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若い人へのコーチング(16) 羽生選手のコーチ、ブライアン・オーサー氏に学ぶリーダー術


世界最高点322点を取った羽生結弦選手のコーチであるブライアン・オーサー氏は、自身もオリンピックで銀メダルを2回とった選手でありながら、その経験ややり方を押し付るのではなく、選手ごとに異なる自信を与える方法で成果を出しています。

キム・ヨナ選手、ハビエル・フェルナンデス選手など、全く違うタイプの選手の個性を見極め、選手に合った練習方法、モチベーションの高め方を利用するのです。

コーチはたとえクライアントよりもよい成績をもっていても、押し付けてはいけない。重要なのは、羽生君にあった技術とゴールを決めること、誰でも異なるクセがあるので、それを見極めることである

出典:「チーム・ブライアン」講談社

その指導の結果が、今回の最高得点。頭ごなしに練習をさせていくのではなく、自分で考えさせ、導き、生徒に寄り添って指導して行く「チーム・ブライアン」のコーチング法をみてみましょう。

ピーク・パフォーマスをコントロールする

キム・ヨナ選手、浅田真央選手、羽生結弦選手など、アジア人は苦しくて辛い練習であるほど、良いと考えてしまうそうです。しかし、オリンピックで調子を最高にするには、その前に練習しすぎないこと、失敗しても気にしないことが大事だと説きます。

やみくもに長い練習や、きつい練習をするのではなく、それをあえてやらせずに練習不足だと思わせない。採点のポイントをあげるためには、「華があり、皆がとびたがるトリプルアクセルなどの難しい技を、あえて選ばせないことも重要だ」と説いています。基礎スケーティングをしっかりやることが、ジャンプの安定につながり、オリンピックのような大舞台では緊張に押しつぶされずにどれだけ日常状態でピークを迎えられるかが鍵だそうです。

本番の入試の前に、難問ばかりやって、自信を失うよりも、基礎をしっかりやることに共通しますね。

個性に合った指導をする

「放っておくと、1日中寝ています」と自分自身も語っているハビエル・フェルナンデス選手は、コーチがしっかり管理しないと、寝坊したり靴紐に気をつかわなかったり集中力が持たないので、怒らないで細かくフォローして面倒を見る必要があります。

反対に羽生選手は真面目すぎて、すべて完璧にやりたがり事前練習で疲れてしまう時があるそう。羽生選手に対しては、たとえ調子が悪い時があっても心配させないようにルーティンを決め、オフをとって休ませるなど、全く正反対の二人には、違ったアプローチを行っています。

「結弦もヨナも、私のところへ来る前から的確な指導を受けていた。だからこそ国際レベルに成長した。過去の指導を否定したり、クセを直そうとしてはいけません。選手のすべてを受け入れ、こちらが合わせるのです」

「結弦と2年間やってきたことは、結弦の性格や練習のタイプを知り、彼が求めているモノを与えることです。彼の場合は自分で考えながら練習したいタイプですから、むやみに口出しすることは控えました。私はトリプルアクセルが得意でしたが、私と同じフォームで跳べと言ったことは一度もありません」

(引用元:「チーム・ブライアン」)

以上の発言からも、自分の成功体験を押し付けない、選手個人個人の性格をしっかりと見極め、その結果一人一人の性格に合った指導法を導きだしている様子がうかがえます。

リーダーだからって抱え込まない。指導者をあえて増やす作戦

また、「チーム・ブライアン」と呼ばれるだけあり、スピン、ジャンプ、メンタル、振り付け、マーケティングなど、分野別に20人ぐらいの専門家に任せることでプログラムの指導を完璧にします。やろうと思えば自分で全てできる分野であっても、それぞれ細分化して専門家をつけることで、より高度でロジカルな指導が可能となったのでしょう。このチーム、驚くことに、結成以来8年間誰も辞めていないそう。そこにも、チームや選手の満足度が表れていますね。

ラグビーのエディー・ジョーンズ監督は、スクラム強化のために元フランス代表の選手を呼び寄せて特訓をした結果、春シリーズでのスクラムのクリーンボール供給率は80%を超えた、と話しています。

このように、任せられる部分は全幅の信頼を置いた他人に預けることもチームのパフォーマンス向上におおいに役に立ちます。

***

いかがですか?

選手に対してはもちろん、監督仲間にも自分の考えや方法を押し付けず、それぞれの個性や指導法を尊重して、まさにチーム一丸となって最高の結果を導きだしたことが分かります。

日本でよく、「トップ営業マンが良い上司になれるとは限らない」と言われますが、それは成功体験があるからこそ自分の経験を押し付けがちだから。チームのメンバーの性格や得手不得手はあなたとは違います。チーム運営で結果を出すリーダーを目指す方にすごく参考になりますね。

まずメンバーの性格をしっかりと考えるところからスタートしてみましょう!

 
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