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気づきの書評(43)『300人の達人研究からわかった 上達の原則』


みなさん、スポーツにしろ、音楽にしろ、語学にしろ、効率よく上達出来たらよいのに、と思いませんか?

学んだり習ったりしたことを上達させられる人とそうでない人とでは、どこが違うのでしょう。素質やセンス以上に重要な要素は、「上達のコツ」を身につけ、周囲を巻き込むことだそうですよ。

今回は、才能の伸ばし方を研究する専門家がスポーツ選手や音楽家、研究者、実業家など300人以上を15年かけて調査して見出した、上達の方法を教えてくれる1冊をご紹介します。

新しい知識や技術がどんどん生まれている現代。いつまでも古いやり方でトレーニングしていては、成長のチャンスを逃してしまいます。成長とスキルアップには、新たな知見を取り入れながら、より効率よくトレーニングする必要がありますね。

「現代は変化のスピードが速く、せっかく身につけた知識や技術も、すぐに古くなってしまう。こういう変化の激しい社会であるだけに、私たちは今まで以上に学び続けなければならなくなった。技術もノウハウも、次々に刷新されていくから、学び続けなければならず、限られた時間の中で技術や技能を習得しなければならない。だからこそ、効率的で効果的な上達の方法を習得する必要がある。」

この本の著者で、東北大学で実際に上達支援の指導にあたっている北村勝朗教授によると、ビジネス、音楽、スポーツなどの分野で上達して力を発揮している人たちは、質の高い練習とやる気を無理なく持続させる“コツ”、つまり目標設定と行動変革のための「発想、仕掛け、やり方」を会得しています。

では、どのようにすれば、日々の生活や仕事の中で物事に上達できるのか。そのコツについて見てみましょう。

まず「才能の迷信」を知り、マイナス思考を捨てる

「素質がある人にはかなわない」、「今からやっても手遅れだ」、「いい環境でないと上達できない」、「教えてくれる人がいなければ上達は無理」といった考えは、上達を妨げている誤った考え方だそう。これらの理由で訓練をやめてしまうことにはあまり意味がないようです。

ケニア人がマラソンが早いのは、才能ではなく、毎日片道20kmの道のりを走って学校に通うため、1日に約7時間、1年で3,000時間弱の走力トレーニングをすることになるからです。

人間は環境に適応して成長するので、才能や素質の影響は予想以上に小さく、一定期間必要な練習を積めば、「その人が上達しようと望む分だけ上達する」のだそうです。反対に、素質をもっていても、激励され、愛情を注がれ、教育され、練習するという長期にわたる意図的な練習過程がなければ、上達できないのです。

「自分には才能や素質なんてものはない」などと無力感を抱く必要はありません。必ず上達できるというイメージを持って、練習に励みましょう。

上達のメカニズムを知る

私たちが何かに上達するためには、今ある環境を大事にして、それを最大限活用することが大切です。今ある環境以上に高望みしたところで、上達が近づくわけではありません。例えば野球なら、今の環境のままでもできること、例えば隙間時間にバッティングセンターに行くことなど、無理せず今できることから始めてみるべきなのです。

また本書は、ワクワク感を長期間継続しながら、質の高い練習を積み上げることが上達のポイントだと説きます。著者によると上達の段階には3段階あるのだそう。最初の段階では、まず気持ち良い体験を積み重ねてやる気を引き出します。次に第2段階では、できるという効果や成長を感じられる環境を整備します。そして最終段階では、自分で工夫して、目標や信念を育成する自主性を育てるのです。

ワクワク感は、気持ち良い体験をしなければ醸成されません。練習に励もうと思える前向きな精神状態を得ることが、上達のための基本です。また、一人で練習に取り組むのではなく、仲間と学び合ったり指導者に学んだりして周囲を巻き込みながら、自らの成長を感じられる環境に身を置くことも必要です。あなたが熱意をもって練習に取り組めば、その熱意は周囲にも伝わり、何らかの形で手助けしてくれますよ。そして最後は、目標に向けて諦めずに取り組む信念を持ち続けましょう。

練習時間を蓄積させるという観点で見ると、例えば1万時間練習しようとしたとき、1日3時間で計算すると約10年の年月が必要です。何かに上達することは、一朝一夕にできることではありません。挫けることなく長期間トレーニングを継続できる仕組みを作ることが、確かな上達のためのポイントと言えます。

上達への道のりは、ホップ、ステップ、ジャンプなのです!

大切なのは、自分に合った方法を選ぶこと。そして、学ぶ目的と熱意をもち、努力を続けること。的確にアドバイスしてくれる指導者や共に学ぶ仲間がいれば、上達はさらに進むだろう。

いかがでしょうか。

学ぶコツさえわかれば、向き不向きはあったとしても、上達は可能です。あなたも上達のコツを学ぶことで、自分には才能がないなどとあきらめずに、自分の可能性を信じ、やりたいことに挑戦しましょう!

(参考)北村勝朗著(2015),『300人の達人研究からわかった 上達の原則』,CCCメディアハウス.

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