう

 

小物からもらう悪口という燃料を毎日くべているので、私を動かす原動力になっている。ムカついても5秒で終わらせる。それ以上心に残ったら、燃料にする。嫌なことは、ネタにしないと「嫌な思いし損」であり、その結果、心は折れずに強くなる。

(引用元:「「半径5mの野望」はあちゅう」)

普通は凹んでしまうネット上などの中傷を、あえて自分自身のエネルギーにしてしまうことを勧めています。

ネットで中傷された場合、謝罪や釈明などを行うことは、炎上を期待している人々の恰好の餌食、燃料となります。堂々と自信を持ってコミュニケーションし、悪いと思ったらさっさと謝り、たいした話でなさそうならスルーしつつ、腹を括ること。これが炎上社会を生きる私達の身につけるべきスキルです。

 

人生を作るのは行動だけ

行動力は才能ではなく、「感情」と「作業」の二つから成り立っている、と考えます。

我々は未知なことに対しては不安が生まれるので、そこを認識した上でまず飛び込んでみましょう。不安と成長はセットであり、乗り越えることで成長するのです。また、夢を叶えやすい体質にするには、「欲望に素直になり、小さいことに我慢をしない」が重要であると説いています。

 

チャンスは半径5m以内にいくらでもある

 

チャンスがくることを願っているだけの人の夢は、いつまでたっても何もかないません。行動も起こさずにただチャンスを待っているのは、買ってもいない宝くじが当たるのを待っていることと同じ。

「できそうだな」ではなくて「どうすればできるか」を考える。それが自分の日常の半径5mの景色を変えることにつながります。

(引用元:「「半径5mの野望」はあちゅう」)

チャンスをつかむには、目の前のことをつかむ努力が必要なのです。

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いかがですか?タイトルこそ野望を強調していますが、炎上を恐れずポジティブに生きていくための秘訣がこの本にはつまっています。

参考

「半径5mの野望」はあちゅう (著) 講談社

ネット炎上は、すぐ忘れられるので恐れる必要はない 難しい「スルーor謝罪」の見極め

 

気づきの書評(33)「プロボカティブシンキング(面白がる思考)」 山梨広一

Study Hackerに投稿したので引用します。

現代を生き抜くために必要な「面白がる力」を身につける方法

— 2015年12月16日

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有名な高杉晋作の辞世の句で、「おもしろき こともなき世を おもしろく」というのがあります。

皆さんには「面白がる力」はありますか? 解答はないし、前提そのものが変わる現代では、まず主体的に面白がるマインドセットと、不可能や前例に諦めない鈍感力が必要です。マッキンゼーOBで今は、イオンの専務である山梨広一氏は、「面白がる思考」の大切さを説いています。

今回は、マニュアル通りの回答を覚えるだけでは対応できない現代で、未知の問題を乗り越えるために大切な、「面白がる力」について説明します。

 

 

 

プロボカティブ・シンキング

 

 

山梨氏は新しい問題に遭遇したとき、まず自分が率先して「面白がる人」になることが必要だと説きます。このような思考を「プロボカティブ・シンキング」と言いますが、山梨氏はこのように説明しています。

 

最初に「できる」と思わなければ何事も絶対に不可能だ。ろくに検証もせずにできないと決めてかかることは、思考停止と同義語だ。新しいものはできると思う「プロボカティブ」な発想からスタートするのだ。

引用 「「プロボカティブ・シンキング(面白がる思考)」山梨広一著 東洋経済

 

山梨氏によると、不足の事態が起こった時に、コンサルタントの中にも面白がってアドレナリンがでる人と出ない人に分かれるそうです。本人が面白がれるかどうかでその後の対処法も異なってくるでしょう。この「面白がる力」は生まれ持った能力と思われがちですが、そんなことはありません。これは磨くことができるのです。

 

 

 

面白がる力を身につける方法

 

 

プロヴォカティブ(provocative)は「可能性を信じ、可能性を広げる」という意味で、様々なトレーニングにより誰でも必ずできるようになるそうです。それではこの思考はどうしたら身につけられるのでしょうか。

 

まず無理だと思われる目標を設定して、情報を多面的に捉えながら目標達成の方策をいくつも考え出してみましょう。その課題の本質や、それを解釈するための方策の方向性などについて、何通りもの解釈を試みるのです。

世の中や業界のセオリー通りでは終わらせず、いまはできないことでも「足りない能力は埋めていけばいい」という発想でプランを練っていきます。これを繰り返すことで視野が広がり、実際に可能性も広がっていきます。

 

 

 

面白がる力の影響

 

 

面白がる力は、自分の知らないことを学び、「まずはやってみよう」という行動の原動力になります。さらに勉強意欲や好奇心を生み、今まで漫然と見過ごしていた中からも何かを得ようとアンテナを張るようになります。

一方面白がる力がなくなると、目の前の課題以外に興味がなくなり、なにごとも決まりきったルーティーンでやりすごすようになります。面白がる力に必要なのは創造力と頭の柔らかさです。固定観念をなくしたり、様々な角度から物事を見る訓練をすれば頭も柔らかくなりますよね。

 

面白がる力に必要なマインドセット

 

では、面白がる力を身につけるにはどうすれば良いのでしょう。まずは、未知なことに遭遇しても「無理だ」と思って諦めてしまわないマインドセットがまず必要です。

 

「これは無理だ。なぜなら○○だから」という発想と、「たぶん、できるはずだ。でもそのためには何と何をしなければいけない」という発想は、結果的に天と地ほどの違いがあります。最初に口をついて出てくるのが「無理だ」「難しい」「バカバカしい」が口癖のようになっている人は、もう最高に面白くない人だ。

引用 「「プロボカティブ・シンキング(面白がる思考)」山梨広一著 東洋経済

 

アイデアが出尽くしたかのように見える現代では、「できない、無理だ」と思っていることを可能にするところからしか、新しいものは生まれません。面白がれる人間、つまり成功する人になるには、まず最初に「できる」と言ってから、前提条件を因数分解し、理由や意味合いを多面的に考えていくことが大切です。

 

あの有名な実業家の稲盛和夫氏も、困難な事業に立ち向かうには、「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」すべきと説いています。

構想を練る段階では可能性を引き出せるように楽観的になり、計画を立てる段階ではリスクを想定し、細心の注意を払って厳密にプランを練る。そして実行する段階では、思い切って行動するのがよい、ということです。

 

新しいことを成し遂げられる人は、可能性を信じることが出来る人です。自ら信じることで生まれた光が見えているから、追い続けることができるのです。

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いかがですか? 新しいことにチャレンジする時、自分の幅を広げる時、「面白がれる力」が必要です。自分の身の回りのことからでも異なる体験や着眼点を増やして、「面白がる力」を身につけてください。

 

【参考資料】

「プロボカティブ・シンキング(面白がる思考)」山梨広一著 東洋経済

稲盛和夫氏語録

 

 

気づきの書評(34):『どうでもいいことで悩まない技術』柿木隆介

Study Hackerに投稿したので引用します。

普段思い悩んでいることの多くは、冷静になったり時間が経ってから考えてみると、それほど考える必要のないことだったりします。できることならあまり気にせず、必要なことだけ気にして生きたいですね。本書では、臨床医でもあった脳科学者の先生が、これまでの多くの事例から、脳や人体の仕組みに基づいて、「悩まないためにはどう行動すべきか」を解説しています。

悩まないために大切なのは、「気の持ちよう」といった精神論ではなく、脳を活かしきることでした。

人間の脳というのは、理由や理屈がわかると、「納得できる」「安心できる」「満足できる」という非常に冷静で知的な昨日を持っているのです。

(引用元:『どうでもいいことで悩まない技術』柿木隆介 )

そででは、脳を納得させるためには具体的にどうすれば良いのか見てみましょう。

 

前頭葉を働かせる

本能的な感情(不安や緊張、恐怖など)は、動物も持っている脳の機能「大脳辺縁系」の働きによる基本的なもの=本能です。

しかし本能をコントロールするための「前頭葉」の部分を利用することにより、小さな怒りなどはおさえることができるようになります。その前頭葉を動かすには、「ちょっと我慢する、3回深呼吸する、お水を飲む」など数秒の時間を取り、怒りなどから「意識を遠ざける」ような思考のクセをつけるアクションが効果的です。

 

いやな気持ちになったら、紙に書いて分析する

イヤな記憶をどうしても忘れられない時は、「何が起こったのか、自分の気持ちはどうだったか、相手はどう思ったか」などを第三者の視点で客観的に整理します。その際に、自分の手を使って文字や絵にして書いてみることで、前頭葉を含む大脳新皮質(理性的な脳)が働き、冷静になれます。

 

不安で仕方ないときは単純作業を始める

どうしても不安が沸き起こって押さえきれない時。そんな時におすすめの作戦は、「編みものする」「パズルを解く」「掃除をする」など、自分ができる単純作業を始めること。集中力が必要な作業を行うことで、不安から意識をそらすことができるのです。

安心できる言葉や記憶を繰り返し思い出す(アンカリング)などもいいですね。

 

悩まない習慣を作る

悩みが多い人は、悩むことそのものが習慣になってしまっている恐れもあります。悩むことから脱したい、周囲の批判や意見に惑わされない自分になりたいと思ったら、自分の意識の向け方を変えることを心がけてください。

小さな成功体験を積んだり仲間を作って一緒に動く、そして新しいことへチャレンジして試行錯誤するなどが意識を変えるのに効果的です。

 

ケンカは「謝るが勝ち」

他人との喧嘩も私たちにストレスを与える大きな要因の一つ。喧嘩の際に最も重要なのは、先に「謝る」ことです。脳には「共感する」という機能があるため、こちらが先に折れることで相手の脳が共感し、冷静さを取り戻すことができるからです。一見謝ることで負けるように感じるかもしれませんが、脳の仕組みを意識して意識的に変えていくことこそが、脳を鍛える訓練になるのです。

何より大事なのは、脳は日々の習慣によってクセが変わって行くということです。例えば、感情を揺さぶれるような出来事に対しても、落ち着くためのちょっとしたアクションを習慣化していくことによって耐性がついていきます。つまり訓練をすることで怒らない冷静さ、悩まないタフネスが身についていくということです。

(引用元:『どうでもいいことで悩まない技術』柿木隆介 )

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いかがですか? 悩みの原因そのものを取り除くのは難しいですが、「悩まなくなるための脳の習慣」を理解して脳に働きかけることで、悩む時間を少なくすることができます。悩むほどでもないことに無駄な時間を使わないために、今年あなたがやってみるべき行動と習慣は何ですか?

まずそこを考えてみましょう!

参考

『どうでもいいことで悩まない技術』柿木隆介 文響社

 

気づきの書評(35)『人を動かす』デール・カーネギー

Study Hackerに投稿したので引用します。

世界中の経営者が愛読する古典、カーネギーに学ぶリーダーシップ

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みなさん、デール・カーネギーをご存知ですか?『道は開ける』や『人を動かす』など有名な著書があるカーネギーは、古くからたくさんの経営者に読まれてきました。長く読み継がれていることが、方法の効果を証明しています。

カーネギーによると、経済的成功の15パーセントは専門的知識(スキル)から生み出されるが、残りの85パーセントは、相手の熱意を引き出す能力(人間力)によるそうです。

 「人を動かす秘訣は、自ら動き出したくなる気持ちを起こさせ、相手の欲しているものを与えることである。」「われわれは他人からの賞讃を強く望んでいる。そして、それと同じ強さで他人からの非難を恐れる。批判が呼びおこす怒りは、従業員や家族・友人の意欲をそぐだけで、批判の対象とした状態は少しも改善されない。」

(「人を動かす」 デ−ル・カーネギー著 創元社)

では、その基本的なやり方を見てみましょう。挿入されている基本原則には全て、インタビューや、歴史上の人物、経営者なのどのエピソードが具体的に示されており、「人間力とは何か」を深く考えさせてくれます。

人を動かす三原則

 上でも述べたように、カーネギーによれば単に注意したり命令するだけでは人は動きません。それではどのように対応すれば、気持よく相手を動かすことができるのでしょうか。

1.相手を理解する=相手を論理の動物ではなく、感情の動物である、と捉える。「どういう理由で相手がそんなことをするに至ったか」を考える

2.重要感を持たせる=人を動かす秘訣は、自ら動き出したくなる気持ちを起こさせ(動くことが必要であると実感させる)、相手の欲しているものを与えることである

3.人の立場に身を置く=他人の立場を理解し、自分の立場と同時に他人の立場からも物事を見る

人に好かれる六原則

いくら上司と言えども、命令や注意だけで人を動かすことができないのは分かりました。さらに一段進むためには、「部下からも同僚からも好かれる存在になる」ことが大切です。人に好かれる六原則は、仕事関係だけではなく、全ての人間関係の基本とも言えるでしょう。

1誠実な関心を寄せる、2笑顔を忘れない、3名前を覚える、4聞き手にまわる、5関心のありかを見ぬく、6心からほめる誠実な関心をよせる ・

人を説得する十二原則

今まで述べたようないくつかの法則だけでは人を動かすのは難しく、意見の相違があったり方向性を合わせるために、話し合いや意見の擦り合わせが必要な場面は必ず出てきます。その時には何を心がければ良いのでしょうか。

1議論をさける 2誤りを指摘しない 3誤りを認める 4おだやかに話す 5“イエス”と答えられる問題を選ぶ 6しゃべらせる 7思いつかせる 8相手の身になる 9同情心を持つ、10美しい心情に呼びかける 11演出を考える 12対抗意識を刺激する

周囲の上司を見回すと、この正反対が多いのではないでしょうか。だからこそ人望がある人は少ないとも言えますね。

人を変える九原則

 

 

最後に、意見や考えが違った場合に、相手を変えるための9つの原則です。再三述べてきたように、上司だからと命令したり批判しても人の心は動かず、むしろかたくなになってしまうことも。

1.まずほめる 2.遠回しに注意する 3.自分のあやまちを話す 4.注意をしない 5.相手の顔を立てる 6.わずかなことでもほめる 7.期待をかける 8.激励する 9.喜んで協力させる

 

人は誰でも他人より何らかの点で優れていると思っている。だから、相手の心を確実に手に入れる方法は、相手が相手なりの世界で重要な人物であることを認め、それをうまく相手に悟らせることである。

(「人を動かす」 デ−ル・カーネギー著 創元社)

 

***

ここに述べられているように「相手の立場に立ち、相手の言い分を聞くだけ」だと、八方美人になっている様で自分を見失いそうになるかもしれません。しかし、明らかに間違っていたからと言って、自分は正しいという優越感のために、相手を言い負かす事に何か意味があることでしょうか?

 

ゴールは相手を打ち負かして悦に入ることではなく、周囲が気持良く動くことによって結果的に自分にも利益をもたらすこと。自分を抑えて相手を尊重する行動を実行することが、周りに気持ちよく動いてもらうための第一歩です。あなたもいろいろ試しながら、自分の原則を作っていきましょう!

参考

Wikpedia|人を動かす

Wikpedia|デ−ル・カーネギー

「道は開ける」デ−ル・カーネギー著 創元社

「人を動かす」 デ−ル・カーネギー著 創元社

まんがでわかる D・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」 (まんがでわかるシリーズ) 宝島社

 

 

気づきの書評(36)【幸せになる勇気】 アドラー心理学ブームを巻き起こしたミリオンセラー「嫌われる勇気」の待望の続編

Study Hackerに寄稿しました。

人間関係を気にしすぎて言いたいことを言わないのに、後でグチばかり言う人はいませんか?

前作「嫌われる勇気」では、すべての悩みは人間関係からきており、自分と他人の課題を分離することで(嫌われるかはどうかを気にせず)、自分の信じる最善の道を選ぶことができると書かれていました。ソーシャルや会社・学校で、相手に嫌われないかを意識しすぎて、周りを気にする文化である日本人には、よく実感できた(ミリオンセラー)みたいですね。

 今回の「幸せになるための勇気」では、3年前に哲人からアドラー理論を学び教育現場で働いている青年が、その理論が現実の教育現場で通用しないと不満を持つことから、話ははじまります。

 自分の人生は、日々の行いは、すべて自分で決定するものだと教えること。そして決めるにあたって必要な材料ー例えば知識や経験ーがあれば、それを提供していくこと。それが教育者のあるべき姿なのです。

それではこれから、教育者となった青年への、哲人からの教えをご紹介していきます。

 

叱ることによって、生徒の問題行動をなおす事はできない。

 

「子供が悪いことをすると叱る」というのが当たり前になっていますが、これにより生徒の問題行動は改善しないと言います。

なぜなら、問題行動の5段階ー「称賛の要求(褒めて欲しい)」「注目喚起(目立つ)」「権力争い(力の誇示)」、「復讐(仕返し)」「無能の証明(期待しないでほしい)」ーはすべて、「所属感」(共同体のなかに地位を確保する)」、つまり自分がかけがえのない存在であり、ここにいてもいいということを証明したいという目的に根ざしているから。

つまり、認めて欲しいがために起こした問題行動を否定することは、むしろ逆効果なのです。

 

教育の目標とは自立支援である

 

教育とは、「相手が本当に自立(自己中心性からの脱却)して、社会と調和して暮らせるように支えることである」と説きます。

最近の親や教師は過干渉で、相手を自分の支配下でコントロールして安心することが目的になっています。このような過干渉は、依存や反発などの問題行動を生み出すだけで、大切なのは生徒自身の決断を尊重し、援助し、見守ること。

たとえその決断の結果が失敗に終わったにしても、子供は「自分の人生は自分で選べる」という大切な事実を学んでいくのです。

 

教師は生徒と、仕事だけではない、交友(信頼)の関係を持つべき

 

「信用」とは相手を条件付きで信じることであり、「信頼」とは信じるに当たって条件をつけないこと。仕事の関係は利害の条件が絡んだ信用であり、交友関係は、条件なしでその人自身を信じている『信頼』です。言い換えればそれは「ありのままのその人を尊重するという尊敬」でもあるのです。

人は、自分を無条件に信じてくれる人の言葉しか信じません。だからこそ教師は、利害が絡んだ仕事の関係から一歩進んだ「信頼関係」を生徒と結ぶべきなのです。

これはたとえ仕事の場である職場でも、「上司と部下の関係」に当てはまるかもしれませんね。

 

三角柱理論でこれからを考える

 

何か嫌なことが起きた時の精神状態を三角柱で考えてみます。

多くの人が、一面に「悪いのはあの人」、もう一面に「可哀想な私」を設定し、この二つの間だけで悩んでいます。ここで最後の一面に「これからどうするか」があると仮定しましょう。他人という「変えられないもの」に執着し、「私の正義」をぶつけ合うだけでなく、「変えられるもの」である「これからどうするか」を考えるべきなのです。

また幸せになるには、「自分から愛すること、関心を持つこと、幸せになろうとすること」がまず重要だとも説いています。

 自分を愛することができなければ、他者を愛することもできない。自分を信じられなければ他人を信じることもできない。自己中心的な人は、「自分のことが好き」だから自分ばかり見ているのではありません。ありのままの自分を受け入れることができず、絶え間無き不安にさらされているからこそ、自分にしか関心がないのです。

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いかがでしょうか? 自分自身を受け入れて自分の側から愛する勇気をもち、自分にできることを考えれば、「幸福」つまり“誰かの役に立っている”という貢献感を得ることができるそうです。

皆さんも新しい環境に挑戦し、幸せになる勇気を持ちましょう!

【参考資料】

「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」岸見 一郎 ダイヤモンド社

「幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII」岸見 一郎ダイヤモンド社

ダイヤモンド書籍オンライン|『幸せになる勇気』はコンパスである 岸見一郎/古賀史健 インタビュー【前編】

 

気づきの書評(37)「人生に迷ったら、同じ道を辿った先輩に聞こう! 選りすぐりの青春小説3選」

Study Hackerに寄稿しましたので引用します。

皆さん“自伝的小説”というジャンルをご存知ですか? 作家が自分の生い立ちとその時に関わった人を様々な思い出ととも書き連ね、悩みや葛藤を経験しながら成長する過程を描く物語です。その中には、作者の今を形作る出会いや、別れ、印象的な出来事が、モチーフともに効果的に描かれています。育った時代が違うとはいえ、青年期に抱える悩みにはそう大きく違いはないはずです。

今回はおすすめの自伝的小説を3本を紹介しますので、春休みにじっくり読んでみてはいかがでしょうか。

 

井上靖『あすなろ物語』『しろばんば』『夏草冬濤』『北の海』

 

井上靖自身がモデルの主人公洪作の、幼少から青年になるまでの自伝的な作品です。三部作として

・『しろばんば』は静岡県伊豆湯ヶ島で過ごした幼少時代

・『夏草冬涛』は旧制沼津中学校の生徒だった頃

・『北の海』は沼津中学卒業後の沼津での浪人生活の1年近くが中心。

旧制第四高等学校で柔道に明け暮れる(本人は柔道4段で北陸代表)様子を生き生きと描かれている

・『あすなろ物語』は、3部のまとめと社会人となってからの友情が中心

「あすは檜になろう,あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも,永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうと言うのよ。」「貴方は翌檜でさえもないじゃありませんか。翌檜は、一生懸命に明日は檜になろ うと思っているでしょう。貴方は何にもなろうとも思っていらっしゃらない。」

(引用元:『あすなろ物語』井上靖)

有名な『あすなろ物語』の一説です。何か、心に訴えかけてくるものはありませんか?

 

五木寛之 青春の門 8部作

 

大作家として知られる五木寛之氏の青春小説は、8部作の大作です。

「第1部 筑豊篇」、「第2部 自立篇」、「第3部 放浪篇」、「第4部 堕落篇」、「第5部 望郷篇」、「第6部 再起篇」、「第7部 挑戦篇」、「第8部 風雲篇(単行本化されていません)」

『青春の門』は作者が少年時代に住んだ筑豊を舞台に、主人公の上京、成長と挫折の人生を描く大河小説です。時代も、太平洋戦争中の昭和時代から始まります。九州・筑豊の炭鉱で、義母・タエとののふれあいや波乱に満ちた人生から始まり、東京、北海道、ロシアと点々と舞台は移ります。

貧乏学生でアルバイトにあけくれ、自分の血を売りながら毎日をしのぐシーンは作者の青春時代そのものであり、当時の日本の風景がまざまざと蘇ります。学生運動や、自暴自棄な生活の中で、社会のもつ矛盾にまきこまれ、「持たざる者」としての自分を強く意識し、何かを求め彷徨う信介には、根底に自分探しのさすらいがあります。

『馬鹿も利口も命は一つ』

(引用元:青春の門「第1部 筑豊篇」五木寛之)

宮本輝

宮本輝氏の青春小説は、自身ではなく父親がモデルとなっており、現在は以下の7部作です。

「流転の海」、「地の星 流転の海 第二部」、「血脈の火 流転の海 第三部」、「天の夜曲 流転の海 第四部」、「花の回廊 流転の海 第五部」、「慈雨の音 流転の海 第六部」、「満月の道 流転の海 第七部」

主人公の松坂熊吾(作者の父親をモデル)が破壊的に破天荒だけど、優しく、子供伸仁(50歳の時にできた初めてできた作者を投影。伸仁が20歳になる頃、熊吾は70歳。)を愛して、「お前が二十歳になるまでは絶対に死なんけんのう」と決断します。子供が無事に成人して、独り立ちしているところを見届けたいと願いますが、数奇な「宿命」にいたるところで翻弄されます。

ユニークな登場人物との裏切り、対決、逆転のストーリーが、映画を思わせるようなシナリオです。ユーモアも散りばめられています。現在まだ七部で、第九部で完結予定です。

「男は自分の自尊心よりも大切なものを大切なものを持って生きにゃあいけん」

(引用元:「花の回廊 流転の海 第五部」宮本輝)

***

いかがでしょう?

どれも読み始めると、一気に読んでしまうほど、主人公と登場人物が生き生きしています。また、歴史で習った昭和の様子など、今とはまるで違う日本の文化がリアルに分かる点も興味深いです。簡単な、自己啓発やハウツー物もいいですが、たまにはじっくり主人公の壮大なドラマを一緒にたどってみませんか。思春期特有の悩みや葛藤など様々な経験をして、1人の人間として成長していく姿は、あなたをきっと励ましてくれますよ。

 

気づきの書評(38)『1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得』

Study Hackerに寄稿しましたので引用します。

【書評】『1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得』

皆さんは、「かばん持ち」というのをご存知ですか? 今ではあまり知られていませんが、昔は、師匠の行動やノウハウを盗む目的で、かばん持ちや、運転手、付き人さんなどが、政治家や経営者、芸能人、歌手などにいつも一緒について行動しました。このように著名人の世話をしながら技、知識などを学ぶ人を「かばん持ち」と呼びました。

俳優の宇梶剛士さんは菅原文太さんの付き人として有名ですし、政治家も大体は誰かの秘書などをしてかばん持ち時代を過ごしています。

「1日36万円のかばん持ち」の著者、小山さんは、株式会社武蔵野の代表取締役社長で、「独特のユニークな仕組み」による経営で知られています。彼のカバン持ちは、3日間総額108万円を支払って参加する現場研修ですが、立派な経営者の予約でいつも一杯。70人が1年待ちほどの人気らしいです。

 経営にとってもっとも重要なことは、3点ー1現場、2環境整備(朝イチばんの掃除)、3経営計画だと口を酸っぱく言ってきました。真実は現場にしかありません。天国と地獄の別れ目は、ほんの些細な着眼点です。

引用 1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得 小山 昇著 ダイヤモンド社

小山さんは、明確な評価・人事制度など、「強いしくみ」を作る事の重要性を説きます。一見、破天荒で逆説的に見えるやり方にも、経験に裏打ちされた根拠があります。

 1989年の社長就任以来、私は数千人の社長を見てきました。指導した会社は600社以上に及びますが、相談にきた時は8割が右肩下がりで、3割5分は「赤字」です。でも、現在その中で倒産した会社はゼロ。5社に1社は過去最高益です。

引用 1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得 小山 昇著 ダイヤモンド社

著書では、「かばん持ち」を体験した経営者との会話と、「三流、二流、一流」の見極めポイントを明文化することで、経営者に必要なエキスが学べます。では、「かばん持ち」で体感できる現場の真理の一部を見てみましょう。

 

利益の焦点を当てるのは未来

 

たくさんの経営者を見てきた小山氏は、「三流は目前の利益、二流は今期の利益、一流は未来の利益に焦点を当てる」と言います。

企業にって大切なのは、未来のお客さまに利益を投資していくことです。必要最低限の利益を確保したら、未来に投資する。目先だけのことはどうでもいい。私たちの目標についても同じことが言えますね。

 社員のほめ方

 また、社員に対しての接し方にも差が出るそうで、「三流は社員をしかり、二流は社員を励まし、一流は社員を褒める」とも述べています。

そういう小山氏は、1日一時間以上社員を褒め、サンクスカードで褒める点をメモして残すなど、社員同士で褒めあう仕組みも作っています。小さなことをたくさん褒めることが大事だそうです。大人であっても褒められて嬉しくない人はいません。トップがこのような姿勢でいれば、社内の空気も当然良くなっていくでしょうね。

 ストレスに弱い社員を育てる

 さらには、日本独自の「ノミュニケーション」についても述べています。三流経営者は社員と飲まない、二流は社員と月1回飲む、一流は年166回の飲むのだとか。これはほぼ二日に一回のペースですね。

最近の若者はストレス耐性が弱い傾向があるので、少しずつ強くしていい人材にしていくしかありません。そのために、一つは、定期的な面談や飲み会などでのコミュニケーションを増やし、仕事以外のことを本音で話し合う時間を増やすこと。もう一つは、上司は飲み会では傾聴に徹して、相談されるまで具体的アドバイスするのを待つそうです。

どちらも時間をかけて心の健康を守るために辛抱しなければなりませんね。最近は行わない会社も増えている社員旅行も、一体感を増すために、楽しい仕組みにして全員集合させるそうです。

 健康の保ち方

 最後に、健康状態も述べています。

三流は風邪を引く、二流は風邪をひかないで会社にいる、一流は30年以上風邪をひかず会社にいない(お客さんに会う)。

健康維持は自己管理で、体力がないと社長は務まらず、社員も家族も守ることができない。十分な睡眠、食事、運動(1万歩)、ストレス発散(お酒)など基本をまもるのが不可欠です。やはりリーダーには健康が一番大事です。

 ***

いかがですか?結果を出している人には必ず「理由」があって、多くは習慣になっているそうです。だとしたら、結果を出している人の習慣を学び、真似するのが近道ですね。

あなたは誰のカバン持ちをやりますか? 真似したい人の一流の行動を分析して、あなたも一流になりましょう。

 参考資料

1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得 小山 昇著  ダイヤモンド社

ダイヤモンド書籍オンライン 小山昇は、なぜ、『1日36万円のかばん持ち』を出版するのか?――本誌記者による発売前直撃インタビュー【前篇】

 

気づきの書評(39)迷いを解くヒントはファンタジーの中にある。勇気をくれるふたつの名作海外小説

Study Hackerに寄稿しましたので引用します。

みなさん、進路や人生に迷った時どうしますか?

今回はそんな時、あなたに不思議な自信をつけてくれるふたつの小説をご紹介します。

アルケミスト―夢を旅した少年

宝物を探して、ヨーロッパからアフリカのピラミッドに向けて旅に出た、羊飼いの少年サンチャゴが、旅の最中の出会いと別れのなかで、人生の知恵を学ぶ物語。少年が迷った時に支えてくれる人々の言葉は、みんなそれぞれに啓示を含んでいます。

クリスタル店の店主は、本や学問から知識を得ようとします。

パン屋の店主は、お金を貯めてから旅をしようと考えていますが、年を取り、結局旅に出られない自分に気づきます。

 「誰でも若い時は自分の運命を知っているものだ。まだ若い頃は、すべてがはっきりしていて、すべてが可能だ。夢を見ることも、自分の人生に起こってほしいすべてのことにあこがれることも、恐れない。ところが、時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだ。」

「結局、人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ」

引用 アルケミスト ー夢を旅した少年 パウロ・コエーリョ著 角川文庫

自分の運命を信じることは難しいことです。しかし、強く願うことでかなえられることでもあります。

自分には無理だという思いは運命を遠ざけます。「周りの人にどう思われるか」を気にせずに、夢があるなら、やってみること。

そうすると必ず協力者が現れます。

 「おまえが誰であろうと、何をしていようと、おまえが何かを本当にやりたいと思う時は、その望みは宇宙の魂から生まれたからなのだ。それが地球におけるおまえの使命なのだよ。自分の運命を実現することは、人間の唯一の責任なのだ。すべてのものは一つなんだよ。おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ」

引用 アルケミスト ー夢を旅した少年 パウロ・コエーリョ著 角川文庫

幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかし目の前の「スプーンの油」のことを忘れないことだそうです。「今」をしっかり生きなさいという強いメッセージが伝わりますね。

サラとソロモン―少女サラが賢いふくろうソロモンから学んだ幸せの秘訣

2作目は、『サラとソロモン』です。少女サラは、幸せになりたいのに、周囲や、意地悪な友達や先生のせいで、なかなかうまくいきません。

サラは、人間の言葉を話すふくろうのソロモンから、幸せになるための法則を学んでいきます。

 「この宇宙のすべての物事の中には、(君が望んでいること)と(君が望んでいないこと)という要素の両方が内在しているんだ。どんな状況の中にも、どの瞬間の中にも、その両方の要素のどちらかを選べるという選択肢が常に存在しているんだ。いつでもずっとあるんだ。だからね、サラ、ある場所や状況の中に悪いことがあるからという理由でそこを去るなら、次の場所に行っても、ほとんど同じことが起こるってことなんだ。」「君がやるべきことは、自分の中に流れ込んでくる(幸せ)に向かって(心の扉)を開けておくことなんだ。(幸せ)は君のために常にそこにあるのだけれど、君自身がそれを取り込まなければならないいんだ。」

引用 サラとソロモン エスター&ジェリー・ヒックス著 ナチュラルスピリット

フクロウと話していくうちに、サラは「幸せはどこにでもある」ということがわかっていきます。

そして自分から「心の扉」を開けることができるようになります。してはいけないリストを望む形に変えていきいます。

例えば、「廊下を走らない」を「廊下では周りに気を配ろう。」に。

 「君が何が何でも(心の扉)を開けたままにしておくことができるようになった時、何とも言えない喜びを経験するだろう。」

引用 サラとソロモン エスター&ジェリー・ヒックス著 ナチュラルスピリット

***

いかがですか?

ファンタジーやアナロジーは、時に自己啓発書やハウツーよりも心に残るものです。

進路や人生の迷いに、解決のヒントを与えてくれるかもしれませんね。

参考資料

アルケミスト ー夢を旅した少年ー パウロ・コエーリョ著 角川文庫

サラとソロモン エスター&ジェリー・ヒックス著 ナチュラルスピリット

 

気づきの書評(40) 0から1を生み出す! イノベーションで成功するための『本質』のつかみ方

Study Hackerに寄稿しましたので引用します。

過去の決まりや、これまでの成功法則の枠組みを越えたアイデアで、次々と新しく画期的なサービスが生まれる時代になりました。今や、起業に必要であった「人、もの、金」がすべて、クラウドで安価かつ簡単に手に入る時代になったのです。言い換えると過去の成功体験や、真面目にコツコツ、だけではなかなか成功出来ない時代になったとも言えます。

今や、誰にでも、新たな機会を見つけ、「0から1」を生み出す意欲、イノベーションが求められているのです。

0から1を生み出す

経営コンサルタントの大前研一氏によると、イノベーションを生み出すためには、日本人の得意な「コツコツ改善」ではなく、前提を根本から疑って全く別のものにしてしまうくらいのアクションが必要だそう。

「一回でいいのだ。たった一勝でいい。激変する社会に生きる私たちは、大きな勝負をするべきなのである」「日常のビジネスの場で繰り返しトレーニングしているうちに必ずあなたの血肉となり、意識しなくても頭が働くようになるはずだ」

(引用: 0から1の発想術 大前研一著 小学館 )

とはいえ、1から10にするのに比べても、0を1にするというもは圧倒的に大変な作業です。しかしこれができないことには、イノベーションとは言えません。「0から1」の発想を生み出せる人は、何が違うのか。「0から1」の発想で考えるための仕組みを見てみましょう。

本質的な価値を探せ

消費者のニーズを正しくとらえるためには、単なる技術ではない“本質的な価値”を探さなければなりません。本質的な価値とはつまり、消費者が本当に求めているもの。企業はつい、「業界でまだ誰も成功していないから」とか、「他の企業より少しでも高性能で」など、業界間の競争に走ってしまいがち。しかしそれでは、消費者のニーズは置いてけぼりです。

業界の競争や慣例などくだらない。消費者が本当に求めているものを実現すべきだ、ということに気付いて大きな成長を遂げた企業もたくさんあります。たとえば、物流・供給システムを中抜きしたユニクロ。「髪だけ切ってくれれば良い」というニーズにこたえて洗髪・顔剃りを省いたQBカット。

さらには、消費者の健康志向にいち早く気付き、コンビニでも高品質なニーズを提供したセブンプレミアムなどがいい例ですね。

有効活用

多くの接客業は「混んでいる時間帯」と「すいている時間帯」があります。基本的にはそのどちらも、光熱費や賃料などの固定費は変わりません。それであれば、すいている時間帯の稼働率をあげることで固定費を有効活用できれば、新たな設備投資なく利益を増やすことができますよね。

特定顧客向けのクーポン、時間差割引、街の温泉宿手形などはこの応用ですね、また人、時間、空いている場所などを有効活用するシェアリングエコノミー、Uber(車)やAirbnb(宿)もこの発想から生まれました。日本には“空いているもの”が相当多いらしいですよ。チャンスですね。

☆はやり言葉「シェアリングエコノミー」

予測する

そして新しい何かを生み出すときに大切なのは、「5年後の生活を予測して、どうなっていれば良いか」を考えるちから。5年後に必要とされ、流行っているもの。それは、たとえ小さいながらもその兆しは現在すでに存在しているはずなのです。

ソフトバンクは、ヤフーやアリババなどのデジタルトレンドを時間差で先読みして、そこに投資して大きくなりました。楽天もそうですね。しかしこれらの企業でさえ、先を読まずに足踏みをしていたら5年後はどうなっているか分かりません。インターネットやスマホがすべての技術やサービスを吸収していく今、次は何が次世代プラットフォームになるのか予測してみましょう。その周りに機会が集まりますよ。

見方を変える

あなたのものの見方は、気付かぬうちに「今の常識」や「偏見」にとらわれてはいないでしょうか。今までと同じことを同じように繰り返していては、発展は望めない時代です。だからこそ、まるで違う視点が必要となります。

業界の固定的な考えを捨てて、海外からの旅行客を取り込んだスキー場など、常識にとらわれない発想が成功を招いた企業はたくさんあります。自分が社長になったつもりで、全体を見渡して発想のレベルを1段あげましょう。他人に見えないものを絵に描いて構想する力がなければ、フロリダのディズニーランドやグーグルも生まれませんでした。

もはや「苦しいけど頑張れ」とか、「コツコツと真面目にやってさえいれば報われる」という時代ではありません。「私は違うと思います」と疑問を持ち、証拠を集めて自分の意見を形成する能力を磨きましょう。

 

「疑問」を持つちから

発想法以外にも、自分はその商品、サービスにどこまで強い感情移入ができるかも重要です。ナイキやアップルは、「自分たちが興奮できるものをつくる」という姿勢に決して妥協せず、「もっと改善できないか」と疑問を抱き続け、その繰り返しがヒット商品を生み出しました。

またマーケティングを行う際も徹底したきめこまかいユーザー分析、時間軸をずらしてコストを調整する方法、他の業界の成長例からを応用する、などヒントはたくさん転がっています。

「まず重要なのは疑問を持つこと。そして疑問を抱いたことに対して自分で調べる姿勢です」「これからの個人にとって重要なことはいかに自分の人生を設計し、デザインするかです。」

(引用: ニュースで学べない日本経済 大前研一 KADOKAWA )

「疑問を持つことが大切」ということはつまり、今までの日本企業で重んじられてきた「上司の言うことを素直にきいて実直にこなすイエスマン」では生き残れないということ。まずは疑問を持つことから始めましょう。

***

いかがでしたか。

元パナソニックで戦略ディレクターの濱口さんによると、発想のフレームワークさえしっかり訓練すれば、比較的偏見が少ない文化である日本人は世界でもイノベーション力が特に優れているそうですよ。常に「自分ならどうするか」を考えなければ、猛烈なスピードで変化する現代社会を生きていけません。あなたにとっての「1勝」に向けて、「0から1」の発想法により、思考を飛躍させましょう!

参考文献

0から1の発想術 大前研一 小学館

ニュースで学べない日本経済 大前研一 KADOKAWA

東洋経済オンライン|大前研一「国内メディアだけ見る人は危ない」

小学館 「0から1の発想術」大前研一

logmi|日本人のイノベーション力は最強–USBメモリの生みの親が教える「0から1の創り方」

気づきの書評(41) 仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ 

Study Hackerに寄稿しましたので引用します。

ホワイトボードに書かれた会議の大事な板書や図など、スマホのカメラで撮ったり議事録に頼るばかりで、最近メモをすることが減っていませんか?

実は、「メモをとる」という行為は、単に情報を整理してまとめるだけではなく、新しいアイデアを生み出す力もあるそう。コピーライターであり、「伊右衛門」や「プレミアムモルツ」、「プレイステーション4」などの素晴らしいCMを手がけた小西 利行さんから、できる人のメモのコツを学びましょう。

「メモをとる」行為は、単に過去を記録するものではなかった!

みなさん、会議中にメモをとったり、ホワイトボードに書かれていることを写すとき、どのような意識でやっていますか? 「後から見返せるように“とりあえず”記録しとこ」という方が多いのではないでしょうか。でもそれでは、単なる過去メモにすぎません。

「みなさんが考える一般的なメモは過去メモです。つまり、今聞いている情報や考えを書残すもの。決して未来の自分へ向けたメッセージではないでしょう。でもその過去メモから未来メモへの転換こそが、あなたのビジネスを大きく変えるきっかけでもあるのです。」

(引用元:小西 利行著(2016),『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』,かんき出版.)

現代は、「情報の過多」と「頭の切り替えの難しさ」が、仕事のスピードに非常に影響しています。見たこと聞いたことを残すのが過去メモですが、行動のきっかけを生む未来メモをうまく活用すれば、即座にやるべきことに着手でき、飛躍的に仕事が速くなるそうです。

そもそも「未来メモ」とは何なのでしょうか。未来メモの3つの具体的な活用法も含めて、しっかりと見てみましょう。

1.情報をまとめて、考えを整理する「まとメモ」

情報をわかりやすく「使える情報」にまとめるためのメモです。単に情報を時系列に書いていくのではなく、因果関係や関係性、最終的な結論がどうなったのか、などが分かるよう、○や→、ふきだしといった様々な記号を使用してください。「あとから見たときに必要なことは何か」という未来の自分の目を意識することがポイントです。また、起点・確認・重点やポイントもしっかりと残しておきます。

デジタルで記録する場合は、また関係のあるキーワード、検索するであろうキーワードを入れておけば、必要な情報を一発で「検索」して取り出すことも可能です。

2.アイデアを引き出す「つくメモ」

ただ単に「たくさんアイデアを書き出そう」と言われてもそんなにぽんぽんとは生まれないもの。そこで本書で提案しているのは、様々なルールを用いたメモの方法です。

・「それは本当に◯◯◯するか?」「××することができるのか?」などの思考のハードルをあえて設け、超えることをルールにする「ハードルメモ」。

・イラストやセリフを追加して、共感できるポイントを加える「マンガメモ」。

・「不満」や「隠れニーズ」を探り、真ん中に左右を満たすようなアイデアを書く組み合わせで言葉をつくる「ブラック三角メモ」や「ホワイト三角メモ」。

・思い浮かんだことをただ「→」でつないでいく「つなぎメモ」。

・「原因→結果」ではなく、「結果→原因」の逆で発想する「あまのじゃくメモ」

などが挙げられています。このように、普段の思考に一ひねりを入れることで、急に視界が開けてくるのですね。

3.大切なことを伝える「つたメモ」

上で述べた「まとメモ」「つくメモ」で生み出した内容を、わかりやすく伝えるためのメモ術。それが「つたメモ」です。そこにも、ただ必要事項を記入しておけば良いわけではなく、さまざまな工夫をほどこします。

メモが読みたくなるような「見出しメモ」、直感的に理解ができる大小ズ(大きさ)、設計ズ(建物のイメージ)、関係ズ(関係を線と太さでイメージ)などの3つの図で難しい情報をスッキリ伝える「ズメモ」、書籍のタイトルやスピーチ原稿のように何を話すかをアシストしてくれる「スピーチメモ」などがあります。

情報をまとめてそこからアイデアを生み出し、さらにそれを第三者に興味を持ってしっかりと見てもらう。この三点セットがそろって始めて、メモが大きな効果を発揮するのですね。

メモを取るハードルを上げないために

ここまで読んで「じゃあ次からは会議の内容を議事録に頼るんじゃなく、自分でメモしてみようかな」と思った方へ。

一字一句漏らさないように、と気合いを入れすぎると疲れ果ててしまいます。1回の会議で目安として10個だけをメモする方法が「1会議、10メモ」を心がけてください。重要な点だけにしぼれば、思考もしやすくなります。大事なのは、「メモはきれいに取る必要なない」こと。自分が読めればよく、きれいな文字、色ペンやいい言葉も入りません。そこに時間をかけすぎると、本末転倒ですよ。

ただ、見た目のきれいさにこだわる必要はありませんが、いろいろな記号などを上手に用いて、思考経路を思い出す「未来メモ」を試してくださいね。

***

希代のヒットメーカーのメモ術。いかがでしたか? シンプルですが、メモを使いこなすことによって、誰でも大きな効果を生み出せるそう。ただし書いたままにしておくと、メモも鮮度が落ちて腐るそうですよ。「未来の自分を信じない」心構えで、「覚えているだろう」と過信せず、「情報を知らない人(未来の自分)に伝える」ことを意識しましょう!

「メモの取り方を変えたら、人生が前向きに変わった。それ、あなたにもきっと起こることです。」

(引用元:小西 利行著(2016),『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』,かんき出版.)

ぜひあなたもメモをうまく利用して、人生を変えていきましょう!

(参考)

小西 利行著(2016),『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』,かんき出版.

東洋経済オンライン|「伊右衛門」コピーライターのすごいメモ術 情報の扱い方が変わり、仕事と収入が激変!

気づきの書評(42) 『人を動かす 超訳勝海舟の言葉』

「世の中に 無神経ほど強いものはない」勝海舟に学ぶ、批判を “スルー” する力

Study Hackerに寄稿しましたので引用します。

 

みなさん、勝海舟という人をご存知ですか。

幕末の登場人物として広く名を知られている英雄の一人ですね。貧乏御家人の息子にすぎなかった彼は剣と禅で体と精神を鍛え、幕藩体制崩壊の中、攘夷と開国派の両方を説得して、江戸城を無血開城に導きました。当時は藩同士の権力争いが激化していた中、「藩ではなく、日本国という枠組みでものを考えよう」と、あの坂本竜馬や西郷隆盛などの豪傑をも開眼させて、最後には軍事総裁にまで登りつめた人物です。

「どんなに厄介なことに出会っても臆病ではいけない。さあなんでも来い。自分の身体を捩れるものならねじってみろ。そういう気構えで挑戦すれば、難事であればあるほど面白味が増していき、どんなことでも造作なく解決するものなのだ」

(引用元:『人を動かす 超訳勝海舟の言葉』岳 真也(編訳))

激動の時代を切り開いた、勝海舟の人生訓を見てみましょう。

行いは己のもの。批判は他人のもの。知ったことではない

勝は徳川幕府と明治政府の両方の高官の職に就いたので、二君に仕えた幕臣として、「裏切り者」と呼ばれました。あの福沢諭吉から、「武士としての誇りを地に落とした無責任男」と罵られたほどです。しかし彼はそんな批判に対して「言いたい奴には言わせておけばいい」と。なぜなら、自らの行いに揺るぎない自信があったからです。

「幕府、政府という枠を超えて、日本国としてどうすべきかを考えないと、この難局を乗り切れない」と確信していたのです。

その信念に基づき、明治政府の下で海軍卿という要職に就いてからも、慶喜公やかつての幕臣達の世話を尽くし、伯爵の地位を得た時も、「時勢の代わりというものは妙なもので、人物の値打ちががらりと違ってくるよ。人の評価は上がったり下がったりする。その評価も10年続かないよ」と冷静に社会の流れを分析していたのです。

時代の空気と無縁に生きるな

また勝は、上司に反対されながらも日本では朱子学が全盛の時代にオランダ学(蘭学)を学んだおかげで、国防や海軍の専門家になりました。朱子学は多くの者が知っていても、蘭学の知識を持っている者が他にいなかったのです。しかしこれが、世界では最先端とされる重要な学問でした。

上司の評価など気にせず国にとって必要と思ったオランダ学を学び、大砲や銃の設計などに発展させたおかげで、誰に遠慮も無くなんでも言えたのですね。

「世の中に無神経ほど強いものはない。自分の価値は自分で決めることさ。つらくて貧乏でも自分で自分を殺すことだけはしちゃいけねぇよ」と後に述べています。

積極的な自然体で生きる。

一見合理的に見える勝ですが、実は人間関係を大切にする人物でもありました。

「人間関係は魚の養殖と同じだ」と、長い目で、あらゆる方面に人のつながりを保ち、無駄に見えても餌をやり続ける(関係に腐心する)ことの重要性を説いています。利害関係だけでなく、信頼と誠実に基づいたネットワークで、諸国にたくさんの知己を持ちました。

「困った時にだけ人を訪ねるな。こんにちわは言うが、さよならを言わないのはだめだ」と、普段から、利害が絡まない長い付き合いを尊重していたのです。それらの縁が、きっと何度も彼を助けたことでしょう。

 

損な役目を有利に活用せよ。

勝は長崎伝習所の学習が終わったあとも、オランダ教官の調整役として残留を命じられます。その残留により、長崎に入港する外国船の幹部や、薩摩藩主の島津大名などに名前を覚えられ、評価を高めていきました。「時間があったら、市中を散歩して、どんなことでも見て覚えておけ。いつかは必ず用に立つ。それが、兵学にも政治家にも大切なことだ」というオランダ教官から教えを守り、「世間は生きている。理屈は死んでいる」と、常に実践を重視して、理屈だけの評論家を嫌いました。

「俺の見たところでは、今の若者は、ただ一つの学問を修めて、多少知恵がつけば、それで満足してしまって、さらに進んで世間の風霜に打たれ、人生の酸味を舐めようというほどの勇気を持っているものは少ないようだ。こんな人間では、とても10年後の難局に当たって、裁きをつけるだけのことはできまい。俺はこんなことを思うと心配ではいられない」

(引用元:『勝海舟の人生訓』童門冬二著)

すでにこの頃から、今にも通じるような日本の将来を心配していたのですね。

***

人生の半分を江戸時代に、残り半分を明治に生きた勝の残した言葉の数々や生き方は、「政治も文化も価値も変化する中で必要なのは、自信と勇気を持って、柔軟に前向きに対応することだ」と示しています。

亡くなるときにトイレで倒れ、生姜湯が間に合わないのでブランデーを飲んで脳溢血により息を引き取った時の最期の言葉は「コレデオシマイ」だったそうです。最後まで、悔しいほどに粋ですね。

(参考)

『勝海舟の人生訓』童門冬二著 PHP文庫

『人を動かす 超訳勝海舟の言葉』岳 真也(編訳) 中経出版

『海舟語録』  勝 海舟 (著), 江藤 淳 (編集), 松浦 玲 (編集)  講談社学術文庫)

幕末・維新風雲伝|5分でわかる勝海舟のすごさ~幕臣・勝海舟の生涯

wikipedia|勝海舟

気づきの書評(43)『300人の達人研究からわかった 上達の原則』

Study Hackerに寄稿しました。

みなさん、スポーツにしろ、音楽にしろ、語学にしろ、効率よく上達出来たらよいのに、と思いませんか?

学んだり習ったりしたことを上達させられる人とそうでない人とでは、どこが違うのでしょう。素質やセンス以上に重要な要素は、「上達のコツ」を身につけ、周囲を巻き込むことだそうですよ。

今回は、才能の伸ばし方を研究する専門家がスポーツ選手や音楽家、研究者、実業家など300人以上を15年かけて調査して見出した、上達の方法を教えてくれる1冊をご紹介します。

新しい知識や技術がどんどん生まれている現代。いつまでも古いやり方でトレーニングしていては、成長のチャンスを逃してしまいます。成長とスキルアップには、新たな知見を取り入れながら、より効率よくトレーニングする必要がありますね。

「現代は変化のスピードが速く、せっかく身につけた知識や技術も、すぐに古くなってしまう。こういう変化の激しい社会であるだけに、私たちは今まで以上に学び続けなければならなくなった。技術もノウハウも、次々に刷新されていくから、学び続けなければならず、限られた時間の中で技術や技能を習得しなければならない。だからこそ、効率的で効果的な上達の方法を習得する必要がある。」

この本の著者で、東北大学で実際に上達支援の指導にあたっている北村勝朗教授によると、ビジネス、音楽、スポーツなどの分野で上達して力を発揮している人たちは、質の高い練習とやる気を無理なく持続させる“コツ”、つまり目標設定と行動変革のための「発想、仕掛け、やり方」を会得しています。

では、どのようにすれば、日々の生活や仕事の中で物事に上達できるのか。そのコツについて見てみましょう。

まず「才能の迷信」を知り、マイナス思考を捨てる

「素質がある人にはかなわない」、「今からやっても手遅れだ」、「いい環境でないと上達できない」、「教えてくれる人がいなければ上達は無理」といった考えは、上達を妨げている誤った考え方だそう。これらの理由で訓練をやめてしまうことにはあまり意味がないようです。

ケニア人がマラソンが早いのは、才能ではなく、毎日片道20kmの道のりを走って学校に通うため、1日に約7時間、1年で3,000時間弱の走力トレーニングをすることになるからです。

人間は環境に適応して成長するので、才能や素質の影響は予想以上に小さく、一定期間必要な練習を積めば、「その人が上達しようと望む分だけ上達する」のだそうです。反対に、素質をもっていても、激励され、愛情を注がれ、教育され、練習するという長期にわたる意図的な練習過程がなければ、上達できないのです。

「自分には才能や素質なんてものはない」などと無力感を抱く必要はありません。必ず上達できるというイメージを持って、練習に励みましょう。

 

上達のメカニズムを知る

私たちが何かに上達するためには、今ある環境を大事にして、それを最大限活用することが大切です。今ある環境以上に高望みしたところで、上達が近づくわけではありません。例えば野球なら、今の環境のままでもできること、例えば隙間時間にバッティングセンターに行くことなど、無理せず今できることから始めてみるべきなのです。

また本書は、ワクワク感を長期間継続しながら、質の高い練習を積み上げることが上達のポイントだと説きます。著者によると上達の段階には3段階あるのだそう。最初の段階では、まず気持ち良い体験を積み重ねてやる気を引き出します。次に第2段階では、できるという効果や成長を感じられる環境を整備します。そして最終段階では、自分で工夫して、目標や信念を育成する自主性を育てるのです。

ワクワク感は、気持ち良い体験をしなければ醸成されません。練習に励もうと思える前向きな精神状態を得ることが、上達のための基本です。また、一人で練習に取り組むのではなく、仲間と学び合ったり指導者に学んだりして周囲を巻き込みながら、自らの成長を感じられる環境に身を置くことも必要です。あなたが熱意をもって練習に取り組めば、その熱意は周囲にも伝わり、何らかの形で手助けしてくれますよ。そして最後は、目標に向けて諦めずに取り組む信念を持ち続けましょう。

練習時間を蓄積させるという観点で見ると、例えば1万時間練習しようとしたとき、1日3時間で計算すると約10年の年月が必要です。何かに上達することは、一朝一夕にできることではありません。挫けることなく長期間トレーニングを継続できる仕組みを作ることが、確かな上達のためのポイントと言えます。

上達への道のりは、ホップ、ステップ、ジャンプなのです!

大切なのは、自分に合った方法を選ぶこと。そして、学ぶ目的と熱意をもち、努力を続けること。的確にアドバイスしてくれる指導者や共に学ぶ仲間がいれば、上達はさらに進むだろう。

いかがでしょうか。

学ぶコツさえわかれば、向き不向きはあったとしても、上達は可能です。あなたも上達のコツを学ぶことで、自分には才能がないなどとあきらめずに、自分の可能性を信じ、やりたいことに挑戦しましょう!

(参考)北村勝朗著(2015),『300人の達人研究からわかった 上達の原則』,CCCメディアハウス.

気づきの書評(45)【書評】『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』

 Study Hackerに寄稿しました。

いくら頑張っても、仕事の成果が上がらない。人一倍努力しているはずなのに、いつもライバルに先に行かれてしまう。そんなむなしい思いをした経験はありませんか。あるいは、「残業しないのは、努力不足だ」「時間をかければ、よい仕事になる」のような発想で、仕事の時間を延ばそうとしてはいませんか。

時間をかけて努力しても結果が付いてこないのは、あなたの努力が「いい努力」になっていないからかもしれません。ではここで自分に問いかけてみてください。あなたの努力は「いい努力」だと言えそうですか?

努力をしても成果が出ないことの背景にある問題は、「いい努力」とは何なのかを理解しないまま、知らず知らずのうちに「悪い努力」を積み重ねてしまっているということ。

この書籍では、世界有数のコンサルティングファームであるマッキンゼーで25年間に渡ってさまざまなプロジェクトをリードし、現場で無数の「成功」と「失敗」を目にしてきた著者が、成果をあげる「いい努力」とは何かについて解説します。

「とにかく時間をかける」「がむしゃらに頑張る」という「悪い努力」を続けると、せっかくの努力が「時間のムダ」になってしまいます。しかし、「悪い努力」のしかたで生産性の低い仕事を行ってきた場合でも、視点を変えるだけで、仕事の質を変える「いい努力」ができるようになるそうですよ。

努力をしないよりはしたほうがいい。仕事でも学びでも、努力は必要不可欠だ。それでも、「努力をすればいい」と思った瞬間、大事な点を見失ってしまう。問題は、労力やかけた時間ではなく、努力の質にある。

「いちばん手っ取り早いのは、時間を切ること。マッキンゼー時代に大先輩から学び、後輩に伝えたアドバイスは、とにかく『お尻を決める』ことだ。」

「『悩むな、考えろ。だがいつまでも考え続けるな、判断しろ』」

「いい努力」の定義は次の7つ。ポイントをしっかり押さえて、あなたの仕事の仕方を、悪い努力からいい努力へと転換させましょう。

1.「成果」につながる

リンゴの木を育てるのなら、リンゴを実らせるのが「いい努力」です。手塩にかけてリンゴの木を育てても、数個しか実らなければ、その成果はかけた労力と時間に見合わず「悪い努力」となります。1日10回水をまいても、根が腐ってしまったのなら、その努力はしないほうがよかったと言えます。

客にまったく興味がなさそうな商品を勧め続けていても、成約にはつながらないでしょう。客の要望をつかみ取り、成果につながる営業をしなければ「いい努力」とは言えないということです。

2.「目的」が明確である

いくら正しい方向に努力したからと言って、成果はすぐには出ません。努力し続ける間、自分が何のために努力をしているのかを見失わないためには、努力の目的を意識し、明確にすることが大切です。

長期的な目的と短期的な目的が混じると、重要度にかかわらず、短期的な「目の前の目的」に合わせてしまいがちになります。「日本一のリンゴ農家になる」という目的があったはずなのに、結果が出やすいからと化学肥料を使って土を痩せさせるのは、本当の目的を見誤った「悪い努力」です。

営業成績でとりあえず下位にならないことを目的とするのか、あるいは、念願の部署に配属されることを目的とするのかによって、仕事のしかたは当然変わってくるでしょう。自分の本当の目的に照準を合わせ、それに見合った仕事をしなければならないのです。

3.「時間軸」を意識する

「5年後に県内ナンバーワンのリンゴ農家になる」ことが目的か、「来年、リンゴを100個つくる」ことが目的なのか。目的の達成をどの時点に定めるかによって、努力のしかたは変ります。時間軸を捉えていない努力は「いい努力」ではありません。

念願の部署には、来年度までには配属されたいのか、それとも、いつか配属になればいいと思っているのか。時間を意識することによって、自然と、仕事に取り組む姿勢は変わってきます。

4.「生産性」が高い

「成果が出るが、膨大な時間と労力を要する」という努力も、「いい努力」とは言えません。同じ成果があげられるなら、少ない時間と小さな労力で高い成果を出せるほうが、「いい努力」なのです。

しかし、効率ばかり追い求めるのは良くないのだとも言います。それは、効率と生産性は似ているようで別のものだから。もしクリエイティブな発想が問われる仕事をしているのなら、短い時間で成果を出そう(効率を上げよう)と意識しすぎると、生産性が低くなるおそれがあります。仕事の質に見合った、生産性の高い仕事を心がけることが肝心です。

5.「充実感」を伴う

「いい努力」をしていると、フラストレーションを感じません。「いい感じで働いているな」と、高揚感、充実感が生まれ、意欲が増します。

逆に、「悪い努力」をしていると、かならずどこかで壁にぶち当たってしまい、障害を乗り越えるために余計なエネルギーを使う羽目になります。そうなると、充実感どころか、挫折感でいっぱいになり前に進めなくなるでしょう。

仕事をしていれば業務量の多さにめげそうになったり、顧客の要求の高さにひるんだりすることもあるはず。そんな困難にも、高揚感や充実感をもって立ち向かうことができるでしょうか? 「いい努力」には充実感が伴う、ということは、仕事が好きであるということの表れと言えるかもしれませんね。

6.「成功パターン」が得られる

努力の過程で成功パターンを習得できれば、その努力は「いい努力」だと言えます。

例えば野球なら、努力した結果「肘を締めたほうがヒットになる」という成功パターンがわかれば、ヒットという成果を出せる確率は高まります。自分自身の経験のほかに、できる人から学んで真似ることによって成功パターンを増やしていくことも必要です。

闇雲に努力して、成功パターン、失敗パターンを学ばないのでは、まったく意味がありません。顧客からの評判が高く、売り上げも良い商品にはどのような傾向があるのか。ライバル企業の場合はどうか。こう考えることは、ビジネスでの成功をめざすうえでごく自然なことと言えるでしょう。

7.「成長」を伴う

明確な目的に向かって、生産性の高い「いい努力」をすれば、自分も成長しますし、自分が働きかけることでまわりの環境も成長します。成長した人が進化した環境で働けば、次はさらに高い成果が期待できるのです。

自分の努力が周囲に伝わり、「彼はいつも頑張っているから、次の企画を任せてみよう」「彼女なら成功させてくれるはず」と人々に思わせることができれば、成長にぐっと近づきます。

成長できるのが「いい努力」です。「悪い努力」をし続けていたら、成長などできるわけがありませんから。

***

「いい努力」を続けて確実に成果をあげるには、自分の仕事を俯瞰し、自らの努力が「いい努力」になっているかを確認する必要があるといいます。

「1週間に一回、仕事の流れを止めよう。普段の仕事から『ステップバック』(一歩遠ざかる)して、全体像を眺めるのだ。」

さあ、「いい努力」をするために、1週間に一度、次の三つを定義する習慣を持ちましょう。

自分は『何の目的』でこの仕事をしているのだろうか?

この仕事における『自分の役割』とは、いったい何だろうか?

仕事から、『充実感』と『成長実感』を得ることができているだろうか?

(参考)

山梨広一著(2016),『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』,ダイヤモンド社.

ダイヤモンド社書籍オンライン| 「いい努力」の7つの条件とは?マッキンゼーで25年、膨大な仕事をしてわかったこと

気づきの書評(46)【書評】『成長思考 心の壁を打ち破る7つのアクション』

 Study Hackerに寄稿しました。

現代の若手ビジネスパーソンは、自分を成長させてくれる仕事や職場、上司を何よりも第一にもとめる傾向があると言われています。しかし、その「成長」の意味は人それぞれ。「できないことができるようになること」「営業がうまくなること」「人に気遣いができること」「チームを運営する立場に立つこと」など、何をもって成長とするのかについては多様な解釈があります。

自分にとっての成長が何なのか、だいたいの定義づけができて、そのためのTipsが分かったとしても、どうすれば成長意欲を持ち続けられるのか、成長するための取り組みをし続けるにはどうすればよいのかについて、よくわからないという人は多いはず。それなのに、「成長願望を現実のものにする心得」はあまり教えられていないようです。

よくあるビジネス書や業務マニュアル、仕事の手引書の類は、効率的な仕事の進め方は説明していても、実際に読み手が行動を変えるところにまで踏み込んだものは多くはないもの。また、著名人の成功談には、その人の当時の心境が事細かに語られていますが、読み手がそれを真似るのは決して簡単ではありません。自己啓発書やすごい人の本は、読めば高揚感は得られますが、読み手がその後の行動を実際に変えるのは想像以上に難しいことなのです。

今回紹介するのは、「成長したいけれど、成長の仕方が分からない」というビジネスパーソンの悩みにこたえる一冊。成長したいという気持ちを実際の行動に変えるためのヒントが詰まっています。

(以下引用は本書より)

「適切な目標設定をし、自信を保つためのあらゆる工夫をし、意識して小さな成功体験を積み上げ、ポジティブな人と付き合い、コンディショニングをし、仲間を作ってやっていくと確実に変わります。どんな人でも、成長し続けることができるようになります。」

著者は、『ゼロ秒思考』の著者として知られる赤羽雄二氏。マッキンゼーで14年間活躍した赤羽さんがまとめた、成長するための7つのポイントをしっかり押さえましょう。

アクション1:思い切ってハードルを下げる

成長したいと願う人ほど、目標を高くしがち。しかし、これまでの成果を無視して高すぎる目標を設定すると、自信がなくなり、最後までやりきれず、挑戦を止めてもいいのではという誘惑に負けてしまいます。

目標は、まず低めに設定して、達成感を得ましょう。三日坊主に終わっても、また気軽に再開できるようなものがいいですよ。得られた達成感が、さらなる成長意欲をかきたてるのです。

アクション2:つらくない努力、楽しくなる努力をする

高みを目指せば目指すほど、辛い努力の積み重ねこそが大事だと考えてしまうことがあります。しかし、「やみくもに頑張る努力」より、「結果が出る、楽しい努力」を考えていきましょう。頑張るのが辛いなら、楽しく頑張るようにする工夫も必要です。

仕事でも勉強でもそうですが、苦しいことは継続ができません。努力は、継続することによってはじめて実を結ぶのですから。

アクション3:自信を持つための工夫をする

成長するには、自信を持っていることが肝心。自信があれば、前向きな気持ちになり、挑戦する意欲が湧いてくるからです。

そのために、ポジティブな人と時間を共にしましょう。ポジティブな人と一緒にいると、やる気が出ます。自己肯定感が強まり、自信が生まれ、前向きになれるのです。自分を否定する人とは接することなく、ネガティブな気持ちは極力遠ざけましょう。著者も、ネガティブな方に気持ちが傾いている時は、できるだけポジティブな人と会うようにするそうです。

自分がいかに頑張っているか、調子がいいかといったことなどをメモに書くのも効果的。自分の頑張りが目で見て確認できるので、より強く、自分の努力する姿が目に焼き付き、自信が深まるでしょう。また、頭の中のモヤモヤはメモに書き出しておけば、心が落ち着き、解決策が浮かんだり不安が取り除かれたりする効果がありますよ。

アクション4:好循環を生み出す

「好循環を生み出す」とは、自分が打つ布石(準備・種まき)によって、成果に追い風を吹かせ、ねらいを実現することです。

例えば、発信力をつけるためのブログの投稿、講演の実施、リーダーシップをつけるためのプロジェクトへの参加、人を巻き込むための事務支援など。こうしたひとつひとつのことから得られた成果は、好循環を起こし、大元の目標の実現にもつながります。できることから試していきましょう。

アクション5:ポジティブ思考を身につける

ポジティブな人は、やり方を工夫して、目標を実現できるまで物事をやり続けることができます。一方ネガティブな人は、できない理由ばかりを言い、「今後どうしていけばいいのか」を考えません。

物事をポジティブに考えるかネガティブに考えるかは、自分で操作することができるもの。成長したいなら、ネガティブ思考は捨ててポジティブ思考にシフトすることです。

アクション6:コンディションを維持する特別な工夫をする

コンディションを維持することは、「努力の結果を引き出すための基盤」です。トップアスリートのように、コンディショニングに気を使うことで、ビジネスパーソンとしての戦闘力は上がり、成長が加速します。

具体的には、起床・就寝時刻、睡眠時間、食事、運動、音楽などの気分転換、オフィスの環境、照明などの最適化などです。

例えば、起床時間、寝る時間を変えないこと。規則正しく睡眠をとれば、眠くて怠い状態や、何となく体調がすぐれないといったことを防げます。起きている時間をフルに、全力で使うことができるのです。

また、心のコンディションを調えるには、相談できる相手を、5歳上、10歳上、同年齢、5歳下で、2人ずつ計8名を確保するといいそうですよ。異なる立場から様々な有益なアドバイスが得られるでしょう。

アクション7:人の力を借り、仲間と一緒に成長する

仲間がいれば、困難な挑戦であっても脱落しにくくなります。人は弱いもので、自分だけで頑張ろうとしても、すぐ諦めてしまいたくなります。部活動、プロジェクト、研究発表など、どんなケースでも同じです。

仲間の存在に加え、友人・周囲などから激励されたり承認されたりすることは、努力を支えるのにとても効果的。できる限り人の力を借りて、仲間と共に成長できる機会を作るとよいでしょう。

***

「たぶん一番嬉しいのは、「自分が成長している」と感じているときではないでしょうか。しかも、100%、自分の努力でコントロールできているときです。成長して、それまでできなかったことができるようになる。自信を持てるようになる。これは素晴らしいことです。一過性ではなく積み上げであり、自分の可能性がどんどん広がっていく感じがします。」

成長を実感するには、自分に自信を保つことが大切。そのためには、「自分への肯定感」「成長のための効果的な考え方と具体的な努力」「小さな成功体験の蓄積」が大事だと、赤羽さんは述べています。

さあ、成長への一歩を踏み出しましょう。

(参考)

赤羽雄二著(2016),『成長思考 心の壁を打ち破る7つのアクション』,日本経済新聞出版社.

NIKKEI STYLE|人は誰でも成長できる 未来を描く7つのアクション

経営をアップグレードしよう!|“ビジネスパーソンは誰でも大きく成長できる” ― 元マッキンゼー赤羽雄二氏が語る「成長の手引き」

気づきの書評(47)【書評】『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』

 

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「えー。100歳? 私が? うそでしょ?」そう思っている人はいませんか?

国連の人口推計によると、いまこの記事を読んでいる日本の50歳以下の人たちは、ほとんどが100年以上生きる時代。従来考えられてきた、教育、仕事、その後定年(引退・隠居)という3つのライフステージの時代は終わり、新しい人生の組み立て方が必要となるそうです。

100歳まで見据えたキャリアプランを……と言われても、何をどう考えればいいのか、わからない人は多いでしょう。今を含むこれからの人生の生き方、キャリアの築き方についてヒントをくれるのが、こちらの1冊です。

著者は、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授。前著『ワーク・シフト』で、今後の働き方は、専門的なスキルを複数持つこと、人的ネットワークを通じて給料ではなく経験を重視するようになることへとシフトしていくだろうと予測し、私たちに仕事に対する意識の改革を求めていました。本書では、100年ライフ時代を生きるために必要な、これまでとは全く違う人生戦略について、生き・学び・働くための指針を説いています。

「自分がどのような人間か、自分の人生をどのように組み立てたいか、自分のアイデンティティと価値観を人生にどのように反映させるかを一人ひとり考えなくてはならない」

(引用元:リンダ・グラットン著,アンドリュー・スコット著,池村千秋訳(2016),『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』,東洋経済新報社.)

さあ、100歳時代を有意義に生きるための戦略的人生設計書を考えましょう。

人生が長くなれば、アイデンティティも変わる

定年後のことを真剣に考えてみてください。100歳まで生きるとすると、定年後の時間は30~40年。その間、お金(有形資産)があることも大事ですが、より重要なものがあります。それは、見えない資産(無形資産)。つまり、ソフトスキル(知識、仲間、評判、健康、生活、友人関係、アイデンティティ、人的ネットワーク、オープンな姿勢など)です。

また、定年後の生活では、それまでの男女の役割分担(仕事と家庭)も変わってきます。残りの人生を、数十年単位で、それまでより密接にかかわりながら共に歩んでいくのですから、お互いに高め合える質の高いパートナー関係が必要。徹底した計画のもと、役割を交互に調整しながら、信頼関係を築いていくことが不可欠です。

さらには、長年続けていた仕事を離れて新たなコミュニティに踏み出せば、他の世代を含む新しい仲間と一緒に生き、交流する機会も増えるでしょう。

このようにして、人生が長くなれば、各人のアイデンティティ自身もどんどん変わっていくのです。

貯蓄に取り組む

ではここからは、100歳まで生きることを前提に、若いうちから心がけておくべきことについて見ていきましょう。

単純な理屈なのですが、平均寿命が延びているので、定年を基準にして考えると、そのあと必要な生活費がものすごく増えます。それはつまり、働いているうちに、定年後のための生活資金を蓄えておかなければならないということ。例えば本書では、2016年現在45歳のジミーさんは、もし70代前半まで働いたとしても、所得の10%を貯蓄に回していかないと老後資金には足りない、という試算がなされているのです。

平均寿命が延びると、新卒後約40年の労働で老後の20年はカバーできても、その倍の40年の長い引退生活をカバーするのは難しくなります。また、テレビの前やゴルフで過ごすだけでは、40年はあまりに長く、老後は余生(おまけ)という考えはもう当てはまりません。定年後の長い生活を有意義に過ごすには、今のうちからコツコツとお金を貯めておかなければならないのです。

対策は、必要な金額を計算し、真剣に貯蓄に取り組むこと。働いた分のお金は、即時消費するためのものではなく、人生を通して使うお金なのだと心得ましょう。

生涯学ぶ

自分が、労働の即戦力として必要とされ続けるためには、生涯を通して学び続ける意志を持たなくてはなりません。あなたが今している仕事は、もしかしたら、早いうちにロボットにとってかわられるかもしれないのですから。

労働市場に存在する職種は、これから数十年で大きく入れ替わります。エクスプローラー(探求者)、インディペンデント・プロデューサー(映画監督のような独立プロデューサー)、ポートフォリオ・ワーカー(いろいろな仕事を同時にする人)という新しい勤労形態が出現するのだそうです。

こうした観点で考えると、大学卒業後、皆が就職するからといってすぐに就職を考えるのは危険です。自分の強みや嗜好をしっかり見きわめ、選択肢を広げましょう。

そうでないと、もし自分が満足できる仕事の需要がなくなったとき(テクノロジーによって代替されるようになってしまったとき)、好きでもない仕事に就かなくてはいけない可能性が出てきます。自分でなければ務まらない仕事、自分だけの価値が長く発揮できる仕事とは何なのかを、真剣に考えなければならないのです。

長く働く

人生が長くなるのですから、早々に定年を迎えるのではなく、長く働くことも視野に入れる必要があります。そのためには、仕事に対する考え方、仕事の意義の見出し方についても、見直さなければなりません。

食べるための仕事から、意味を感じる仕事へ。忙しいだけの仕事から、ともに生きるための仕事へ。仕事とレクリエーション(娯楽・余暇)を分けるのではなく、投資とリ・クリエーション(自己の再創造)として考えて時間を使うのが理想です。

「仕事をする期間は短い。とりあえず稼ぐために仕事していればいい」と考えるなら多少つまらない仕事でもいいかもしれませんが、50年も働きつづけるなら、自分の強みや個性が生かせる仕事に就きたいものです。

時代の変化にアンテナを張り、常に誰かの「困った」を探す努力をして、自分がどう生きるかを考えつづけましょう。

***

「100歳のあなたが、今のあなたの決断をどう見るのか?」を考えて欲しい、と著者は問うています。

長寿化時代には人生の設計と時間の使い方を見直してはじめて、長寿を厄災ではなく、恩恵にできます。

人間の認識能力は年齢と共に低下するので、変化を予測して早い段階で行動することが重要です。若いうちから計画的に準備しておかないと、長寿化は災厄の種にもなりかねません。考え方を転換して、自分に向き合って、「年齢」と「人生のステージ」が変わりつつある時代に対応しよう、ということですね。

時代の変化、環境の変化、自分自身の変化は着実にやって来ますが、その変化を的確に予測・理解できれば、対処する時間は十分にあるということも事実です。

さああなたも100歳時代の計画を作りましょう!

(参考)

リンダ・グラットン著,アンドリュー・スコット著,池村千秋訳(2016),『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』,東洋経済新報社.

リンダ・グラットン著,池村千秋訳(2012),『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』,プレジデント社.

ダニエル・ピンク著,大前研一訳(2010),『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』,講談社.

 

気づきの書評(48)【書評】心に響く “泣ける小説” 8選。眠れない夜におすすめしたい、読書で涙をながすということ。

Study Hackerに寄稿しました。

小説には様々な効果があると言われています。主人公の生き方に感銘を受けて「この人みたいになりたい」と憧れを抱いたり、自分一人では到底成し得ない人生経験を疑似体験できたり、それらのことが進路や人生のヒントになったり。

なかでも今回焦点を当てるのは「泣ける小説」。

心が揺さぶられたことによって流す涙には、ストレスを解消する働きがあります。忙しくてストレスが溜まりがちな人こそ、泣ける小説を読むべきなのです。ビジネスパーソンはビジネス書や自己啓発書に手を伸ばすことが多いと思いますが、時にはハンカチ片手に、泣ける小説を読んでみてはいかがでしょう。文庫になっているものもありますから、手軽に電車の中で読むことができますよ。

じっくり自分の人生を振り返るのに最適な、良質な小説8本を紹介します。

君の膵臓をたべたい

病院で拾った1冊の「共病文庫」という秘密の日記帳で、クラスメイト山内桜良の余命が病気で長くないことを知った主人公の「僕」は、彼女が死ぬ前にやりたいと思っていることに付き合います。2人が次第に心を通わせ合いながら成長していくストーリーです。

2016年の「本屋大賞」で第2位を獲得したこの作品。2017年には映画化作品が公開予定です。著者の住野よるさんは、懸賞小説に3度応募したものの、どれも1次通過すらできなかったそう。しかし、諦めずに小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿し、そこで読者からの圧倒的な人気を得たことによって、この作品は出版されました。

流星ワゴン

仕事にも家庭にも問題を抱え、「死にたい」と漠然と考えていた主人公の永田。ある時永田の前に1台のワゴン車が止まり、乗っていた橋本親子は、永田を彼の「大切な場所」へ、タイムマシーンのように連れて行きます。過去と現在を自由に往来するワゴン車。自分と家族がつまづいたきっかけを知った永田は、もがきながらも問題解決に挑んでいきます。「僕たちはここから始めるしかない」という言葉を胸に刻んで。

八日目の蝉

不倫相手の子を妊娠するも堕胎したOLの希和子。心身ともに傷つき、不倫相手の夫婦の間に生まれたばかりの子・恵理菜を誘拐し、「薫」という名前で育てます。希和子は誘拐事件の捜査から逃れるために、偶然出会った「エンジェルホーム」という施設で4年間、薫と共に幸せに暮らしますが、逮捕されてしまいました。そして年月が過ぎ、成長した恵理菜は思い出の希和子に会いたいと、昔撮った写真を手掛かりに岡山の港へ向かいます。

神様のカルテ

大学病院が「手遅れ」の患者を拒否する一方、地域医療として24時間365日対応する本庄病院は患者と最後まで向き合い、栗原もその一端を担っていました。そんな中、大学病院の医局から入局の誘いを受けた栗原。先端医療に興味がある栗原の心は揺れます。

小説のシリーズは「神様のカルテ2」「神様のカルテ3」「神様のカルテ0」まであり、うち2作品は映画化もされています。

悪人

土木作業員・清水祐一は、保険外交員の石橋佳乃を殺害。その後、別の女性・馬込光代を連れ、逃避行をします。その過程で、事件の本当の原因が明らかになっていくという展開です。

2006年に朝日新聞で連載されたこの作品。2010年には妻夫木聡さん主演で映画化され、話題となりました。

別れて生きる時も―愛情について

戦前から戦後にかけて、家族や戦争に翻弄されながら生きる女性の一生の物語です。生い立ちが不幸ながら、純粋な二人が出会い結婚。生まれた子供には麻子と名づけ、幸せな時を過ごしていました。しかし、しかしそんな時間もつかの間、夫は召集され、戦地へ赴くことに。戦地に行く夫との別れのシーンが涙を誘います。

アルジャーノンに花束を

アメリカの作家ダニエル・キイスによる作品。1966年に長編小説化(それ以前に中編が書かれていました)されて以降、古典として読み継がれてきました。

優しい性格の青年でありながら、知的障害を持ち、大人になっても幼児ほどの知能しかなかったチャーリイ。彼は、ハツカネズミの「アルジャーノン」に動物実験で施され記憶力・思考力の向上をもたらした脳手術を、人間で初めて受け、もともと68しかなかったIQは185に。突如として天才となりました。

しかし高い知能に反して感情は幼いままでバランスが取れず、正義感を振り回して自尊心ばかりが高まるチャーリーは、孤独感を抱きます。そして、先に脳手術を受けたアルジャーノンに異変が起こる欠陥を突き止めたのです。知的成長よりも、感情的な成長の方が、実は人間にとって大切なことなのだと気づきます。

海賊とよばれた男

時は終戦後、国民が途方に暮れている時代。主人公である国岡商会の国岡鐡造は、「日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからと言って、大国民の誇りを失ってはならない。日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上がる日が来る」と話し、日本の復興に向かって、石油商売を妨げる規制や海外メジャーと闘います。彼は徹底的に人を信頼する姿勢、強い信念を持ちながら奮闘していましたが、社員のみならず自らも危機に追い込まれます。その危機を懸命に乗り越えていくストーリーです。

実はこの主人公のモデルは、出光の創業者である出光佐三氏。この作品は、出光氏についての入念なリサーチのもとに書かれた、大変リアリティのある自伝的小説なのです。

***

どれも、人間の不条理、裏切りの感情、愛と葛藤、現実の悲哀などを、比喩を用いながら抜群のストーリー展開で伝えています。

小説を読んで泣いた涙と一緒にストレスまで流してしまえば、本を閉じた後には意外にすっきりしていることでしょう。泣ける小説を読む際は、ぜひハンカチの用意を忘れずに。

(参考)

以下Wikipediaより

君の膵臓をたべたい

海賊とよばれた男

流星ワゴン

八日目の蝉

神様のカルテ

悪人 (小説)

アルジャーノンに花束を

田宮虎彦著(1961),『別れて生きる時も―愛情について』,角川書店.

STUDY HACKER|疲れた時には泣いてしまおう。涙があなたを癒やす科学的な理由。

気づきの書評(49)【書評】『鬼速PDCA』

みなさん、PDCAサイクルは上手に回せていますか?

PLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(検証)、ACTION(行動・調整)のPDCAサイクルは、ビジネスではもうすでに古典的なフレームワーク。多くのビジネスパーソンが知り、実践しているものだと思いますが、正しく効果的に使えているという自信はあるでしょうか。

PDCAは使い方を間違えると、仕事に悪影響を及ぼすものとなってしまいます。例えば、ムダな進捗確認をしてしまったり、ダメな計画を立ててしまったりして、仕事の動きがむしろ遅くなるといったようなことです。

そんなPDCAサイクルを、効果的にかつ、高速で回すやり方を紹介しているのが、こちらの書籍です。

(以下引用は本書より)

著者の冨田さんは、元野村證券の伝説的営業マン。数々の最年少営業記録を出し続けたことで知られる人物で、大学時代を含めて10年以上、毎日PDCAを回してきたというPDCAの達人です。著者によれば、PDCAを高速で効率よく回すと、どんな案件も10倍速で動き出し、周囲からの評価が変わり、その結果まわりを抜き去って成長できるのだそう。そのことを、著者自身が身をもって証明してきたのだといいます。

どんなに真新しいビジネスモデルや技術であっても、瞬時に世界に広まり陳腐化してしまうように、現代では個人の英語力などのスキル、またMBAスキルでさえどんどんコモディティ化(日用化)しています。

著者は、PDCAはすべてのスキルの習得を加速させるためのベースになると言います。自分のビジネスパーソンとしての価値がコモディティ化しないよう、PDCAに基づき新しいスキルを「鬼速」で習得しなければ、変化に対応できる柔軟性のある人材として、激動の時代を勝ち残ることはできないのです。

「これだけビジネス環境の変化が大きくなった今の時代こそ、成長スピードが速く、柔軟性の源にもなる『PDCA力』は、会社にとっても個人にとっても、最強のスキルであると声を大にして言いたい」

では、最強のビジネススキルであるPDCAは、どのようにすればクオリティを高めることができるのか、またその効果とはどのようなものなのか、ポイントを見ていきましょう。

要因分析と因数分解

PDCAを使って物事の成功の再現性を高めるには、「自分の成功法」を分析し、料理でいう「レシピ」、つまりフレームワークを作ることが必要です。まず、原因を抽象化(=要因分析)し、ロジカルシンキングによって具体化(=解決案策定)することで、成功の本質を理解することに努めましょう。

「成果=質×量」であると考えれば、「ビジネスパーソンとしての成長=スキル学習×PDCAのスピード」になります。このうち「スキル学習」の部分は、例えば次のようにして、細かく分解するクセを身につけましょう。

例えば、「営業力スキルを上げたい」という目標があったとします。その目標を達成するためにすべきことは、「うまい人のトークを覚える」「笑顔を鍛える」「相手の興味を聞く」「商品の価値を整理する」などに分解できます。

ではこのうち、「うまい人のトークを覚える」ためにすべきことをさらに分解すると、「真似る人の数を増やす」「先輩への同行回数を増やす」「セミナーで質問する」「本を読む」「YouTubeで見る」などに分解できるでしょう。

このようにして、目標達成までにするべき要素を分解したら、あとはPDCAサイクルを回しながら、その中から自分が身に着けやすくて結果に繋がりやすい行動を見つけるのです。

この因数分解グセを続けると、具体的行動やスキル(例えば「取引先に断られにくい具体的なフレーズ」など)のリストがどんどん増え、PDCAの速度と仮説精度(=速さと深さ)が高まります。

PDCAの過程では、仮説の想定通りにいかないこともあるでしょう。そのような時は、因数分解を素早く行い、仮説そのものをどんどん疑いましょう。これが「鬼速でPDCAを回す」秘訣です。

KPI(結果目標)だけでなく、KDI(行動目標)も管理

KPI(結果目標:Key Performance Indicator)はさまざまな外部要因で変動し得るものです。そのため、KPIだけでなく、KDI(行動目標: Key Do Indicator)も立てるようにしましょう。これによって、行動の進捗管理をするとき、予定作業をやれているのに目標未達なのか、計画していた作業をやれなかったために未達なのかがわかります。

また、KPIの結果が出るまでにはタイムラグがあります。そこでKDIについても確認するようにしておくと、がんばっているのに結果が出ないような場合でも、「行動目標」(例:1日に2件訪問する)を追い続けることで諦めずに済むようになります。「結果は変えられないけれども、行動は変えられる」ので、DO(行動)のアイデアが出たら、すぐタスク化しましょう。

行動進捗管理は、1週間に1回といったスパンではなく、できるだけ短いスパン(例えば毎日)で行ってください。KDIを日々確認し改善を積み重ねることで、PDCAの速度が上がり、自身の目標にいたるまでの到達点が変化していきます。また、問題が起こってもボトルネックが早くわかるので、軌道修正が容易になるというメリットもあります。

PDCAでモチベーションを維持する

成長するために最も必要なのは自分自身の「諦めない気持ち」ですが、PDCAを高速で回し続けることには、その気持ちを維持する効果も期待できます。

PDCAを回し続けると、ゴールまでの道のりが把握できます。そうすれば、「なんでこんなことをやっているんだろう?」と目標を見失い不安感を覚えることは無くなり、「確実にゴールに近づいている感覚」を味わえます。行動の意味を常に意識することになるので、小さな前進を実感することができ、モチベーション高く働くことができるのです。

そして、前に進んだという事実を自分に語りかける「対話」によって自信を積み上げていけば、困難にあたっても、すぐに戦略を考えて行動に移すことができるでしょう。

自分を鼓舞するためにはこの「自分との対話」が欠かせません。やる気が下がっているときは、「ゴールが見えない」「道が見えない」=「前に進んでいると実感できない」状態に陥っています。ですから、「小さな自信」を積み重ね、前進していることを自分に伝えることで、より前に進む原動力を得ましょう。

「鬼速 PDCAは究極の前向き思考だ。」

「でもこれだけは言える。『前進を続ける人生の方が絶対に楽しい』と。」

***

鬼速PDCAを身につければ、毎日「さあ、今日も前に進もう!」と元気になれるし、壁にぶつかったとしても「これは想定内だ。さあ、どう乗り越えよう」とポジティブに考えることができます。

さああなたも「スキルの成長」×「成長スピードの加速」でみんなをゴボウ抜きしましょう!

(参考)

冨田和成著(2016),『鬼速PDCA』,クロスメディア・パブリッシング.

ZUU社長 冨田和成の鬼速ブログ|野村證券時代に書いた『入社以来、自分自身が感じてきたこと、大切にしてきたこと』を鬼速PDCAの視点から振り返る

ZUU社長 冨田和成の鬼速ブログ|鬼速PDCA解剖図~PLAN→DO→CHECK→ADJUSTをどう行き来するか?~

気づきの書評(50)【書評】『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』

Study Hackerに寄稿しました。

「どうも自分にはセンスがない」、「他の人に比べて覚えが遅いみたいだ」、「周りが頭が良すぎるように見えて羨ましい」そんな悩みはありませんか?

こうした問題は、いま話題の「やり抜く力:GRIT」を伸ばすことで解決することができます。その手がかりを与えてくれる一冊をご紹介しましょう。

(以下引用は本書より)

本書の著者アンジェラ・ダックワース氏(ペンシルベニア大学心理学教授)は、ハーバード大学やオックスフォード大学で脳神経科学を専攻して学んだのち、マッキンゼーで働いたエリートですが、その後、なんとニューヨークの公立校で中学生に数学を教える教師に転身します。

教師としての経験から、瞬間的にひらめく天才型生徒よりも、コツコツと粘り強く宿題に取り組む生徒の方が、結果的に成績が伸びることに気づきました。そして、成績の伸びる背景には「GRIT(グリット)」「やり抜く力」が存在するという、成功法則を発見したのだといいます。

私が最も有力だと思う考え方は、「青年期に何らかの活動を最後までやり通すことは、やり抜く力を要するとともに、やり抜く力を鍛えることにもなる。」ということだ。

経営者、天才学者、運動選手などの成功者の共通点は、実は持って生まれた「才能」や「IQ」でもなく、地道に「やり抜く力(グリット)」だったのです。

さあ、あなたも自分の「やり抜く力」を磨いて、人生の可能性を最大化しましょう。

「やり抜く力」はなぜ重要なのか?

厳しい訓練を乗り越えることができる米国陸軍士官学校(ウェストポイント)やアメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の超エリート達は、才能があるとか頭が良いなどというのではなく、「やり抜く力」が非常に高いのだそうです。

このことについて著者は、「努力」の重要性を指摘します。「才能」に「努力」を掛け合わせて「スキル」が上達し、その「スキル」にまた「努力」が掛け合わされて「達成」になるので、2倍の才能があっても努力が半分では達成できないと説いているのです。

では、努力し続けることのできる「やり抜く力」を伸ばすためには、どうすればいいのでしょう? 本書では、「やり抜く力」を本人が内面から伸ばす方法と、周囲の人が外側から伸ばす方法の2つに分けて解説しています。

「やり抜く力」を内側から伸ばす

「やり抜く力」には、情熱と粘り強さが欠かせません。これらの要素は、自分がやりたいことや、興味・関心のあること、好きなことと、行動・目的を結びつけることによって強化されます。そうすることで、対象の物事に没頭することができるのです。

まずは、自分が心から意義があると考える目標を設定しましょう。自分は何をすれば、意義を感じられるでしょうか? 次に、その目標までやり抜くために、具体的な中位・下位の目標も定めます。自分がいま取り組んでいることが、最上位の目的につながっていることを意識できると頑張れますよ。

例えば、資格取得(上位目標)に向けて、模擬試験の成績アップ(中位目標)、参考書・問題集をスケジュール通りに完了させる(下位目標)といったように設定してみましょう。あるいは、海外留学(上位目標)に向けて、英会話力アップ(中位目標)、英単語帳作成(下位目標)などの目標設定もいいですね。このように、レベルの違う目標どうしが互いにつながりを持っていることが重要です。

下位目標が達成できたら中位目標を、中位目標が達成できたら上位目標を目指すというように、自分のスキルを少し上回る目標にチャレンジしながらストレッチし、それを達成していく習慣をつけることで、「やり抜く力」は伸ばすことができるのです。

また、やり抜く力の達人になるには、「利他的(自分以外の人や社会にも貢献できるような)」な目的をもち、利己的(自分自身の目標達成のための)な満足感との間でバランスを取ることが大切だそうです。利他的な目的と利己的な満足感が両方揃うことで、やる気が使命感となって続きやすくなるのでしょう。

物事に失敗したとき、外部環境や原因について悲観的に考えるのではなく、楽観的に反省と改良を繰り返すことも大切です。著者は日本の「七転び八起き」という言葉が大好きだそうですよ。

子どもの頃になにかを乗り越えた、うまくできたという経験は、ずっとあとにまで効果をおよぼすと私は考えている。だから、自分の行動と自分が経験する出来事には、望ましい意味で関連性があることを学ぶ必要がある。つまり「自分がこうすれば、きっとこうなるはずだ」と思えるようにならないといけない。

「やり抜く力」を外側から伸ばす

「やり抜く力」は、周囲の人からの働きかけによって伸ばすこともできます。このことについて著者は、課外活動(例えば学生時代などのクラブ活動)において「何かをやりとおした」経験が1年以上ある人は、「やり抜く力」が強いと言います。

「やり抜く力」は、集団からの影響を受けます。スポーツでも、ビジネスでも、一流選手が一流のチームに所属しているのは、スキルや技術を吸収する動機を継続できるから。「やり抜く力」を強くしたいなら、「やり抜く力の強い」組織や場所に、思い切って飛び込んでみることも大切です。

また、著者は、人生全般でも「やり抜く力」が強いほど「幸福感」と「健康度」が高いと言っています。努力してやり抜ける人ほど人生が豊かになるとは、面白いですね。

さらに、やり抜く力を伸ばしてあげる側の人として持つべき考え方についても、押さえておきましょう。

周りの人に大切なことは、本人の可能性を信じ、その可能性が伸びるように、要求(厳しさ)と支援(寛容)を惜しまない態度で接すること。どちらか一方だけだと、本人は甘やかされたり、逆に疲れたりしてしまいますよ。

***

日本で、「継続は力なり」という言葉はよく知られていますね。イチロー選手も「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」と言っています。彼の成功を支えていたのも、「やり抜く力」なんですね。

さああなたもやり抜いて!

(参考)

アンジェラ・ダックワース著,神崎朗子訳(2016),『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』,ダイヤモンド社.

ダイヤモンド社書籍オンライン|『GRIT やり抜く力』成功者を決める新しい共通項、次なるアメリカのリーダーはGRITな人

ダイヤモンド社書籍オンライン|いつも途中で挫折する人は「グリット」の能力が欠けている!?

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